注目のイタリア「新星4社」① 〜460カッシーナ・ブリック&グラーチ〜
01/22
イギリスの老舗ワインショップ「ベリー・ブラザーズ&ラッド」、通称BB&Rは、何名かの優秀なバイヤーがいることでも知られています。イタリアワインを担当するのは、BB&Rの8世代目でもある、デイビィッド・ベリー・グリーンさんです。「イタリアでは、10年から15年前からオーセンティックで上品なワイン造りへと変化してきている」と語る彼が選んだ、新星の造り手4名にも会うことができました。
今回は、ピエモンテとシチリアからの2名をご紹介します。
<460カッシーナ・ブリック>
ピエモンテ州といえば、まずはネッビオーロですね。バローロやバルバレスコといった偉大なワインを造るブドウ品種です。色は濃いわけではないけれど、タンニンがしっかりとした長期熟成型の赤ワインを生み出すので、他地域や他国でも栽培を試みるのですが、なかなか成功しない気難しい品種でもあります。
2010年に「460カッシーナ・ブリック」を立ち上げたジャンルーカ・ヴィベルティさんは、とてもユニークな発想の人で、なんとネッビオーロからロゼ・スパークリングワインを造ったのです!
「長期熟成しなくても飲めるネッビオーロのワインを造りたい。すっと飲めるワインを造りたくて」というのが、その理由でした。
淡いピンク色で、桃の香りがして、ソフトでデリケイト、そしてみずみずしい味わいです。いわれなければ、絶対ネッビオーロだと気がつかない。ネッビオーロの新しい姿に驚きました。本当にフルーティーなのです。
このスパークリングワインは「スプマンテ N8」という名前で、ネッビオーロの「N」と、瓶詰めまでに8ヶ月澱とともに置いておいたという「8」を組み合わせたといいます(このアイテムの輸入は検討中とのことで、未入荷)。
そして、バローロも造っています。22年間実家のワイナリーで働いた後、2010年に独立したというので、まだ新しいワイナリーです。
「うちは新しいブランドなので、認知度をなるべく早く上げるために、1700年代後半までバローロで使われていたという古いボトルの形を再現しました。もちろん一番大切なのは中身の質。けれど、器や箱といったプレゼンテーションも大事だから」と、ジャンルーカ。
ずんぐりとした、あまり今のバローロでは見られない形状のボトルを使っています。結構目立つと思いますし、センスがいいですよね。
味見をしたのは、初ヴィンテージの「バローロ2010」。香りはまだ閉じ気味ながら、しなやかな香りでスパイス、赤い果実、なめし革など徐々に広がり、味わいも上品です。しっとりなめらかで、次第に細かいタンニンがじわじわと現れてくる感じ。
10ha所有する自社畑は、バローロ地区とラ・モーラ地区の間にあり、平均すると標高が460メートルあるので「460カッシーナ・ブリック(丘の頂にあるワイナリー)」と命名したそうです。ブリッコ・デル・ヴィオレ、サン・ポンツォといった有名な区画も持っていて、このスタンダードの銘柄は所有する5つの畑のブレンドです。
<グラーチ>
アルベルト・グラーチさんは、シチリア島の高地・エトナで2004年からワイン造りを始めました。それまではミラノで銀行家だったというので、シティ・ボーイからの転身です。では、なぜシチリアだったのでしょう?
祖父が、シチリアの他の産地でワイン造りをしていたようです。
「エレガントで深みがあるワインを生む、ミネラルが多く標高の高い場所、そして太陽の恵みも得られる地」を探した結果、彼の理想の地はエトナだと確信したといいます。祖父の畑を売却してエトナに18haの畑を購入。標高1,000メートルで、樹齢50年ものブドウが植えられた素晴らしい畑が手に入りました。
2012年の「エトナ・ロッソ」は、ネレッロ・マスカレーゼから造られています。若々しくハツラツとした香りで、赤い果実や黒いスパイスなども香り、なめらかな食感で上品、そして細やかなタンニンがゆったりと現われます。
「果実味を最大限に生かして、若くても飲めて、熟成もできるワイン」
「食事に合わせやすいタンニンとみずみずしさを備えたワイン」
という通りに仕上がっていました。
ちなみに、鰹と茄子のマリネと、とてもよい相性でした!
どちらも「エレガンス」が鍵となっていることが、飲んでみるとわかります。あまりガッツリしたタイプではなく、食卓を楽しませてくれる上品なワインを、引き続き注目のイタリア「新星4社」②でご紹介します。
(輸入元:すべてベリー・ブラザーズ&ラッド日本支店)
(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)
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