ワイン&造り手の話

イタリアのスパークリングワインといえば「フランチャコルタ」。銀座の「アルマーニ・リストランテ」や「ブルガリ イル・リストランテ」のワインラウンジやバールの人気が、フランチャコルタの定着を後押ししたような印象をもっています。この秋、フランチャコルタの造り手が複数来日していました。その中からクアードラを紹介します。

 

「フランチャコルタは、シャンパーニュとどう違うの?」と、聞かれたことがあります。気候も土壌も、規模も歴史もちがうので、一言で説明するのは難しいのですが、味わいでいえば、圧倒的にフランチャコルタのほうが柔らかい、ということでしょうか。ちょうど「フランチャコルタらしさ」を「テヌータ・クアードラ」を運営するマリオ・ファルケッティさんと話したので、簡単にまとめてみます。

 

クアードラのマリオ・ファルケッティさん。

クアードラのマリオ・ファルケッティさん。

<ピノ・ビアンコの存在>

「ピノ・ビアンコ(フランスではピノ・ブラン)は、フランチャコルタの署名のようなものです」と言います。

だから、テヌータ・クアードラのスタンダードなキュヴェ「イル・ブリュット Qブラック」には、ピノ・ビアンコが35%もブレンドされています。白桃やリンゴのようなフレッシュな香りで、バランスよいソフトな味わいでした。

 

最近は、シャルドネ人気が高まっていてピノ・ビアンコの栽培面積が全体の5%ほどまで減ってしまっているようです(シャルドネは80%!)。

「でも、シャルドネは強いのでパワフルになりすぎることがあると感じています。バランスをとってエレガントに、デリケイトにするのがピノ・ビアンコの役割です」ということなので、フランチャコルタに感じるソフトさの一因はピノ・ビアンコにも由来しているようです。

 

<サテンというカテゴリー>

ちょうどマリオさんに会った日には試飲用には出ていなかったのですが、「サテン」というカテゴリーにこだわりを持つ男だと聞いていました。「サテン」は「絹」のことで、まるで絹のように繊細でしなやかなフランチャコルタなのです。いわゆる「ブラン・ド・ブラン」と同様に白ブドウしか使えません。ですから、シャルドネだけか、シャルドネ+ピノ・ビアンコ。加えて、泡の勢いが意図的に弱くしてあります。通常6気圧ほどありますが、サテンは4.5気圧に抑えているので、クリーミーな心地よい食感が楽しめるのです。

 

「私は、サテンはフランチャコルタの入門アイテムとしてとても重視しています。フレッシュでフルーティーでエレガント。果実と酸のバランスがよく、多くの人にすぐに親しんでもらえる味わいなので、とても大切なカテゴリーなのです」。

 

やさしく繊細なタイプのスパークリングワインが飲みたい時に、お薦めです。クアードラの場合は、サテンにもピノ・ビアンコをブレンドしていますから、最もフランチャコルタらしさを表現しているキュヴェなのかもしれません。味見する機会があったら、またお知らせします!

<オマケ>

「キュヴェ46 2009」というヴィンテージものの味見もしました。こちらはシャルドネとピノ・ノワールだけで、ブドウの樹齢が35年です。樽(7、8年使用)で発酵・熟成させてから瓶内二次発酵をしていて、複雑性と厚みのある味わいです。しっかり系が好みの方にお薦めですね。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

 

QuadraBottle

右がQブラックで、左がキュヴェ46 2009年。

カテゴリー スパークリングワイン
ワイン名 フランチャコルタ イル ブリュット QブラックFranciacorta Il Brut ‘Q Black”
生産者名 テヌータ・クアードラ Tenuta Quadra
生産年 N.V
産地 イタリア/ロンバルディア
主要ブドウ品種 シャルドネ62%、ピノ・ビアンコ35%、ピノ・ネロ3%
希望小売価格 オープン価格(参考小売価格5,200円)
輸入元/販売店 MONACA
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