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デイビッド・ベリー・グリーン氏。

デイビッド・ベリー・グリーン氏。

イギリスの老舗ワインショップ「ベリー・ブラザーズ&ラッド」、通称BB&Rは、何名かの優秀なバイヤーがいることでも知られています。イタリアワインを担当するのは、BB&Rの8世代目でもある、デイヴィッド・ベリー・グリーンさんです。「イタリアでは、10年から15年前からオーセンティックで上品なワイン造りへと変化してきている」と語る彼が選んだ、新星の造り手4名にも会うことができました。

 

「新星4社」①に続き、今回はピエモンテとヴェネトからの2名をご紹介します。

 

<ジョヴァンニ・ロッソ・ディ・ダヴィデ・ロッソ>

ダヴィデ・ロッソ氏。

ダヴィデ・ロッソ氏。

ダヴィデ・ロッソさん。赤ワインの造り手です。名字が「ロッソ(赤)」というのは、偶然なのでしょうか? しかも、ロッソ家が1890年から所有する畑は、偉大なバローロ産地の中でも、とりわけ長期熟成なバローロを生むセッラルンガ・ダルバ村にあるのです。まるで、宇宙飛行士になった星出さん、みたいですね。

 

ただ、ずっとブドウ栽培だけを行ってきたため、「ジョヴァンニ・ロッソ」という名でワインを造り始めたのは代替わりした1995年からです。継ぐにあたってダヴィデが修業に出かけたのは、フランスのブルゴーニュ地方でした。イタリアのピエモンテはブルゴーニュに、トスカーナはボルドーに似ている、と言われることが多いですが、やはり何か惹かれるものを感じたのでしょう。ドメーヌ・ジャン・グリヴォやドニ・モルテにもいたそうです。

「当時は最新の方法で醸造するのがトレンドだったけれど、今は伝統的な手法に戻っています。セメントタンクで発酵させて、フレンチオークの大樽で熟成させています。酵母も自然のものだけ。化学的なものは添加せずに、ソフトなワイン造りをしたいから」といいます。

ロッソ/ボトル

所有している畑は合計18haあり、11区画のうち6区画はセッラルンガ・ダルバにあります。最も重要な区画は「石灰質が多くて急斜面のラ・セッラと、丘の中腹にあって粘土が多いので、より穏やかな味わいになるチェレッタ」。「ピエモンテのロマネコンティ」と呼ばれている畑だとか。

 

わずか2000本のみの生産だという「バローロ セッラ2005」を飲ませてもらいました。ドライフルーツやスパイス、なめし革といった香りが優雅に広がり、とてもなめらかで酸もタンニンもほどよくこなれて美しい姿です。きっと、ようやく飲み始められるようになったのでしょう。まだまだ若さが感じられて先が楽しみなワインです。

 

<モンテ・デイ・ラーニ>

ゼーノ・ジノーリ氏。

ゼーノ・ジノーリ氏。

今度はヴェネト州のワイナリーです。400年前からヴァルポリチェッラ・クラッシコ地域に一山所有しているラーノ家のワインです。いわゆる山持ち、ですね。そういえばワイナリーの名前も「ラーノたちの山」でした! 山の一角にある丘の頂に、合計で8haの畑を所有しています。でもそのうちブドウ畑は2haだけ。他にはオリーブやチェリーを育て、複合農業を行っています。

 

ラーニ/ボトルしかも、本格的なワイン造りはゼーノ・ジノーリさんがラーノ家に婿入りしてからだといいます。ブドウ栽培は長いようですが、ワインを桶売りするのが常だったようです。一時期ブドウで販売していたのを、1970年代からワイン造りを再開し、2003年が自社のラベルで出荷する初ヴィンテージとなりました。若いブドウは4,5年ですが、古いものでは樹齢が80年ほどだといいます。

 

「ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・スペリオーレ2008」は、ドライなチェリーに加えてスパイシーで濃厚な香りで、味わいも若さでいっぱいです。時間と共にロースト香や、チェリーリキュール、レッドカラント、プラムなどの果実も香り始め、次第に開いていきました。自然酵母で樽発酵し、2,3年の間大きな樽で寝かせておいて瓶詰めされます。

ラーニ/甘口「繊細でエレガントなワインを目指して造っている」というゼーノは、造っているその本人も自然体でゆったりとした表情です。

 

デザートワインの「カティーナ・パッシート・ガルガーネガ2006」(参考商品)は、カラメルプリン、ハチミツ、アプリコットヘーゼルナッツなどの香りが次第に現われ、甘味が強すぎず、酸がフレッシュで、落ち着きのある味わいでした。

 

こちらの2社も、やはりエレガントなスタイルです。そして、ゆっくりと開いてくるのが特徴なのかもしれません。時間をかけてじっくりとワインを楽しむのは、ある意味贅沢なことですね。是非、楽しんでみてください。

(輸入元:すべてベリー・ブラザーズ&ラッド日本支店)

(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)

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