ワインと料理

Point: 香りと厚みを合わせる

 

ソースの上の黄色はレモンの皮です。ワインの香りに合わせてアクセントに。

ソースの上の黄色いのはレモンの皮です。ワインの香りに合わせてアクセントに。

デカンタ(あるいはデキャンタ)といえば、赤ワインを飲む時にする作業だという印象をお持ちの方が多いと思います。若くて固い赤ワインをたくさん空気を触れさせて、香りを華やかに味わいもまろやかにする、という目的がひとつ。熟成が進んだ赤ワインから瓶底に沈んだ澱を取り除くため、という目的がひとつ。

 

でも、白ワインでも役立つことあるんですよね。

このブルゴーニュの白ワイン。開けてすぐは、とっても固かったのです。リンゴ、洋梨、レモンの皮、それにほんのりバニラ系のきれいな香りがするのですが、味わいはいわゆる「ミネラリー」といわれる鉱物質の固いニュアンスで、厚みもあるのに若過ぎてちょっと刺激的なのです。パワーが溢れて落ち着かない感じでしょうか。

 

そこで、空気に触れさせるためにデカンタしました。飲み始める1時間ほど前です。それでも飲み始めてしばらくはまだ固さがありましたが、恐らくそれから1時間ほど経過すると、ガラリと様子が変わりました! トロリとした食感になり、丸みや厚みが現れて味わいが一体化! 素晴らしい変化でした。ちょっと手間ではありますが、こんなこともありますから「もしや?」と思ったら白ワインでもデカンタをお試しください。

 

さて今回のワインには、鶏肉のソテーにレモンの果皮で風味添えしたクリームソースを添えてみました。これはささ身肉ですが、ムネ肉でもよいかと思います。ソースはクリームチーズをミルクでのばした超簡易なものです。牡蛎のソテーやアクアパッツァのような、コクのある魚介類も美味しそうです。

 

<付記>

この造り手ジャック・バヴァールさんは、パリでレストランを20年間経営した後、故郷のブルゴーニュに戻り、2005年が初ヴィンテージ。父のピュリニー・モンラッシェの畑を継ぐだけでなく、質の高いブドウを育てている栽培家を発掘して契約してワインに仕上げるという「マイクロ・ネゴス」です。詳細がわかったら、また後日お知らせします。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

 

2005年からの新進の造り手さんです。

2005年からの新進の造り手さんです。

カテゴリー 白ワイン
ワイン名 サン・ロマン スー・ル・シャトーSaint – Romain Sous le Château
生産者名 ジャック・バヴァール Jacques Bavard
生産年 2010
産地 フランス/ブルゴーニュ地方
主要ブドウ品種 シャルドネ
希望小売価格 6,500円(本体価格)(ネット会員価格は割引があるようです)
輸入元/販売店 徳岡

 

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