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過熟で頑丈なワインばかりだったオーストラリアが、歳を経て円熟の境地に

文:ブルース・ショーンフェルド 2015年9月3日投稿

翻訳:立花峰夫  掲載協力:ワインオーストラリア 写真:リーン・ティムス

本記事は、米国「SAVEUR」誌10月号に掲載された記事で、「SAVEUR」誌の許可を得て翻訳し掲載しています。

著 者プロフィール:Bruce Schoenfeld 米国テレビ芸術科学アカデミーによるエミー賞をはじめとし、多くの受賞をしているジャーナリスト。アメリカのワイン・スペクテー ターやトラベル&レジャー誌、ザ・ニューヨーク・タイムズ・マガジンなど多くの雑誌に寄稿してきた。2013年には、ワインオーストラリアがアデレードで 開催した”Savour”にVIPゲストとして招待されている。

原文はSAVEURのウエッブに掲載

グッド・テイスト・アワード2015受賞:

オーストラリア――今年訪れたい産地ナンバーワン

チャーリー・メルトンは間違っていたのか。それとも時代に取り残されたのか。その頃の彼に、伝えておきたかったことがある。

時 は1997年に遡る。メルトンは十年以上、オーストラリアのバロッサ・ヴァレーにおいて、シラーズや古木のグルナッシュから緻密で香り高いワインを産して きていた。チャールズ・メルトン(Charles Melton)のナイン・ポープスは、新世界版のシャトーヌフ・デュ・パープと呼ぶべきワインで、同国で最も人気の高い銘柄のひとつに数えられていた。し かしながら、メルトンを残してバロッサは変わりつつあった。果実は樹の上で、熟するのを通り越して干しブドウに近づくまで留め置かれ、強健でずしりと重い 濃厚なワインが生み出されていたのだ。

こうしたドーピングでひねり出されたワインの中には、シロップのようにくどく、カクテル並の高いアル コール度数になるものもあった。だが、有力なアメリカ人評論家たちは、最高レベルの点数を与えてくれる。やがて、オーストラリア産ワインかくあるべしと世 界中で考えられるようになり、メルトンのような造り手たちは途方に暮れた。飲みづらいようなワインでもいいのか。バランスはどこへいった。

「ま るで、男らしさを競い合っているみたいだった」と、メルトンは話す。バロッサの田舎道から入ったところにある質素な木造ワイナリーに、彼を訪ねたときのこ とだ。「いつまでブドウを樹にぶら下げておけるか。どれだけ熟度が高いかでもってね」。言わんとすることはよくわかった。その直前に、当時バロッサで一番 時流に乗っていた生産者のひとりが、コロラドの私のところへ来て話した内容が頭にあったからだ。その造り手は、私が用意しておいたワインをどけ、やたらと 重い瓶に入った自分のワインを食卓に載せてこう言った。「こっちを試してよ。アルコールは17.1度もあるんだけど、そうとは感じないはずだよ」。いや、 まさにそう感じたのだ。

話を聞きながらメルトンは、もうわずかな数しか残っていない1989年のナイン・ポープスを開けてくれた。四半世紀 を経たボトルには、発掘された遺物のように埃が積もっている。だが、その中身には幽玄とも言える若々しさがあった。よくある獣じみたバロッサのワインでは なく、敢えていうならフランス・ローヌ渓谷産の趣が感じられたのだ。

ほんの二、三年前まで、こうしたワインは貧弱だと腐されていた。だが今 日では、オーストラリアでも海外でも、評論家たちの御覚えはめでたく、消費者にも人気となっている。そればかりか、重厚さよりも若々しさやフィネスをずっ と重視する、新進世代の醸造家たちにとってのお手本にまでなっている。メルトンは勝ち誇ってなどいない。飲みたいと思う新しいワインが突如次々に出現し、 追いつくのに精一杯なのだから。

フランス至上主義者やイタリア愛好家には冒涜になるのをお許しいただきたいが、今日のオーストラリアは、こ とワインに関する限り世界で一番面白い土地である。それもそのはず、オーストラリアはひとつの大陸をまるまる占める国なのだから。すべての州にワイン産地 があり、造り手たちは十九世紀まで辿れる歴史を持つ。樹液を吸う根ジラミのフィロキセラは、ヨーロッパでのような壊滅的被害をオーストラリアにはもたらさ なかったから、数十年を超える樹齢の木も珍しくはない。近年においては、この国の定番であるシラーズ、グルナッシュ、シャルドネ、セミヨンのほかにも目が 向けられ、実に様々な品種を若い造り手たちが試すようになっている。モーニングトン・ペニンシュラで生まれるピノ・ノワールは、ブルゴーニュ以外のどんな 産地にも負けず劣らず興味深い。最西部の産地マーガレット・リヴァーの醸造家たちは、オーストラリア産のカベルネ・ソーヴィニョンがなんたるかを塗り替え ようとしている。アデレード・ヒルズといった新進産地では、フランスのサヴァニャンやイタリアのドルチェットといった地味な品種について、地球の裏側から ひねりを加えている。

(つづきはWANDSのウエッブサイトにて

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