30世代700年間続くトスカーナの貴族によるワイン+クリスマスの過ごし方 〜マルケージ・デ・フレスコバルディ〜
11/08
上質なワインを安定して造るには、多大な労力と時間が必要です。広い畑や醸造所の敷地確保はもちろんのこと、ワインが出来上がるまで待たなければならず、更に出荷まで何年も必要とするものが多いからです。トスカーナではいくつかの貴族が今でもワイン造りを脈々と継続しています。マルケージ・デ・フレスコバルディもそのひとつ。5ヶ所の領地から生まれるそれぞれ異なるワインの個性、それから一族で過ごすクリスマスについて伺いました。
<30世代700年間家族経営を貫く秘訣>
29世代目で、社長を務めたレオナルド・フレスコバルディ氏は、何よりも「ワインへの愛情」がそうさせてきたのだといいます。
「両親の教育方針もあったのでしょうが、ワイナリーと近い距離にいましたから、身をもって生活の一部としてワインへの愛情が育まれていったのでしょう。もちろん、トスカーナがワイン造りに適した土地であったことと、私たち一族が領地を確保できていたことは、幸運な事実です」。
「それから、例えば29代目は7名いますが皆仲が良いですね。調和を保ちつつ、継続して拡張していく。いずれも親から受け継いできた考え方です。そして何より皆よく働いてきたからでしょう。先見性は必要ですが、労をいとわず働いたきた結果だと思います」。
そういうレオナルドさんの横には、30代目のディレッタさんとリヴィアさんが、日本市場をより理解するためにと席を同じくし、メモをとっているのでした。
<カステッロ・ディ・ポミーノ>
フィレンツェから東へ35キロの、標高が高い冷涼な気候にあります。元はリンゴの栽培がされていた丘なのでリンゴ=ポムから「ポミーノ」と命名。ここからは主に白ワインが生まれ、透明感があり独特の優しさを感じられます。
白い薔薇や青リンゴなどのフレッシュな香り、なめらかで塩のような旨みが感じられる味わいが印象的です。
「3月のペコリーノチーズがとてもよくいますよ。この時期は羊が新芽を食べるでしょう。だからチーズにもそういう風味が出てくるのです」。
<カステッロ・ディ・ニポッツァーノ>
ポミーノより少しフィレンツェ寄りにあり、最も古くからフレスコバルディ家が所有する敷地のひとつです。キアンティ・ルフィーナ地区にあり、涼しめで白い石灰質土壌から、上品な香り高い「ニポッツァーノ・リゼルヴァ」が生まれます。穏やかな野生のチェリーのような香り、そして芯のあるバランスのよい味わいは、多くの食事と相性がよさそうです。一族が集まる特別な時には、いつでもニポッツァーノが供されます。
「トスカーナの海辺の町リヴォルノのタラなどを使った魚介類のトマト煮込み、カチュッコから、チキンでもローストビーフでも。味のしっかりとした料理とよく合います」。
<テヌータ・ディ・カスティリオーニ>
こちらはフィレンツェの南西へ20キロ。コッリ・フィオレンティーニ地区。ニポッツァーノをクラシックとすれば、カスティリオーニはコンテンポラリーという個性。土壌がとても多様なので、伝統品種のサンジョヴェーゼの他にも、フランス系品種を古くから栽培しています。そして海に近くなり標高も低いので、よりソフトな赤ワインが出来上がります。
「まろやかでソフトなので、料理もデリケイトなものがよいでしょう。チキンや和牛、それにマグロも。あるいは夏の終わりの脂が少ない鹿の赤身肉もよいでしょうね」。
<テヌータ・ディ・カステル・ジョコンド>
中世の街シエナに近い、モンタルチーノの丘の敷地です。ここは最も力強く複雑なサンジョヴェーゼができあがり、複雑な香りと、厚みのあるしっかりとした味わいの長寿なワインに仕上がります。
「ブドウの実や根を食べてしまうからという理由でよく狩りをする、イノシシ肉がいいかもしれません」。
確かに、赤ワインで煮込んだイノシシ肉や、それをミートソースにしてからめたパスタなど、とてもよい相性です。
<テヌータ・デッラミラーリア>
最も新しい地所で、トスカーナの南西部にあたる地中海に面し、モダンなワイナリーが建てられました。「アッミラーリア」は、ブドウ品種はシラー。海の影響が感じられる、よく熟した果実の香りがハツラツと感じられて、まろやかで果実味が豊か、そして凝縮感のある赤ワインです。
お薦め料理は聞き損ねましたが、赤身の肉類ならどんなものでも対応可能。でも、なるべく厚みのある立派なお肉がよさそうです(笑)。
いずれにしても、同じ一族が手がけながら場所による個性の違いは明らかです。クラシックからモダンまで、まさにこのフレスコバルディ家が脈々と息づいている証なのかもしれません。
<フレスコバルディ侯爵家のクリスマス!>
さて、フレスコバルディ家のクリスマスの様子を、少しだけ伺ってみました。今度のクリスマスの参考になるでしょうか?
