バローロ・リゼルヴァ2007 by Bersano × ブラザート・アル・バローロとポルチーニのリゾットから発想した料理
12/08

初めてバローロを飲んだのは、25年ほど前のことだと思います。ワイン・テイスティングの講座に初めて参加した時です。その教材だったワインのひとつがバローロでした。なんて渋みの強いワインだろうと驚きましたが、今から思えばその銘柄は、バローロの中でも比較的ソフトなタイプなのでした。
<バローロの中で>
ご存知のように、高貴な赤ワインであるバローロにも色々なタイプがあります。それほど重くなくタンニン分も比較的穏やかで、飲みやすいタイプ。ひと頃絶大な注目を集めた、弾けんばかりの果実味がありロースト香も豊かな、ボリューム感たっぷりのモダン・バローロ。色が淡く、スパイスやなめし革のような枯れた香りが立ちのぼる、しっとりした味わいながらタンニンがとても豊かなクラシックなタイプ。お好きなタイプはどれでしょうか。
ベルサーノのバローロは、予想よりはるかにモダンな装いでした。老舗なので、もう少しクラシックなタイプなのではないかと思っていたからです。ただ、超モダンというわけではなく、少しモダンな要素もあり、クラシックな点も感じられる融合タイプというのでしょうか。考えてみれば、精鋭のロベルト・モロシノットが造っているのですから、超伝統派であるはずがありませんね。
重厚感もあり、厳格な表情なのは、畑がセッラルンガ・ダルバにあるからなのでしょう。とても若い状態で、何年か寝かせておきたい、という誘惑にかられます。
ロースト香やコーヒーといった香ばしさに、リキュールのブラックチェリー、スパイスなどが加わる複雑な香りで、とても心地よく広がり出ます。深い香りです。味わいは、はじめはなめらかな口当たりで、ボリューム感、ふくらみが感じられますが、次第に豊かではっきりとしたタンニンが現れてきます。さすがにセッラルンガ・ダルバ生まれですね。
<組み合わせる料理は、やっぱり赤身肉?>
こうなると、やはり肉料理を準備したくなります。
バローロに合わせる現地ピエモンテの定番料理には、長時間バローロと香味野菜をマリネした後に、じっくり煮込んだ「ブラザート・アル・バローロ」や、「ポルチーニのリゾット」があります。
例えばクリスマスのような特別なディナーであれば、時間をかけたお料理を準備して臨みたいですね。
アペリティフと前菜にスパークリングワインを飲み、その後「ポルチーニのリゾット」、メインを「ブラザート・アル・バローロ」、そして熟成したハードチーズなどを準備して、このバローロを楽しむ、という流れにすればバッチリです。
- ピエモンテから送ってもらった「ブラザート・アル・バローロ」の画像。
- こちらもピエモンテより。左下がブラザート。
- ポルチーニのリゾットもよいですね♪
ただ今回は、ちょっと和の要素を入れた日伊融合の料理をアレンジしてみたいと思い、色々と「妄想」してみて、こんな料理を思いつきました。
ブラザート・アル・バローロ → 牛肉の味噌漬け
ポルチーニのリゾット → 干し椎茸の味噌バター焼き
まず特製味噌を作ります。赤ワインでのばした八丁味噌+黒胡椒、ナツメグ、シナモン。これをステーキ用の牛肉の両面にまんべんなく塗ります。
ラップで包んで一晩冷蔵庫で寝かし、味噌を軽くぬぐってから、フライパンでこんがりバターソテー。
バローロ・リゼルヴァ2007と合わせると、牛肉の旨みが増し、ワインはタンニンが穏やかに感じられなめらかな味わいになります!
一晩水でもどした干し椎茸の石づきは取り除きます。
フライパンにバターを溶かし、椎茸を軽くソテー。
もどし汁に、先ほどと同じ特製味噌を溶いておき、それをフライパンに加えて蓋をして含め煮ます。
戻し汁がソースのような濃さになったら、できあがり。
どちらの味わいもまろやかに感じられる、ちょっとびっくりな(予想していた以上に)よい相性です!
そういえば「ベルサーノ バローロ・リゼルヴァ」の1960年代を2年前に飲んだ、という人がいました。およそ50年を経過しようとしているにも関わらず、とても素晴らしい状態で、まだ熟成できそうだと感じたといいます。
2007年のリゼルヴァはまだ若さがみなぎっていますから、すぐに飲む場合にはなるべく大きめのグラスをお薦めします。ベルサーノのホームページでは「大きなボルドーグラス」がよい、とのことです。
これらのページも、どうぞご参照ください♪
ベルサーノについての記事 バルバレスコと料理の組み合わせ バルベーラ・ダスティと料理の組み合わせ
<付記>
ベルサーノが1968年から所有するバローロの畑は、タンニンが豊かで最も力強いバローロが生まれることで知られるセッラルンガ・ダルバにある。南南東向きの斜面で標高が450mと非常に高く、石灰質がとても豊かな粘土石灰質、広さは10ha。以前も記したように、法律上バローロもバルバレスコもその地区内で醸造・瓶詰めされなければいけないところ、ベルサーノは古くからこの畑を所有し醸造・瓶詰めを本拠地であるアスティのニッツァ・モンフェッラートで行っているため、今でもそれを特別に許されている稀有な会社のひとつ。発酵はステンレスタンクで、熟成はスロヴェニアンノークとバリック、及びボトル合計で5年間。
(text & photo by Yasuko Nagoshi)
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カテゴリー | 赤ワイン |
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ワイン名 | バローロ・リゼルヴァ Barolo Riserva | |
生産者名 | ベルサーノ Bersano | |
生産年 | 2007 | |
産地 | イタリア/ピエモンテ | |
主要ブドウ品種 | ネッビオーロ100% | |
希望小売価格 | オープン価格(参考小売価格9,000円) | |
輸入元/販売店 | メルシャン |
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