バルベーラ・ダスティ・コスタルンガ by Bersano × 普段着の日本の食卓
11/28

Point: 気軽さを合わせる
日本各地の宿泊施設をリゾートとして再生させる達人としても知られる、星野リゾートの社長・星野佳路さんが、あるテレビ番組で、各地方がもつそれぞれの個性をどれだけ出せるかが肝だ、というようなことをおっしゃっていました。それを聞きながら、ワインも同じだなぁ、と共感しました。北イタリアはピエモンテのアスティ地方ならではの、バルベーラもそのひとつ。老舗のベルサーノの作品です。
(ベルサーノについては訪問記をご参照ください)
ピエモンテ地方の赤ワイン用ブドウ品種といえば、ネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェットが挙げられます。面白いことにそれぞれ特徴が異なり、ネッビオーロはタンニンがたっぷり、バルベーラは酸が豊か、ドルチェットは果実味に溢れています。だから、その個性の違いに見合った場所が選ばれてそれぞれ栽培されてきました。バルベーラの場合は、アスティのあまり標高が高すぎない南向きの斜面がよいのです。きちんと成熟すればそれほど酸がきつく感じないからです。
長い間、アスティでバルベーラに取り組んできたベルサーノは、中でも条件のよいニッツァ・モンフェッラートにたくさん畑を所有しています。スタンダードなクラスの「バルベーラ・ダスティ・コスタルンガ」は、ニッツァを中心とした4つの畑のバルベーラをブレンドしたものですが、とてもハツラツとした赤ワインです。
ピュアで、素直で、みずみずしい。笑顔が素敵な、目のくりっとした10代後半の女性、といったイメージでしょうか。
ラズベリー、レッドカラント、クランベリーなど少し酸味を伴う赤い果実、そしてほんのりとしたスパイス香。やさしいアタックで、心地よいなめらかさ。爽やかな酸はまさに、熟したベリー系の果実を口いっぱいに頬張ったようなニュアンスで、タンニンは細やかでそれほど多くはありません。
ベーコンやハムを使ったトマトソースのパスタ。鴨肉にベリー系ソースを添えて。こういう料理にも、もちろんよいと思います。でもそれほど気構えず、少し気軽に飲んでみるのもお薦めします。
例えば、サラミ。間違いなく自然体でよい相性です。結構飲み進んでしまうと思いますので、ちょっと注意が必要ですね。
若々しさとフレッシュな酸があるので、五目揚げ春巻きを合わせると、春巻きの油っこさを感じずにジューシーな後味を楽しめます。
普通の焼き鳥、ネギマを合わせてみました。タレの味がほっこりとして、なかなかの組み合わせ。
実験として季節の里芋を、田楽にして。里芋そのものとワインというよりは、赤味噌で作った田楽のタレがベリー系の香りとマッチ。他の具材で応用しても面白そうです(ちなみに焼き椎茸の田楽+白胡麻のトッピングとも合わせてみました。椎茸の香りと胡麻の香りが増幅するので、椎茸大好き!な人にはお薦めします)。
ほどよい果実感とみずみずしい酸のバランスがよいので、後を引き、もう一口、更にもう一口と、手が伸びるワインです。是非見つけて試してみてください!
参考:ベルサーノのホームページ ベルサーノのバルバレスコ・マンティコと料理の組み合わせ ベルサーノについての記事
<付記>
この銘柄は、ベルサーノが本拠地のアスティに所有する自社畑の中から4つほどの畑のブドウを選んでブレンドしたもの。バルベーラ100%で、熟成はステンレツタンクとスロベニアンオークでそれぞれ6ヶ月間。単一畑のキュヴェ、クレモジーナCremosinaになると、よりまるみが出てなめらかなテクスチャーが素晴らしく、同じく単一畑のキュヴェ、ジェネラーラGeneralaになると、更に力強く広がりがある(単一畑は未輸入)。
(text & photo by Yasuko Nagoshi)
![]() |
カテゴリー | 赤ワイン |
---|---|---|
ワイン名 | バルベーラ・ダスティ・コスタルンガ Barbera d’Asti Costalunga | |
生産者名 | ベルサーノ Bersano | |
生産年 | 2012 | |
産地 | イタリア/ピエモンテ | |
主要ブドウ品種 | バルベーラ100% | |
希望小売価格 | オープン価格(参考想定売価2,180円) | |
輸入元/販売店 | メルシャン |
最近のコメント