ワイン&造り手の話

有機農法で育てたブドウで造るワインは、毎年市場を伸ばしています。中でもカリフォルニアの「ボンテッラ」は、長年の実績があり、よく知られています。そしてそれだけでなく、リーズナブルな価格も消費者にとって嬉しいところ。醸造責任者のボブ・ブルー氏が来日し、20年の歴史を語ってくれました。

 

カリフォルニア北部のメンドシーノは、まだ訪れたことがありませんから、ボブさんに、有機栽培に向いている気候なの? と尋ねてみました。すると、満面の笑みで答えてくれました。

「そう! 冬には雨がとても多い。でも、ブドウが成長し始める4月から、収穫が終わる10月まで、雨は一滴も降らない。まるで砂漠のようだね」。

だから、ブドウの樹が病気にかかる心配がありません。

 

でも、草は放っておくと伸びます。ただ、ボブさんには強力な仲間がいるようです。単一畑でリリースしているマクナブ・ランチは60ヘクタールもありますが、ボンテッラで飼っている2000頭の羊を放つと、たったの2日間ですべて草を食べきってしまうそうです。すごいパワーですね。

ボンテッラ表紙2

<有機農法の理由>

では、そもそも何故有機農法でブドウ栽培をしようと思ったのでしょうか。

 

ボンテッラは、フェッツァーの傘下にあり、ボブさんは1988年からここで仕事をしています。彼より4年早くここの自社菜園で、有機農法で野菜を育てていたマイクロ・モータスという人物がいました。ボブさんは、彼がつくる野菜を食べて驚きました。トマトひとつとっても、色も種類も様々で、食べると香りも味も普通に食べる野菜と比べると格段に秀でていることに気がついたのです。

 

有機栽培の力に感動したボブさんは、南アフリカにある有機栽培について教えるマーソン・カレッジに学びにいくことにしました。

「ワインは、ビールやウイスキーとはちがうでしょう。ヴィンテージによって個性が異なるだけでなく、熟成によっても変化していくからね」。

「普通の栽培は、化学的なものをスケジュールに従って施していくだけ。反対にオーガニックの場合には、人がたくさん直接関わることになる。現代のテクノロジーに、100年前からのアプローチを加えたもの、それが90年代半ばぐらいからのモダンなオーガニックだと思いますね」。

 

カリフォルニア大学のUCデイヴィスも、1990年代からブドウ畑でカバークロップを生やすとブドウの樹にどのような影響を及ぼすのか、研究を始めたといいます。

そしてボンテッラでは、1993年から独自に有機農法を試行錯誤し始めたのです。

ボンテッラ表紙

<ボンテッラのワインたち>

ボンテッラでは、白はソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエ、シャルドネ、リースリングを造っています。

ソーヴィニヨン・ブランには、少量のマスカットとシャルドネをブレンド。

ヴィオニエには、少量のマスカットとシャルドネをブレンド。

シャルドネには、少量のマスカットとヴィオニエをブレンド。

このように主体となる品種に少量ずつ多品種をブレンドすることによって、よりきれいに立ちのぼるアロマ、フレッシュな酸、バランスよい味わいを創りあげているのが、とても魅力的に感じられました。

 

そして赤のカベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデル、メルロの2012年に共通して感じられたのは、穏やかな落ち着きのある香りと、口の中でのやさしいタッチです。とてもなめらかで、自然にもう一口飲みたいと思わせるのです。

 

ボンテッラをワインの話を聞きながら、色々な野菜料理といただいたのですが、野菜の素材の美味しさをきれいに引き出してくれる、そういうワインでした。ヘルシー嗜好の方に、是非お薦めしたいワインです。

(輸入元:ファインズ

(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)

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