ワイン&造り手の話

サンジョセフ2本

猛暑日が毎日のように続くと、さすがに体力を消耗します。ついついアッサリした涼しげなものを食べたくなりますが、たまにはガッツリ赤身肉を食べて、体力回復したいものです。そういう時には、太陽の恵みをたっぷり受けた真っ赤なワインがいいですよね。でも、あまり濃すぎても辛いような気がします。北部ローヌのサン・ジョセフは、ちょうどピッタリくる赤ワインではないでしょうか。

 

ただし「サン・ジョセフ」には、結構色々なタイプがあります。急斜面の畑から平坦な部分まで合計して1,000haほどもあるからでしょうか。フルーティーな香りで軽快なものから、スモーキーで土っぽく野生味を感じるもの、果実風味が凝縮されたものもあります。だから、正直なところ開けてみなければわかりません。心配な場合には、ワイン・ショップやレストランで扱っている人に、直接聞くのが一番かもしれません。

 

そこで、今回は「ギガル」のサン・ジョセフを取り上げてみることにしました。2011年の「サン・ジョセフ」と「サン・ジョセフ ヴィーニュ・ド・ロスピス」です。前者は、ギガルが複数の栽培家から購入したぶどうで造ったものなので、サン・ジョセフ内のどこのシラーか、というのは特定できません。対して後者は、サン・ジョセフの中で最も優れた畑とされている、ギガルが単独所有している畑のシラーで造られています。

 

「サン・ジョセフ 2011 E. ギガル」Saint Joseph Rouge 2011

サンジョセフ1開けた直後は、少し野性的な香りがしました。少し干した肉、熟したプラムなどの黒い果実、そして少しだけプラムをドライにしたようなニュアンスがあり、スパイシーさもほんのり。でも、味わってみると、香りの第一印象よりずっと上品なイメージに変わりました。なめらかな食感で、酸がきれいで上品な味わいです。タンニンも細やかで、味わいをギュッと引き締める心地よさです。

ほどよいボリュームもあって、みずみずしいハリのある黒い果実に、少々スパイスをふりかけた、そんなニュアンスでしょうか。

資料をみると「樽熟成28か月」と記されていました。結構長いですよね。でも、そういう印象はありません。とても若々しいワインです!

少し大きめのグラスを使って、ゆっくり飲むのがよさそうです。

 

「サン・ジョセフ ヴィーニュ・ド・ロスピス 2011 E. ギガル」Saint Joseph Vigne de l’Hospice Rouge 2011

サンジョセフ2このサン・ジョセフは、ただのサン・ジョセフではありません。最高ランクのサン・ジョセフです。

ちょうどこの畑のローヌ渓谷の対岸には、エルミタージュの畑があります。そして、サン・ジョセフ内では実に珍しいことに、この畑の土壌とエルミタージュのベッサールの土壌を比べたら、まったく組成が同じだったといいます。

 

もとは、地元のオスピス・ド・トゥールノンが所有していた畑で、ドメーヌ・ジャン=ルイ・グリッパとドメーヌ・ヴァルーイが自社畑としていましたが、その両方をギガルが購入したのです。合計で3.4haになるテラス状の畑で、ここを単独所有することになりました。あまりにも急斜面なので、段々畑にするしかなかったのですね。ギガルがこの畑のぶどうを仕込み始めたのは1999年からのようです。

ただ、エルミタージュのような赤ワインができるかというと、そうではありません(もちろん、同じ北部ローヌの赤、コート・ロティと比べたら、エルミタージュのほうが性格は似ていますが)。エルミタージュは斜面が南から南西向きなのに対して、ヴィーニュ・ド・ロスピスは南から南東向きの斜面です。西日は熱いですが、朝日は光は強くともそれほど熱くはありません。ですから、エルミタージュよりこのロスピスのほうが、より上品でデリケイトな仕上がりになるのです。ちなみに、普通のサン・ジョセフと比べても収穫は10日も遅いようです。標高差もあるので、ゆっくりと成熟するということです。

 

この畑に植えられたシラーは、樹齢が20年から高齢なものは80年にまでなるそうです。古樹の貴重なエキスも、この中に入っているのですね。

 

コルクを抜いて、グラスに注ぐと……もうそれだけで、スミレのような上品な香りがしてきました。果物系の香りは、ブルーベリー、プラム、ブラックチェリーなどで、フレッシュなみずみずしさも感じられます。そして、次第にほんのりとコーヒーやキャラメルも香り出ます。

とてもなめらかな食感で、適度なボリュームもあり、酸もタンニンもバランスよく、統一感のある味わいというのでしょうか。切れ目のない一体感のある、素晴らしいバランスです。上質感、あるいは優雅さがあります。

 

それから、このキュヴェはギガルではあのコート・ロティと同じ造りをしているそうです。ステンレスタンクにて天然酵母で発酵させ(33度/25日)、新樽100%で30か月もの樽熟成! でも樽の要素は表出ることなく、ワインの一部と化しています。

 

この銘柄は、ローヌ好きの方たちにはもちろんですが、ブルゴーニュ好き、ボルドー好きの方たちにもお薦めできる1本だと思います(どちらかといえば、ブルゴーニュ好きの方に1票かもしれません)。今でも美味しく飲めますが、5年、10年後のためにとっておくこともお薦めします。

 

ちなみに、ギガルがこの「サン・ジョセフ ヴィーニュ・ド・ロスピス」をリリースして、サン・ジョセフのイメージが一新されたといいます。確かにサン・ジョセフには、何となく少し野暮ったい印象がありますから、この上品なサン・ジョセフを飲めば驚かずにはいられません。

 

夏バテ防止、体力回復のために焼き肉! ということなら、まずは普通のサン・ジョセフをお薦めします。

ヴィーニュ・ド・ロスピスの場合には、ガッツリ、というタイプではないので、特上のカルビを食べる時がよいでしょうか。あるいは、牛頬肉の煮込みとか、牛タンシチューとか、とろけるような赤身肉ととてもよく合いそうです!

(輸入元:ラック・コーポレーション)

( text & photos by Yasuko Nagoshi)

 

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