タパスとピンチョスの定義とは? 〜スペイン料理のミニ知識〜
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ワイン・バーがいくつもできた後、「バル」と呼ばれるスペイン流のワイン・バーが立て続けにオープンした時期がありました。その頃から「タパス」や「ピンチョス」という言葉も頻繁に聞き、使うようになったものの、その正しい意味を教えてもらったことがありませんでした。ちょうど、日本でビンチョス・ブームを巻き起こしたホセ・バラオナ・ビニェス氏の話を聞く機会がありましたので、お伝えしておきます!
何となく、「タパス」は日本でいうところの「惣菜」で、「ピンチョス」は「爪楊枝で刺してある一口サイズのおつまみ」、というような感覚をお持ちの方が多いのではないかと思います。およそはそうなのですが、きちんとした決まり事があったのです。
<タパス>
名前の源: タパ tapa =蓋 → タパール tapar =蓋をする
スペインでは、エピソードとして「アルフォンソ10世(13世紀在位)が『お酒を出す店は、必ず食事も出さなければいけない』という勅令を出したらしい」と語り継がれているほど、ワインには食べ物がつきものだとされているようです。そして、ちょっとした合間にホコリなどが入るのを避けるために、ワイングラスの上に、生ハムはチーズで蓋をしていたとか。それから派生して、タパ(蓋)→小皿→小皿料理→複数形になってタパス、と変化したのでした。
ちなみにタペアール tapear という動詞があり「タパスを食べる」という意味なのですが、同時に「タパスをはしごして食べる」と解釈されるようです。理由は、スペインではタパスを食べることそのものが店をはしごすることで、A店ではタコ、B店ではコロッケといった名物があって、皆それを目がけて行くのです。でも、それは事前情報がなくてもわかるようです。その店の客の大半が食べているものを見つければよいだけですから。
そして、タパスには決まり事があります。以下のような3種類で構成されています。
A: 乾きもの/オリーブ、チーズ、ハム類
B: 冷菜/マリネ、ポテトサラダ
C: 温菜/トルティージャ、クロケットなどの揚げ物
ですから、注文する時にも、この3種類をうまく注文するのが本場流。
<タパスやピンチョスの大きさ比較>
スペインのお皿の大きさは、およそ4段階。自宅で普通に食べる一人前用のお皿を「プラト plato」と呼びます。それより少し小さなサイズが「ラシオン ración」、プラトのハーフ・サイズが「メディア・ラシオン media ración」。更に小さいサイズが「タパ tapa」。ですから、同じ料理でもフル・サイズでナイフ・フォークと共に出されるのはプラトで、小皿にフォークだけで出されればタパになり、ただ楊枝に刺してつまむならピンチョになる、というわけです。
<ピンチョスの定義>
そもそものピンチョス発祥は、スペインの北東部、バスク地方のサン・セバスチャン村にあるバー「ベルガラ」。オリーブと青唐辛子とアンチョビ、つまり瓶詰め食材を楊枝で刺して出したのが最初で、今ではこの組み合わせを「ギルダ」と呼んでいます。さて、この「組み合わせて串に刺す」というのが重要なピンチョスの条件だといいます。
—一口で食べられる
—複数の食材の組み合わせ
—作ったら早く食べる
これらの条件が揃ったら、立派なピンチョスと呼べるそうです。
もちろんホセさんはプロですから、複数の食材を組み合わせることによって新しい驚きの味わいを生み出すこと、ケーキのように見た目からも食べたくなるようなアレンジ、なども大切にしているといいます。もっと知りたい方は、ホセさんの「ピンチョス 360°」をご覧下さい。
(text & photo by Yasuko Nagoshi)
カテゴリー | 書籍 | |
---|---|---|
書籍名 | ピンチョス 360° | |
著者名 | ホセ・バラオナ・ビニェス | |
発行日 | 2013年2月18日 | |
判型など | A4変形判 160ページ | |
ISBN | 978-4-388-06164-8 | |
出版社 | 柴田書店 | |
定価 | 定価 2,625円(税込) |
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