クリスマスの日は、ミサへ行ってから12時頃に集まるそうです。集合場所は、フィレンツェの中心、サント・スピリト通りのフェルディナンド&ロザリア・フレスコバルディ侯爵夫妻の館の1階。フィレンツェだけでなく、ローマ、ロンドン、ベルギーから合計で40名にもなるので、立食スタイルのランチを! クリスマスプレゼントは、12月8日に飾られた大きなツリーの下へ。
待ち時間はアペリティフタイムで、フレスコバルディ・ブリュットを片手に鶏レバーペーストやスモークサーモンのクロスティーニを。皆が集まり終えると、プリモ・ピアットからサービスされていきます。久しぶりに合う一族で、会話と食事を自由に楽しめる設定です。そしてこの特別な日には、フレスコバルディ侯爵家の紋章入りのリチャード・ジノリ製陶磁器と、同じく紋章入りのシルバーカトラリーが用意されます。
プリモ・ピアット:
生クリームとハム入りトルテッリーニ
サフランのリゾット
セコンド:
白ワイン風味の肉団子
鶏肉のロール ジュレを添えて
ホウレン草のピューレ/ローストポテト/野菜のフラン/ミックスグリーンサラダにフレスコバルディの「ラウデミオ」を使ったドレッシング
ドルチェ:
パネットーネに生クリーム添えて/オレンジ/ポルトガル風ミルクプリンを「ヴィン・サント」と共に
ワイン:
フレスコバルディ・ブリュット
ポミーノ・ビアンコ
ポミーノ・ベネフィッツィオ・リゼルヴァ
ニポッツァーノ・リゼルヴァ
ポミーノ・ヴィン・サント
(text & photo by Yasuko Nagoshi/個別のボトル画像は日欧商事より、クリスマスと器の画像はフレスコバルディ家より)
カテゴリー | 白ワイン | |
---|---|---|
ワイン名 | ポミーノ・ベネフィツィオ・リゼルヴァPomino Bianco Riserva Benefizio | |
生産者名 | マルケージ・デ・フレスコバルディMarchesi de Frescobaldi | |
生産年 | 2011 | |
産地 | イタリア/トスカーナ地方 | |
主要ブドウ品種 | シャルドネ | |
希望小売価格 | 4,200円(税抜) | |
輸入元/販売店 | 日欧商事 |
カテゴリー | 赤ワイン | |
---|---|---|
ワイン名 | ニポッツァーノ・リゼルヴァChianti Rufina Riserva Nipozzano | |
生産者名 | マルケージ・デ・フレスコバルディMarchesi de Frescobaldi | |
生産年 | 2009 | |
産地 | イタリア/トスカーナ地方 | |
主要ブドウ品種 | サンジョヴェーゼ主体 | |
希望小売価格 | 2,900円(税抜) | |
輸入元/販売店 | 日欧商事 |
カテゴリー | 赤ワイン | |
---|---|---|
ワイン名 | テヌータ・フレスコバルディ・ディ・カスティリオーニTenuta Frescobaldi di Castiglioni | |
生産者名 | マルケージ・デ・フレスコバルディMarchesi de Frescobaldi | |
生産年 | 2010 | |
産地 | イタリア/トスカーナ地方 | |
主要ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、サンジョヴェーゼ | |
希望小売価格 | 2,900円(税抜) | |
輸入元/販売店 | 日欧商事 |
カテゴリー | 赤ワイン | |
---|---|---|
ワイン名 | ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・カステル・ジョコンドBrunello di Montalcino Castel Giocondo | |
生産者名 | マルケージ・デ・フレスコバルディMarchesi de Frescobaldi | |
生産年 | 2007 | |
産地 | イタリア/トスカーナ地方 | |
主要ブドウ品種 | サンジョヴェーゼ | |
希望小売価格 | 6,500円(税抜) | |
輸入元/販売店 | 日欧商事 |
カテゴリー | 赤ワイン | |
---|---|---|
ワイン名 | アッミラーリアAmmiraglia Maremma Toscana | |
生産者名 | マルケージ・デ・フレスコバルディMarchesi de Frescobaldi | |
生産年 | 2010 | |
産地 | イタリア/トスカーナ地方 | |
主要ブドウ品種 | シラー | |
希望小売価格 | 6,600円(税抜) | |
輸入元/販売店 | 日欧商事 |
最近のコメント