「ブラン・ド・ブラン」の聖地、コート・デ・ブラン! 〜シャルドネだけで造られるシャンパーニュの村別の違いを探る〜
06/28
細やかな泡立ちも美しいシャンパーニュは、いつ飲んでも美味しいものです。でも、日本にも様々な銘柄が輸入されるようになりましたから、よりどりみどりで迷ってしまう、という方がいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、シャンパーニュの中でも単一品種、シャルドネだけで造られる「ブラン・ド・ブラン」というカテゴリーに注目してみたいと思います。「ブラン・ド・ブラン」にもたくさんの銘柄がありますが、特に「コート・デ・ブラン」地区はその「聖地」と呼ばれ、ここでしか生まれ得ないピュアなシャルドネの姿を見せてくれます。だから有名な大手メゾンも、プレステージの高いキュヴェには必ずこの地区のシャルドネを必要とするのです。
「コート・デ・ブラン」は「白い丘」という意味で、行ってみると本当に白い!と実感します。ですから、「白い丘」で育った「白ブドウ品種」のシャルドネだけで造られる「ブラン・ド・ブラン=白で造った白」は素晴らしく美味しい! ということになりますね。ご存知のように大半のシャンパーニュは、このシャルドネだけでなくピノ・ノワールとピノ・ムニエという黒ブドウもブレンドしていますから、味わいは「ブラン・ド・ブラン」のほうがより繊細なタイプが多くなります。そしてこの特別な丘から生まれるのは、更にピュアで光沢を感じるようなスタイル、というのでしょうか。特別な気品を感じられます。そして「コート・デ・ブラン」地区にはいくつかの「特級」格付けされた村があります。それぞれの村にどのような特徴があるのか、探ってみました。
ある人が言いました。
「クラマンは茶色」
「アヴィーズはオレンジ色」
「オジェは白」
「ル・メニル・シュール・オジェは灰色」
別の表現にすると、
「クラマンはバランス」
「アヴィーズはボディ」
「オジェはエレガンス」
「ル・メニル・シュール・オジェはミネラル」
実は、今回の探求はこの言葉を「ピエール・ペテルス」の当主、ロドルフ・ペテルス氏に聞いたのが発端です。実際に現地へ行って確認したくなったからです。
この白い丘で特級格付けされた村は6つあります。「オワリー」は未確認ですが、残りの5つの村特徴を北から、更に詳しく記してみます(併記したのは、それぞれの村に関連する訪問したワイナリーです。別ページでそれぞれご紹介します)。
「シュイィ」
訪問先:ヴァザール・コカール
ナッツやパイナップルのようなよく熟した果実の香りと、ふくよかで厚みのある味わい。
「クラマン」
訪問先:ギィ・ラルマンディエ(ワイナリーはヴェルテュ村)
品質が均一で、比較的早くから楽しめるだけでなく、熟成させてからも美味しく飲める。ル・メニルほどミネラルな要素はなく、バランス感覚に優れている。バニラのような甘いスパイスの香りが、熟成と共にシナモン、更には発酵茶のように変化して行く。クリーミーさも特徴的。
「アヴィーズ」
オレンジやグレープフルーツなど、エキゾチックな柑橘系のアロマが特徴的だが、香りの高さはル・メニルやクラマンのほうが秀でている。こちらは、リッチで力強さが感じられ、ボディや骨格がしっかりし、ミネラル感はそれほど表に出ない。
「オジェ」
洋梨やリンゴのような白い果実、オレンジの花のような白い花、といった香りが魅力的で、全体にエレガント。凛とした佇まい。
「ル・メニル・シュール・オジェ」
訪問先:ピエール・ペテルス/サロン&ドゥラモット
最もミネラルが感じられる、タイトで洗練された姿。石やチョークを思わせるミネラル感、ライムのような柑橘類のアロマで、上品で芯が強く、酸にもシャープさが感じられる。若いうちは硬くて飲みにくい印象ながら、熟成するとともにナッツ、コーヒー、エキゾチックな果実など複雑な香りが加わり、味わいもソフトになっていく。
いかがでしょう? 機会があったらグラスをいくつか並べてみて、違いを楽しんでみてください!
(注)画像はイメージです。各村のイメージ画像に写っている石は、シャンパーニュ地方のものではありません。
最後の真っ白な塊が、シャンパーニュ特有の石灰質土壌です。
<付記>
基本的にはシャンパーニュは、複数の品種+複数の畑や地区+複数のヴィンテージ、これらをブレンドするものが大半で「シャンパーニュはブレンドの妙」です。今回のフォーカスはその対極を見てみるものでした。
<オマケ>
「コート・デ・ブラン」地区がシャルドネの栽培に適している理由のひとつは、石灰質土壌が豊かなこと。この地区のすぐ近くに粘土質の多い土壌がありますが、粘土が多いと保水性がよすぎて土の温度がシャルドネには冷たすぎるのです。また、「コート・デ・ブラン」の丘の斜面は東向きが多いこともシャルドネにとっては利点です。こ
の品種は霜に大変敏感ので朝一番から太陽の光があたることが重要です。また、真南であったり熱の強い西日があたったりする立地の場合、シャルドネは「焼けてしまう」という言い方をします。
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