ワイン&造り手の話

ボランジェから徒歩で数分の道のりでした。

「アヤラ」、「ボランジェ」共にアイ村にあるメゾンです。今年3月に訪問する機会がありましたが、歩いてほんの数分のご近所です。重厚で熟成感のある「ボランジェ」に対して、「アヤラ」はエレガントでフレッシュな、いわば対極の性質を備えています。そこで、外観もより明確に「ボランジェ」と分けよう、という発想です。

 

黒地に白文字のシックな装い。グラスの後ろのカードは1920年代の広告の写しのひとつ。

黒地に白文字のシックな装い。グラスの後ろのカードは1920年代の広告の写しのひとつ。

<アヤラは赤から黒へ」

新しく出来た建物は目についても、空き地を見て一体ここに何があったのかを思い出せない、という経験は誰しもあるのではないでしょうか。それと同じように、新しいラベルを目の前にすると、以前どんなラベルだったのか記憶の中から掘り起こすのが大変、というのは私だけかもしれませんが、…… 。

 

以前、アヤラのノン・ヴィンテージ「ブリュット・マジュール」のラベルは、白地に赤い文字でした。オーソドックスな金色のホイールに、赤い帯をまとっていることもあり、赤がキー・カラーとなっていました。ところが、ボランジェのノン・ヴィンテージ「スペシャル・キュヴェ」も金色に赤い帯、という点が同じ色合いです。文字の色こそ黒ですが、ラベルは白地。なので、遠くから見れば確かに同じ傾向にありました。

 

そこで、アヤラの装いを全面的に変更することに決めたのです。今度は、ぜんぶ黒! ぐっとシックな装いになりました。ホイールも、帯びもラベルも、黒地に白文字です。黒というのは「純粋性を信条とするアヤラには原色が似合う」という点と、「1920年代に作っていた広告を振り返ってみていると、モノクロームな色使いがほとんどだった」という点から決めたそうです。

 

また、それに伴って「ブリュット・ナチュール」「ロゼ・マジュール」「ブラン・ド・ブラン」も新装です。ロゼはふわりとした可愛らしさがあり、ブラン・ド・ブランは清涼感に溢れています。ブリュット・ナチュール、これはやはり、キリッとした印象でしょうか。

 

<アヤラのスタイル>

ちなみに、「アヤラ」の醸造長はシャンパーニュ地方では珍しいのですが、カロリーヌ・ラトリヴというチャーミングな女性です。創業の1860年以来、フレッシュでエレガント、純粋で繊細、というスタイルを守ってきているので、女性ならではの細やかな感性がちょうどうまく反映されているのではないかと思います。

 

そして、シャンパーニュがまだ甘口全盛の時代だった130年前に早くも「辛口」スタイルを打ち出したことでも知られています。その歴史も踏まえて今でも基本的なドザージュ(コルク打栓前の糖分調整)が非常に少ない上、ドザージュをまったくしない「ブリュット・ナチュール」も、このメゾンでは成功しています。生の魚介類との相性がとてもよいので、お寿司の伴にもよさそうです。

 

本当に、色々な意味で正反対の「アヤラ」と「ボランジェ」。兄弟や姉妹、というよりは兄妹、といった存在でしょうか。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

 

横2 カテゴリー 白赤ロゼスパークリングワイン
ワイン名 ブリュット・マジュール Brut Majeur
生産者名 アヤラ Ayala
生産年 NV
産地 フランス/シャンパーニュ
主要ブドウ品種 シャルドネ40%、ピノ・ノワール40%、ピノ・ムニエ20%
希望小売価格 5,800円(本体価格)
輸入元/販売店 アルカン
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