おしゃれに飲む

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米国PANTONE社が発表している「今年の色」。2015年はそれが「マルサラ」という色だったので、ちょっと興味をもって調べてみました。

 

「マルサラ」とは、Wine Press Japanの読者ならご存じの通り、イタリア・シチリアの酒精強化ワインから取った色の名。PANTONEによると「自然な力強さのある、素朴なワインレッド」ということになります。

 

国際的な色見本のスタンダードともいえるPANTONEが翌年の色を発表するのは毎年12月。前年の9月に来年のトレンドカラー10色を発表し、その中から1色が選ばれます。今回はそれがマルサラだったというわけです。

 

PANTONE以外にも「今年の色」を発表している団体として、パリに本部がある国際流行色委員会(インターカラー)があり、現在14か国の団体が加盟。日本も1963年の発足時から現在まですっと、日本流行色協会(JAFCA)が加盟しています。

 

この委員会で「今年の色」が決められるのはなんと2年前。これは、情報、素材、製品といったアパレルのものづくりのサイクルがこれくらいの時間を必要としたからだそうです(現在ではものづくりのサイクルや環境の変化により、さまざまなタームが短くなってきている部分もあるようです)。

 

トレンドカラーは、それに合う色との組み合わせも発表されることが多いのですが、PANTONEの例でいうと、マルサラには、コーラルピンクやオーキッド系のパープル、くすんだグリーンなどが提案されています。

 

この「色をグループで考える」歴史は意外と新しく、その意識が日本に生まれることになったきっかけは、1962年に大ヒットした「シャーベットトーン・キャンペーン」だったそうです。

 

カラーテレビの本放送が開始されたのが1960年。各百貨店が季節の色で商品をアピールする「カラーキャンペーン」というPR活動を始めたのも同じ頃です。化学合成繊維の技術の発達により、同じ色の繊維の大量生産が可能になってきたこともブームを後押ししました。

 

1962年になると、合成繊維メーカーの東レ、高島屋や西武などの百貨店、資生堂、東芝など50社以上の企業が参加しての大型キャンペーンが実施されます。それが「シャーベットトーン・キャンペーン」。

 

服、靴、ハンドバッグ、アクセサリー、化粧品、家電製品などにとどまらず、不二家から本物のシャーベットやガム、東芝レコードから『私のシャーベット』という歌も発売されるなどの徹底ぶり。女子大学生、OL、美大生を対象とする当時の電通の調査によると、このキャンペーンの知名度はなんと96.78%だったとか。

 

それからファッションにおけるカラートレンドは、アイビールック、サイケデリック、みゆき族、ヒッピー、パンク、ニューウェイブ、DCブランド、ハマトラ、プレッピー、ボディコン、渋カジ、森ガール、ネオンカラーなどに至るまで、さまざまな時代をたどることになります。

 

とはいえ、私たちの周りにある商品の色は、75%が白、黒、紺、茶色、グレーのベーシックカラー。残りの25%のうち、誰が見ても流行していると感じるような色でも、全体の3〜5%に過ぎないのだとか。

 

さて、冒頭に紹介した2015年の色「マルサラ」は、日本では昨年秋冬シーズンから「ボルドー」という呼び方で流行している色とほぼ同じです。流行色のファッションへの取り入れ方について、女性誌を中心に活躍するファッションスタイリストの大貫まりこさんに聞いてみました。

「マルサラ(ボルドー)は大きな面積で扱うのが難しい色なので、小物で取り入れるのがいいと思います。たとえば、今年は白も継続して流行中なので、白を基調にしたファッションにシューズやスカーフなどでこの色を取り入れてみるとか。私は今年になって、この色の帽子を買いましたよ。今までのファッションも、流行色の帽子をかぶることでぐっと今年らしさが出て、おすすめです」

男性の場合はいかがでしょう?

「ネクタイに使ってみるとか、また、ポロシャツもこの春夏のトレンドアイテムなので、襟にマルサラ色のラインが入っているなどもいいですね。小物のストライプのうちの1色がこの色、というのもさりげなくて素敵です」

さらに大貫さんは続けます。

 

「流行色は、何がなんでも取り入れなくちゃいけない、というわけではなくて、流行の色を身につけているんだ、という楽しみのために利用すればいいと思うんです。せっかくワインの色が流行中なのですから、気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょう?」

 

参考資料:『日本のファッションカラー100』(一般社団法人日本流行色協会)

(text & photo by Miki Ikeda)

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