ワイン&造り手の話

フレデリック・ド・グロース/エスクード・ロホ

バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリ社がチリで展開する「エスクード・ロホ」がラベルデザインを一新しました。ちょうど2012年のお披露目を兼ねて来日した、社長のフレデリック・ド・グロース氏に、その背景を尋ねてみました。

 

バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドは、チリ最大のワイナリーであるコンチャ・イ・トロ社とのジョイント・ベンチャーで、チリのスーパー・プレミアムワインと呼ばれる「アルマヴィーヴァ」を造っていることでも有名です(醸造長のミッシェル・フリオ氏に聞いた話は別の記事でお楽しみください。アルマヴィーヴァに異動する前、彼はエスクード・ロホの醸造長を務めていました)。

 

<エスクード・ロホとは?>

それとは全く別に、1999年より単独で「エスクード・ロホ」という名前の赤ワインを造っています。スペイン語でエスクードは盾、ロホは赤。つまり「ロスチャイルド」を表す言葉です。

 

バロン・フィリップの作品なので、ボルドー品種をブレンドした赤ワインだと思いがちですが、実はちょっと違います。

カルメネール(2012年は35%)とカベルネ・ソーヴィニヨン(同38%)を主体に、シラー(25%)とカベルネ・フラン(2%)をブレンドしています。

 

「当初は、他のボルドー品種も試みました。でも、プティ・ヴェルドはボルドーと出来が違うし、メルロはカルメネールほどよくはないと気がつきました。反対に、ボルドーでは完熟を待つと11月頃の収穫となり困難だったカルメネールがとてもよいのです。もちろん、かつてはメルロと勘違いされて収穫されていたぶどうが本当はカルメネールだ、と判明してからのことですけれどね。ちゃんと晩熟型のカルメネールだとわかって、ゆっくりと完熟を待って収穫するようになって評価が上がりました。だいたい5月20頃に収穫していますね」。

北半球でいえば、11月の下旬ということになります。

「それから、シラーはうちのスペシャルな品種ではありませんが、醸造長が気に入っているので、ここ6,7年はだいたい同じ比率でブレンドしています」。

久しぶりに飲んだエスクード・ロホは、香りも味わいもバランスよく、なめらかでやさしいタッチなので、するりするりと飲めてしまいました。4品種が絶妙なバランスを創り出しているのだとわかりました。

 

<品種別シリーズも!>

実はエスクード・ロホでは、2年前からぶどう品種別のシリーズも造り始めていて、「シャルドネ」と「カルメネール」があります。

シャルドネは、チリの涼しい産地として知られるカサブランカ・ヴァレーのぶどうを使っています。パイナップルのような熟した果実の香りと、まろやかな口当たりですが、重くはなく上品な後味がバロン・フィリップならでは、でしょうか。

 

カルメネールは、ラペル・ヴァレーのぶどうを使うと決めているようです。

「カルメネールは、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーより、湿度を求める品種なので、ラペル・ヴァレーのリッチな土壌が出来がよい」ということです。独特の黒胡椒のようなスパイシーさと、なめらかな触感、若々しく清々しい後味が心地よく印象的でした。

ちなみにフレデリックさん一押しの相方は「鴨」です。鴨の燻製と試させてもらいましたが、本当にピッタリ! カルメネールの黒胡椒のニュアンスが、鴨と実によい相性でした。

 

ボトル

光の具合でちょっとピンク系に見えますが、実際にはもう少し赤みが強いです。すみません!

<ラベル変更の訳>

「ラベルは、10年以上同じものを使ってきましたが、お客様から『ちょっともう古い感じ』だと言われてしまって、より高いイメージを持ってもらえるデザインにしたかったのです。それに、多くのワインと共に棚に並んでいても、見分けがつきやすいラベルがいいですからね」。

はい。真っ赤なラベルなら、すぐに目に入ってきます!

それに、確かに急にモダンなラベルに変わりましたね。

 

ラベル一新に際して、中身もマイナー・チェンジしたようです。ぶどうの選別をより厳しく。また、熟成については以前フレンチオークで6か月、ステンレスタンクで6か月だったところを、ステンレスタンクと1年使用樽各50%で12か月と変更したといいます。

この結果「よりエレガントで洗練され、テロワールを表現できるようになり、より飲みやすいスタイルに」なったと、フレデリックさん。

 

醸造長は、2007年にミッシェル・フリオ氏がアルマヴィーヴァへ異動した時に、1997年からバロン・フィリップの本拠地に勤務していたエマニュエル・ラフォー氏が抜擢されたました。彼もフランス人のようです。

あくまでも、チリのテロワールでフランスのエスプリを加えたワイン造り、チリの「太陽」とフランスの「上品さ」を共に感じられるワイン造り、というコンセプトには変わりがありませんでした。どれも手頃な価格、というのがまた嬉しいですね。

(輸入元:エノテカ/エスクード・ロホ・本体価格2,500円/品種別・本体価格1,900円)

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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