ワインと料理

よく「ワインってわからない」「ワインって難しい」って言われます。

はっきり言って私もわかりません。

何をもって「わかる」のか。「美味しい」って言い切れるのか。

ほんと、嗜好品の世界は嗜む人の好みだと思います。だから嗜好品。

こういう時、私は「わからないけれど、好きなものはある」と答えます。

だって「美味しい」と「好き」は別物だから。

 

ひたすらムルソーばかり飲んでいます。

なぜなら「わからない」。

なぜ虜になる方が多いのか。それだけの理由があるはず。

これは改めて飲まねば、と思った次第です。

でも何を飲んだらよいか「わからない」。

ならばどこに行っても、自宅でもムルソー祭りしかない。

飲み続ければ何か見えてくるかもしれない。

 

とあるお店で「これ、飲んでみて」とサービスしてくださった白ワインがありました。

私がムルソー祭り展開中を知って、です。

あ、ムルソーだ...えっ、でも何か違う。

ヴィンテージか?

いや、古い味わいではない。熟成からくる個性が違う。酸味が最初にきて余韻が長くて香りがしっかりしている感覚。

あの独特の酸味か…あるけどな...香りもそう。

なんか違うの。ストレート感がないのよね。

あ…! でもなに? これ。まさかブレンド?

アタックに丸みというか柔らかさがあるの。これって飲み続けてきているムルソーとは別なんだよな。

ますますわからん。

 

MB Auxey Duresses 2011はー。なるほど。

オクセイ・デュレスでした。

ここでテロワールというものを再認識するのであります。

このエリアって隣がムルソー、もう一方はモンテリー、

その向こうはヴォルネィということも学んでいます。すごーく前に。

そうだった、10年以上前にも同じことしていたんだった…

話、戻ります。

なるほど。土地ってつながっているのか!

身を持って、いや舌を持って体験です。改めて。

それぞれのエッセンスが混ざり合っているのか、と。

地図上では、はい、ここからはムルソーね、えっとそっちはモンテリーよ、

でもってこれがお目当てのオクセイ・デュレス、って線引きされているけれど

根っことか土ってわからんなー。見えないもんね。

ミクロの世界でいろいろな養分を吸収してこの味わいになっているのか...

だからムルソーっぽい香りや酸の立ち方があるし、モンテリーのような柔らかさや穏やかさも感じられる。すごすぎる。

なんという重宝的ワイン!

二面性、三面性を超えた多面的ワイン、とでも言いましょうか。

あぁ、飲みながら頭使うとお腹が空く...

モレ・ブラン。

素晴らしい造り手です。今は2011。

まだ2010も買えるみたいだからダブルで飲む、というのも面白いね、絶対。

 

香りも良いし、柔らかさもあるし、余韻もしっかり。

何を食べたいかな。

独断と偏見になるけど白ワインには白い肉、ということで鶏肉。

大好物な唐揚げ!

妄想します。

 

写真うーん、これはムネとモモ、どちらも外せない。

手羽はダメ。がっつり食べた感がないわね。

じゃぁ味は?

共に素揚げじゃワインの香りが強いかな。面白みがない。

いや、モモ肉は素揚げにしよう。肉そのものにジューシー感があるから

おそらくワインの酸味がアシストしてくれる気がする。

二口目は少しレモンを搾ってみたい。きっと酸味が中和して

もう少し、逆に柔らかくなるね、これは。逆説的相乗効果。

なんかカッコイイ言葉!

これは香りも一緒に表情が出てきそうだ。

余韻の長さか...もしかしたら花椒塩?これ、ミカン系の香りもあるし、

なんかインパクト与えてくれそうだね。

 

じゃぁムネは?

なんとなくだけど塩コショウで揉み込むか、生姜醤油に漬け込むか。

肉そのものの淡白さにアクセントを加えたい。

それがワインの酸味ではなく果実の丸さに引っかかってくるような気がする。

揚げる油は...全く香りのないものがいいな。ワインだから洋物、EXVオリーブオイルで芳香つけする、というのは邪魔になる。

やはりここはワインが持つ多面性をどう鶏肉が引き出してパワーアップできるかだから。

鶏肉そのもので攻めたいわ。

 

本当に妄想は尽きません...

そして今ではオクセイ・デュレスがあったら片っ端から飲んでいます。

どこかでグラスで飲み比べフェアとかないかな…

入り浸りそうです。

(写真のモレ・ブランのオクセイ・デュレス/輸入元:ラック・コーポレーション

(text & photo by Satoko Fujisaki)

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