ワイン&造り手の話

左が「ラ・フォルジュ」。右の「レ・ヴィアラ」も古樹から造られる、しなやかで上品な赤です。どちらも生産本数が限られているのでラベルに番号が記されています。

1960年代にジェラール・ベルトランの父、ジョルジュ・ベルトランは南仏のラングドック地方でワイン造りを始めました。ジェラールが引き継いだ80年代後半でさえ「まだラングドックはあまり知られていませんでした」というぐらいですから、当時はどのような状況だったのでしょうか。1984年から10年間ラグビー選手として活躍し、フランス代表を務めた経験もあるジェラールは、ラングドックの立役者として精力的に行動を起こしてきました。

<ダイナミックなラガーマン>

ジェラール・ベルトランの立派な体格を目の前にすると、元ラグビー選手だという事実に納得します。背も高いのですが、胸板が厚いというか、全体にがっちりとした骨組み。だからでしょうか? することもダイナミックで勢いがあります。

彼が父ジョルジュから家業を引き継いだ時には、自社畑は40ヘクタールだったといいますが、今では8カ所に500ヘクタール以上もの畑を所有しているそうです。しかも、本社がある地中海に近い「シャトー・ロスピタレ」は全敷地が1000ヘクタール!?  どのぐらいの広さなのかちょっと想像がつきませんが(苦笑)、敷地内には優雅なホテル&レストランもあり、ゆったりとワインな生活を楽しめる環境にあるようです。

ラングドックという地方は、かつては量産ワイン、あるいはブレンド用のワイン産地と考えられていました。ですから、それぞれの地域や銘柄のアイデンティティが認知されていなかったのはあるいみ当然かもしれません。ところが、まず父のジョルジュが収穫量を制限したり、熟成に樽を用いてみたりと品質至上主義を打ち出しました。

ジェラール・ベルトランは、自分が家業に入って間もなく亡くなってしまった父の遺志を継ぐだけでなく、更に拡張していきました。優れた畑を発掘して、その特性を最大限に発揮できるようなお膳立てをする。そうすると自ずと地域ごとの、畑の特徴が現れてくる。「ワインの品質の90%は畑で決まる」と断言しています(多くの生産者はワインの品質の85%が畑で決まる、と言います。この5%の違いのニュアンスは、今度お会いしたら聞いてみようかと思います)。

<ビオディナミへの決意>

例えば、1995年に購入した「シガリュス」は、海寄りのナルボンヌと内陸のカルカッソンヌの中間に位置しています。このエステイトが初めて「ビオディナミ」農法(天体の動きも見ながら農作業をするなど、自然の力を極力取り込んだ自然農法)を採用した敷地で、初年度の98年にはまず2ヘクタールから、そして徐々に増やしていって今では畑のすべて70ヘクタールでビオディナミを行っているといいます。

「ここ10数年で見てきたのは、ビオディナミによって畑がいかに健全な状態で保つことができるか、ということです」と言います。

殺虫剤や化学肥料はじめ、化学的な物質は一切使用しません。けれど、かえってブドウは根を深く張り、健康状態がよくなるので長寿にもなる。つける実の品質はといえば「フレッシュ感が出てアロマが高くなり、ミネラリティーも備え、独自性のある味わい、つまりテロワール(その土地ならではの個性)の表現力が高まったと感じています」。

いいことづくめではありませんか!

そういうわけで「これから5年間ほどですべてのエステイトを、ビオディナミにしていきます!」と断言していました。ちょうど切りのよい「2020年までに」というニュアンスでしたから、東京オリンピックの年ぐらいまでには遂行されるのでしょう。

そしてこの決断には、もうひとつの理由がありました。いわゆる「温暖化」による様々な現象を見て、危惧が高まっているからです。「南仏はもともと乾燥した気候の土地ですが、今では10年前の倍以上の雨が降っています。こういったことからも、何か行動に移さなければいけないと感じたので。空気と水の質を上げて、美しい地球を次の世代に残したいのです。私は、父がこの南仏のポテンシャルを最初に気がついた人物だと認識していますから」と、パイオニアである父から引き継いだものを、更によい状態で次世代へ、という心意気を感じたのでした。

<お薦めアイテム>

以下、たくさん試飲させていただいた中で特に印象深かった3銘柄をご紹介します。

現在の本拠地「シャトー・ロスピタレ」の赤ワイン「シャトー・ロスピタレ・ラ・レゼルヴ2010」

スパイスやなめし革、よく熟したチェリーや香ばしさなど、複雑で華やかな香りが魅力的で、バランスがよく、とてもなめらかなので、今、幅広い料理と合わせたい赤ワインです。

最初にビオディナミ農法を行った「シガリュス」の白、「シガリュス・ブラン2011」

とてもまろやかでリッチな香りで、リンゴやパイナップルなどの熟した果実や蜂蜜のような豊かさが感じられて、味わいも厚みがあって酸もソフトで、ハリもあります。ほのかに香るトースト系の香りも心地よいですね。

もともとベルトラン家が所有してきた敷地「ドメーヌ・ド・ヴィユマジュー」から造られる赤「ラ・フォルジュ2011」。

ブドウの樹齢も高く、40年から80年。できるブドウの量が限られているので、貴重品です。色が濃く凝縮感を思わせますが、香りはハツラツとして、スミレを思わせるフローラルな香りと、スパイスや濃いチェリーやバニラなど、多くの香りが感じられて、味わいはとてもまとまりがよく、なめらかで、自然と飲み込んでしまいました(笑)。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

カテゴリー 赤ワイン
ワイン名 シャトー・ロスピタレ・ラ・レゼルヴ Chateau l’Hospitalet La Réserve
生産者名 ジェラール・ベルトランGérard Bertrand
生産年 2010
産地 フランス/ラングドック地方
主要ブドウ品種 シラー+グルナッシュ+ムールヴェードル
希望小売価格 3,906円
輸入元/販売店 ピーロート・ジャパン

「シガリュス」の白と赤。赤はメルロ&カベルネ・ソーヴィニヨンで、こちらも美味でした♪

「シガリュス」の白と赤。赤はメルロ&カベルネ・ソーヴィニヨンで、こちらも美味でした♪

カテゴリー 白ワイン
ワイン名 シガリュス・ブラン Cigalus Blanc
生産者名 ジェラール・ベルトラン Gérard Bertrand
生産年 2011
産地 フランス/ラングドック地方
主要ブドウ品種 シャルドネ主体+ヴィオニエ、ソーヴィニヨン
希望小売価格 6,279円
輸入元/販売店 ピーロート・ジャパン

左が「ラ・フォルジュ」。右の「レ・ヴィアラ」も古樹から造られる、しなやかで上品な赤です。どちらも生産本数が限られているのでラベルに番号が記されています。

左が「ラ・フォルジュ」。右の「レ・ヴィアラ」も古樹から造られる、しなやかで上品な赤です。どちらも生産本数が限られているのでラベルに番号が記されています。

カテゴリー 赤ワイン
ワイン名 ラ・フォルジュ La Forge
生産者名 ジェラール・ベルトラン Gérard Bertrand
生産年 2011
産地 フランス/ラングドック地方/コルビエール・ブートナック
主要ブドウ品種 シラー+カリニャン
希望小売価格 8,053円
輸入元/販売店 ピーロート・ジャパン
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