情熱の国・アルゼンチンのワインと食 〜アルゼンチンは美食の国だった〜
11/07
アルゼンチンは、ワイン生産国の中でも日本から遠い場所の筆頭に挙がる国のひとつです。加えて、あまりアルゼンチン料理の店が日本にたくさんあるわけではありませんから、アルゼンチンといえばタンゴ、つまり情熱の国、という印象が強いのではないでしょうか。最近は、マテ茶が急速に人気を集めているようですね。アルゼンチンのワインと食を垣間見る機会がありましたので、その一旦をお伝えします。
アルゼンチンは、白のトロンテス、赤のマルベックが代表選手である、という点で他の国と異なります。トロンテスは、フレッシュでアロマティックな品種で、かつては甘口が主流でしたが、近年はスッキリとした辛口が増えました。マルベックは、もともとフランス南西部の主要品種のひとつですが、長旅を経て根付いたアルゼンチンで固有品種として有名になりました。
ただし、アルゼンチン通の方によれば、マルベックやカベルネ・ソーヴィニヨンの評価が高いだけでなく、近年カベルネ・フランやプティ・ヴェルドについても注目が集まっているとか。気になります。実際にあったプティ・ヴェルドを味見すると、とてもよく果実が熟しているという印象で、まろやかささえ感じられました。
アルゼンチンのワインは、輸出が始まってからまだ20年ほどしか経っていないため、あまり日本でも馴染みがないかもしれません。ただ、アルゼンチンでは、自国でのワイン消費量が非常に多いという点でお隣のチリとは異なるようです。もともと、アルゼンチンではスペインやイタリアからの移民が多く、庶民の生活においてもワインと食は切っても切れない関係にあり、食文化も発達しているのです。
アルゼンチン大使公邸で、アルゼンチン料理をワインを少しずついただきましたが、生牡蠣、アジフライ、チョリソーBBQ、赤ワインのマルベックを使ったリゾット、などなどなど、何を食べても美味しくて驚きました。
特に印象に残ったのがが、ひとつはエンパナーダ。スペインはじめ各国で同じ名前の料理がありますが、アルゼンチンの場合には、こぶりの包みピザのような感じで、もっちりとした生地が特徴のようです。アペリティフでシャルドネの爽やかなスパークリングワインを飲んでいる時間帯には、チーズとタマネギのエンパナーダが、宴もたけなわになった頃で赤ワインのマルベックを飲んでいる時にはミートソース入りのエンパナーダがサービスされました。エンパナーダは、最もインカの影響が残るアルゼンチン北西部の名物料理のようです。
もうひとつは、ラム肉のローズマリー&ハチミツ風味BBQです。アルゼンチン南部のパタゴニア地方は、湖、氷河、森で知られる寒い地方です。ここのラム肉は、柔らかくて味が良いことで評判なのだそうです。それを、ローズマリーとアルゼンチン特産の蜂蜜でマリネして焼き、マルベックと合わせる、というのが最もお薦めだとか。実はラム肉はあまり得意ではないのですが、一口サイズだったので、ものは試しにとトライしてみました。そうしたら、まあ美味しいこと! これなら、2つ、3つといけそうです。
アルゼンチンの食文化が、もう少し日本にも伝えられるといいですね。
(text & photos by Yasuko Nagoshi)
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