飲み残した時の最新お助けグッズ登場! 〜ワインを酸化から守るワインストッパー フラヴァン〜
05/29
「ワインは一度開けたらなるべく早く飲んだほうがよい」と言われても、なかなかそうはいかないことが多いものです。そのため、今までにもいくつかのお助けグッズがありますが、今回日本で新発売されるストッパーはちょっと今までとは概念が異なります。高性能の酸素吸収剤(特許品)を使用し、8時間以内に瓶内の残存酸素を99%以上除去!
<他社製品との違い>
フラヴァン(FlaVin)という名のワインストッパーは、韓国で開発されました。大学の研究室とのジョイント・ベンチャーで、資料には他社製品との比較結果も出ています。瓶内を真空にするタイプだと瓶内圧力がひどく変化するので、ワインの香り成分が多く失われるのが難点。不活性ガスを瓶内に噴霧して酸素を除去するタイプは、ガスの量が使う人によって随分ちがってくるのが難点。そう指摘しています。
ではフラヴァンは? これは、専用のストッパーの下方にプラスチックのスティックがついていて、そこに高性能の酸素吸収剤を専用ポケットに入れてぶらさげて、瓶へ入れてレバーを押し下げて密閉をする、という仕組みです。なので、他社製品の難点はカバーしています。そしてストッパーは何度も使えますし、酸素吸収剤は2〜3ヶ月使用できるようですから案外小さな投資ですみます(ストッパーには10袋の酸素吸収剤が附属して1,800円。取り替え用の酸素吸収剤は20袋で1,600円)。
<実験開始!>
さて、では実際に実験してみることにしました。ワインは赤、白、泡を各2種類ずつ。初日に4分の3ほどにして、フラヴァンを装着し、冷蔵庫で保存して1週間後、2週間後、3週間後の様子をみて、4週間後には同じ銘柄の開けたてのものと比較。そういう手順をとってみました。使用した銘柄をご紹介しながら、味わいの変化をお知らせします。
泡1<シャンパーニュ>−ツァリーヌ ミレジム・ブリュット<シャノアーヌ>2006 Tsarine Millésime Brut <Chanoine> \6,000円
ピノ・ノワール45%、ピノ・ムニエ20%、残りがシャルドネ、という黒ブドウ主体の構成ということもあり、全体に豊かなタイプです。香ばしさや熟した白桃、アプリコットや蜂蜜、ナッツが香り、なめらかな口当たりです。帆立貝のバターソテーやフォアグラのパテを使った前菜に合いそうなニュアンス。和食なら、舞茸の天ぷらや鶏挽肉のレンコンはさみ揚げなど。
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次第にトースティーな香りと蜂蜜系の香りが増していきました。4週間後の時点で、香りの要素そのものはそれほど大きな変化はありませんが、少し味わいが重く感じられることと、泡は徐々に減っていきますから何より立ちのぼる泡に伴う香り(シュワッと立ちのぼる香り)がなくなっていることに気がつきました。ただ現実的には、シャンパーニュが4週間残ることは稀ではないかと思います(笑。きっと消費は早いかと)。
泡2<クレマン>−レ・ジャメル ブリュット メソッド・トラディショネル<バデ・クレマン> Les
Jamelles Brut Méthode Traditionnelle <Badet Clement> \2,000円
シャルドネが主体の上品なタイプのスパークリングです。白パンにほんのりとしたトースト香、金柑や柑橘類の果皮のような香りがして、クリスプで口当たりのよい、親しみやすいタイプです。ナッツやチーズのような簡単なおつまみでもよいですし、揚げ春巻きやエスニック料理でも楽しそうです。これも次第にトースト系の香りが増して、4週間後にはコンガリトーストの香りになりました。やはり泡が徐々に減り、泡によるクリスピーさがない分ふくよかな印象になり、むしろ白ワインとして美味しく飲めるといったところ。家庭ではそれもまたよいように思います。
白1<ブルゴーニュ白>−ブルゴーニュ・シャルドネ レゼルヴ<ピエール・アンドレ>2011 Bourgogne Chardonnay Réserve <Pierre Andre> \2,300円
フレッシュなレモンやライム、そしてオレンジの花のような香りが爽やかで、口当たりはなめらかながらフレッシュ感にあふれたバランスのよい味わい。鶏のサラダや魚介類などの冷前菜、あるいは野菜スティックのディップなど、フレッシュ感のある料理と美味しそうです。
