ワイン&造り手の話

「ギア・ペニン」は、創刊25年を迎えたスペインワイン専門のワインガイドです。その主宰であるホセ・ペニン氏が来日し、今年で第二回目となる「ギア・ペニン・セレクション」試飲会が開催されました。お宝がゴロゴロしていたわけですが、その中からいくつかピックアップしてみました。

 

ホセ・ペニン氏が試飲セミナーの中で、こんなことを語っていました。

「アメリカ人評論家ロバート・パーカーについて聞かれることがあります。彼もよき友人の一人で、お互いにレスペクトしていますよ。ただ、ギア・ペニンとの違いは明らかです。私たちはスペインワインの専門で、この25年間で12万アイテムのスペインワインを試飲してきました。それに対してロバート・パーカーは1万6000アイテムしかスペインワインを試飲していないということです」。

 

そして、今回「セレクション」に出品されたワインは主に「90点以上」を獲得したものですが、その意味についてはこう説明しました。

「スペインは、ほぼ全土でワインを造っていますが、立地によって大きくワインのスタイルが異なります。私たちが90点以上をつけるワインは、品質が高い、というだけではなく、個性がなければなりません。テロワール、造り手など、他のワインと差別化できる要素があるものでなければつけません」。

明確な方針です。やはり、他では造れない、ここでしか造れない、というワインに出会うと感動的だと共感します。

 

試飲セミナーでは、アラエクス ARAEXという会社が取り扱っているワインが供されました。

この会社が創立されたのは1993年といいますから、ギア・ペニンと同じぐらいの歴史があります。その成り立ちが興味深い内容でした。

創立者のガラレタ氏は、当時スペインワインのコンサルタントによるレポートの言葉が衝撃的だったようです。そこには「スペインワインは、潜在能力があるのに、輸出力がない」と記されていたといいます。

そこで、皆で協力して各国へ輸出しよう、と一念発起したのです。まずはリオハ・アラベサの、質が高いワインを造る意欲的な小さな造り手から始めました。そして、反響が得られると他地域でも造り手探しに乗り出しました。ただし、扱うワインの条件は「小規模で、しっかりとしたワインを造るところだけ」という条件は変えることがなかったようです。

ギアペニン/ボトル

このようなワインを試飲しました。

ビリャ・コンチ・インペリアル・エクストラ・ブルット<ザ・グランド・ワインズ> Villa Conchi Imperial Extra Brut <The Grand Wines> D.O.カバ

GP(ギア・ペニン)90点

チャレロ40%、 マカベオ30%、パレリャーダ20%、シャルドネ10%/瓶熟成20か月以上

熟したリンゴやパイナップルなどの果実、蜂蜜に、ほんのりと香ばしさも感じられる、ふっくら豊かな香り。フレッシュな酸とリッチでオイリーな食感のバランスがよい。後味はグレープフルーツ系の爽やかさ。充実した味わい。

ワインを注ぎ中の手は「サン・パウ」の菊池ソムリエ

ワインを注ぎ中の手は「サン・パウ」の菊池ソムリエ

アルトス・エレ2014 <アルトス・デ・リオハ・ビティクルトーレス・イ・ボデゲーロス> Altos R 2014 <Altos de Rioja Viticulrores y Bodegueros> D.O.Ca.リオハ

GP90点

ビウラ60%、マルバシア40%/3分の1フレンチオーク樽で20日間発酵

白い花やライチなどの白い果実、洋梨、柑橘類の果皮など、フローラルで立ちのぼるフレッシュな香り。とてもなめらかな食感で、酸も穏やか。オイリーで、ほんのりとだけ収れん性が感じられる。アロマティック。

 

フィンカ・ムニョス・セパス・ビエハス2010 <ビニェードス・イ・ボデガス・ムニョス> Finca Muñoz Cepas Viejas 2010 <Viñedos y Bodegas Muñoz> V.T.カスティーリャ

GP91点

テンプラニーリョ100%/アメリカン&フレンチオーク樽で12か月熟成/場所はラ・マンチャにあり、ぶどうの樹勢は70〜100年

香りは少し閉じぎみで、少々ダスティーさも感じるが、若々しい香り。なめらかできめ細やかで、バランスもよい。タンニンは細やかで豊かで、しっとりとした長い余韻が心地よい。上品なラ・マンチャ。

 

ルイス・kニャス・レセルバ・セレクシオン・デ・ファミリア2008 <ボデガス・ルイス・カニャス> Luis Cañas Selección de Familia 2008 <Bodegas Luis Cañas> D.O.Ca. リオハ

GP94点

テンプラニーリョ85%、その他(カベルネ・ソーヴィニヨンなど)15%/フレンチオーク樽主体(アメリカンオークも少し)に18か月熟成

ブラックチェリーなどの熟した果実にロースト香が加わって、バランスのよいきれいな香り。味わいも整っていて、少しボルドーを思わせる要素も感じられる。酸がきれいで、しなやかさを醸し出している。

 

「GAお墨付き」のワインをどこかで見つけたら、是非お試しあれ。

「ギア・ペニン・セレクション」の試飲会編は次回。

(text & photos by Yasuko Nagoshi)

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