ワイン&造り手の話

25年間ずっと来日し続けている日本通のアウグスト・ケスラーさん。

ことの始まりは3年ほど前。

「ピーロートの社長であるヨハネス・ピーロート氏とディナーを共にした時に、今後の展望として一緒にワインをクリエイトできないか? と持ちかけられたのです。ただ、ケスラーでは高級ラインしか造っていないから日常的な手頃なラインは造れそうにないと、話はそのまま立ち消えになっていました」と、アウグスト・ケスラー氏。

<アスマンハウゼン>

それもそうです、ケスラーが所有するラインガウの畑約20ヘクタールは、リースリングもピノ・ノワールも、いずれも急斜面にある銘醸畑に植えられています。ブドウの樹齢も高く、その分とても品質が高いワインができるのですが、どうしてもコストがかかるため、高級レンジになってしまいます。特にピノ・ノワールについてはラインガウ、あるいはドイツを代表する銘柄として世界的に知られ、ドイツ国内の上級レストランでワインリストに載せていないところはないといいます。

ケスラーのピノ・ノワールの畑アスマンハウゼンは、かつて修道士がブルゴーニュのクロ・ド・ヴージョから苗木を持ってきて植樹したとされる、ブルゴーニュに次いで「世界で2番目のピノ・ノワール最適地で、バランスよく、フルーティーでミネラル感があり、上品でスパイシーで、フェミニンで傑出したワインができる、南西向きの斜面で深いスレート土壌なのです。本当にいつもブルゴーニュと比較されます」。いくつ形容詞を重ねても、言い尽くせないほど深みのあるワインができあがるのです。

<PKワインができるまで>

ところが、2年ほど前に状況が変わりました。ちょうど2008年秋のリーマン・ショックが影響して、アメリカのワイン市場が相当変化しました。高級レンジのシェアは元々少なかったものの、更に縮小され、手頃な価格帯のワインを開発しなければならないと危機感を覚えたのです。

「アメリカ市場はとにかくボリューム。日本のように上質なものを少量、ではなくて、量が必要なのです。そして考えあぐねていたところ、ファルツの栽培家と組まないかという話が持ち上がったのです」。

ラインガウより南にあるファルツでは、赤ワイン用ブドウの栽培比率も高く、よりなだらかな畑でブドウの手入れがしやすいので、ラインガウと比較するとコストがまったく異なるといいます。リースリング専門の栽培家3軒、ピノ・ノワール専門の栽培家1軒、彼らの栽培指導からワインの醸造までケアしてくれる現地のスーパーバイザーと共に、ファルツのプロジェクトを立ち上げることになりました。

これをきっかけに、ファルツのブドウを使えば日常ラインのワインを日本向けにも造れるにちがいないと感じました。

「とてもよい栽培家で、健全なよいブドウを育て、収穫量も低く抑えてくれます。栽培も醸造も、ラインガウの場合と同じスタンスで行っています。ちがうのは、畑の様々な条件とコストです。もちろん、アメリカ向けとは造りが異なりますよ。例えば赤ワインは、アメリカはよりタンニンの強い樽のきいたタイプが好まれます。でも日本は、よりマイルドで上品なタイプのほうが好まれ、繊細なほうが料理にも合いますからね」。

<PKワインの味わい>

「PK ピノ・ノワール 2011」は、果実の香りが生き生きとして、熟したチェリーやラズベリー、スパイス、などがマイルドに香り、味わいもソフトでなめらかでバランスよく、タンニンも溶け込んでいて、心地よく飲めます。

「いつでも気軽に飲んでほしいワインです。楽しめる、というのが基本ですから。でも、もちろん6、7年置いておくこともできますよ。食べ物は、サーモンや家禽類、軽いパスタや山羊のチーズ、あるいは鳩の胸肉もいいと思います」。

「PK リースリング 2013」は、ハツラツとした香りで、桃やリンゴ、シトラス系果実が香り立ち、甘味があり、フレッシュな酸とバランスよくエレガントで、口の中でもフルーティーな香りが華やいできます。

「2013年は収穫量が50%しかなくて酸やミネラルも凝縮したので、その分糖分を残してバランスをとるようにしました。そうでなければ酸が高くなりすぎるので。今のこの若い状態ならば、このままワインだけで飲むのをお薦めしたいですね。料理に使う調味料とぶつかり合うことがありますから。でも2、3年ほど置いておけばクリーミーでリッチになってきます。そうすると、わさびや醤油とも合わせられるので食事と共に楽しめます。このワインでも10年置いておけますよ」。

今すぐ飲みたい気もしますが、数年後の姿も気になります。数本手に入れて少しずつ開けていくのが一番よい方法なのかもしれません。

<付記>

ピノ・ノワールは100%除梗し、2日間低温浸漬。オープンバットのカスクで発酵。一日2度ほどピジャージュなど、すべて手作業で行う。マセレーションは14〜18日。マロラクティック発酵は自然に。18ヶ月間の熟成は、70%が1200リットルの大樽で30%が228リットルの小樽(2,3年目のもの)。フィルターは瓶詰め前に軽く一回だけ行うが、清澄は行わない。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

白 カテゴリー 白ワイン
ワイン名 ピー・ケー リースリング PK Riesling
生産者名 ピーロート&ケスラー Pieroth & Kesseler
生産年 2013
産地 ドイツ/ファルツ地方
主要ブドウ品種 リースリング100%
希望小売価格 2,600円(本体価格)・税込2,808円
輸入元/販売店 ピーロート・ジャパンこちらから購入可能
赤 カテゴリー 赤ワイン
ワイン名 ピー・ケー ピノ・ノワール PK Pinot Noir
生産者名 ピーロート&ケスラー Pieroth & Kesseler
生産年 2011
産地 ドイツ/ファルツ地方
主要ブドウ品種 ピノ・ノワール100%
希望小売価格 2,600円(本体価格)・税込2,808円
輸入元/販売店 ピーロート・ジャパンこちらから購入可能
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