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1、2週間後まではフレッシュな状態が変わらず香りがより広がる印象を受け、3、4週間後になると次第にハツラツさではなく落ち着きに変化していきました。酸化ではないけれど、何かが変化した、というニュアンス。
白2<ボルドー白>−レ・パーセル・ドゥ・ステファン・ドゥルノンクール ボルドー・ブラン 2011 Les Parcelles de Stephane Derenoncourt \2,000円
主体となるソーヴィニヨン・ブランらしい、緑系の香り(カシスの芽、ハーブと表現される香り)が華やぎ、グレープフルーツ、ミツ、オレンジなどの果実と融合した香りで、味わいは穏やかながらクリスプでとても爽やか。ハーブマリネの白身魚や、ハーブ鶏、鶏の唐揚げなどと相性がよさそうです。
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4週間後まで全体的な印象は大きくは変わりませんでした。ただ、開けたてのハツラツさは次第になくなっていく反面、ブレンドの一部であるセミヨンのまろやかさが現れてきてうまくバランスを取り続けている、という印象。いずれにせよ、酸化臭は出てきませんでした。
赤1<ブルゴーニュ赤>−ブルゴーニュ・ピノ・ノワール レゼルヴ ヴィエイユ・ヴィーニュ<ピエール・アンドレ> 2011 Bourgogne Pinot Noir Réserve Vieille Vigne <Pierre Andre> \2,300円
なめし革、アメリカンチェリーなどが、軽快にフレッシュに香り出て、味わいも繊細でなめらかで、ほんのりとしたタンニンが後味を引き締めます。少し冷やしめでランチに飲むのもよい感じ。鉄板焼きからメンチカツやミートソースのパスタまで、幅広い料理と合いそうです。
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1週間後に、なめし革の香りが消える代わりにチェリーがハーブも使用したリキュールのような香りへ変化して、味わいではタンニンが少しソフトになりました。4週間後まで、ほぼそのまま同じような状態が続きました。ふらりと立ちのぼる香りではなくなりましたが、香りの要素はそれほど変化がありませんでした。
赤2<ボルドー赤>−レ・パーセル・ドゥ・ステファン・ドゥルノンクール ボルドー・ルージュ 2010 Les Parcelles de Stephane Derenoncourt \2,000円
カシスやチェリーのような熟した果実、少し青みのあるスパイス、そして肉っぽさ、獣っぽさを感じる香りがし、味わいは全体にまろやかで穏やか、そしてボリューム感も感じられました。お好み焼きやバーベキュー、牛カツなど、肉類を使用したカジュアルな料理と合うでしょう。
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1週間後に、青海苔に似た香りが出て、2週間後には甘い要素も加わりました。3週間後から果実の要素が減少し、味わいにも苦みが感じられ始めたので、2週間後くらいまでに飲みきることをお薦めします。
<総論>
*酸素吸収剤を入れた小さなポケットをノズルにつるしさえすれば、あとは使い勝手がとてもよいと思います。
*ただ、泡ものはストッパーをはずすのに結構力を使います。
*泡ものは、開けるたびに「プシュッ」と音がします。ですから、二酸化炭素がキチンと残っているのがわかります。ただし、開けるたびに音とともに二酸化炭素が瓶から出ているので、泡は確実に消えていきます。
*どれも、いわゆる「酸化」的な大きな変化ではありませんが、何か変化していることは事実です。その変化が極端にもとの状態と乖離しないうちに(美味しい変化のうちに)飲むのが最もおすすめです。
*今回のボルドー赤については、還元作用がよくない方向へ働いてしまったようです。
ワインストッパー「フラヴァン」及び使用したワインの輸入元:東亜商事
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