ワイン&造り手の話

表紙

<2013年の特徴とは>

— 2013年のブルゴーニュ・ブラン&ルージュの試飲をさせていただきました! 相変わらず素敵ですね。白は花と果実の香りが綺麗な上に、口当たりがとてもなめらかで、赤は、本当に色々な赤い果実をたくさん口に頬張ったような感触で、フレッシュでした。

栗山 ありがとうございます。名越さんにお褒めいただくと、嬉しいと同時にほっとします。

— さてさて、2013年は栗山さんにとって、どういう年だったでしょうか? ざっとした収穫状況の他に、シャントレーヴならではの情報もいただけるとファンの方々が喜ぶと思います。

栗山 霜害、雹害、花震いにベト病と、葡萄栽培には苦難の年でした。けれども収穫前の8月は晴天が続き、赤はタンニンの熟成をじっくりと待てる好機を得ました。

収穫時にはボトリティスがひろがっていましたから、徹底的に選果した生産者はミレジムの美しさが反映したワインを醸したことでしょう。私たちも例にもれず、かなりの時間をかけて選果しました。

— 苦労が多いヴィンテージだったのですね! 選果は、具体的にはどのようにされたのですか?

栗山 収穫時は私も現場(畑)にいて、そこでまず大まかに選果され、収穫ケースで蔵に運びます。蔵ではケースごとに粒選りで徹底的に選果します。特にアンキュヴァージュ(発酵用のタンクに入れる)時に亜硫酸をごく少量しか使わないので、デフォ(味覚的に確認できる欠陥)のリスクなく醸造するためにもできるかぎりの選果をします。

ふりかえってみると、非常に興味深いヴィンテージです。低収量なので凝縮感はあるのですが、冷涼な気候だっただけに重さ鈍重さがなく、結果ミレジムよりテロワールが全面に出ることとなりました。友人達の蔵をまわり試飲し、普段は若いうちは濃くパワフルな傾向にある蔵の赤でさえ軽やかで奥行きが美しいと感じました。例えばクロ・ド・ランブレイの2013年は去年より今まで3回いただいていますが、スケールと奥行きがあり素晴らしい出来です。もてはやされている2012年よりも良いと思いました。ティエリー・ブルーアンさんも2013年はわけても自負がおありになるようです。

— 端的に言えば、2013年は凝縮感はあるが重くない、フィネスの年、でしょうか?

栗山 そう言えると思います。各テロワールの特徴が際立っている年です。

赤は全体的にニュイもコート・ド・ボーヌも糖度は低めだったのです。でも優秀な生産者のワインの出来が良いことから、糖度はひとつのパラメーターに過ぎないことをあらためて実感しました。数値に踊らされず、栽培者の力量に信をおいてリラックスして醸せてよかったと思っています。

— そして、栗山さんはシャントレーヴで2010年から造り始めて、2013年は4年目のヴィンテージですね。

私のブルゴーニュの印象ですと、バランスのとれた2010、少し温かめの2011、2010年以上に中身の詰まったバランスのとれた2012、という感じなのですが、特に2013年の秀でているポイントは何でしょうか。

栗山 2013年はわけても赤の醸造がイメージ通り以上にいった年です。ピュアで透明感があり、重心の高い赤を醸せたと思います。各国のお客様も、シャントレーヴは今まで白のイメージのほうが強かったけれども、2013年の赤は個性、わけてもフィネスと透明感があり良いね、と言ってくださっています。赤はやっとスタート地点に立てたかな、と思います。

— 白はいかがでしょう。

栗山 シャルドネは、ムルソーからピュリニーにかけては全体的に理想の糖度に達していましたから、果実味も良くのっていると思います。2013年であらたに試みたのは、樽出し時におり引きをせず、澱ごとタンクに移してエルヴァージュを続けたことでした。樽に入れていた時点では果実味が全面に出ていたキュヴェ(特にムルソーなど)が多かったのですが、微酸素供給がないタンクに澱ごと移した時点でやや還元的になり、ワインがひきしまり熟成のポテンシャルも高められたと考えています。

— ちょうど他の生産者の方から、2013年は化けたヴィンテージだと聞きましたが、これは、ブルゴーニュの造り手さんの総合的な見解ととってもよいでしょうか?

栗山 はい、蓋を開けてみたら綺麗でエレガントなミレジムなので、良いサプライズ、というのは生産者みな感じていることではないでしょうか? 凝縮感の強い2012よりもテロワールが自然に素直に現れているミレジムだと思います。

 

<シャントレーヴの変化>

— 2013年から、「ポンプ使用を減らして重力でワインを移動させるなど、酸化防止につとめ、亜硫酸量を減らした」と、おっしゃっていました。ポンプ使用を減らすこと以外にも、何か対処はされましたか?

そして、その結果について、ご自分で満足していらっしゃいますか? 白も赤も果実風味がよりピュアになったような気がしましたが。

栗山 そうお感じいただけたのなら本望です。マティエールと余韻がありながらも透明感のあるワインが造れたら良いなと思っています。飲みたいワインをイメージしながら作業していると、だんだんそういうワインになってくるのかもしれません。

おっしゃる通り、ポンプでのワインの移動が好きではないので、赤は醸し中のルモンタージュなど行いません。重力を利用して澱引きしたり、窒素ガスでワインをタンクから押し出すなど、極力他の手段を使いました。けれどもピュアな果実味はそれだけに拠るものではありません。赤はほぼ除梗しているのですが、抽出の仕方を2013年から大きく変えました。また亜硫酸を減らすと、必然的にワインをもっと頻繁に細かく観察したり試飲したりすることになります。エルヴァージュの途中でがたっと酸化しはじめる白などあったりするのです。その場合は普段はしないバトナージュで澱を撹拌したり、その時点で澱とともにステンレスタンクに移すなど、工夫が必要になります。

— 常に、こまめに状態を確認しながら、という慎重なお仕事ですね。

そして、2013年ヴィンテージから新たにサン・ロマンとオーセイ・デュレスの白も造られたのですよね。出来はいかがでしたか?

栗山 それぞれ栽培者が優秀なこともあり、1年目としては良い感触です。オーセイは私たちの白としてはグラがのっているので、ワインを飲み始めたばかりの方でも口当たり良く感じると思います。サン・ロマンはきりりとミネラリーでありながら、ニュアンスに富んでいて大変気に入っています。英のデキャンター誌で、コストパフォーマンスに優れた2013年産のブルゴーニュの30本のうちの1本に選んでいただきました。嬉しかったです。

— おめでとうございます! ちなみに、デキャンターの何月号でしょうか?

栗山 今年の5月号です。

— それから、気の早い方のために、2014年の状況も少々教えておいてください。気候と収穫について少々と、栗山さんの印象として、現時点で「こんなワインになりそう」というようなところを。

栗山 2014年は気候的に7月末までは申し分ありませんでした。晴天が続いて低気圧もまれでしたから。8月いっぱいは雨に降られましたが、そのおかげで凝縮しすぎることがなく、冷涼気候地域ならではのミネラル感が保たれたと思います。白は申し分ないですし、赤は全面的に全房発酵を使用したので、果実味に加えてフローラルなニュアンスが加わっています。ご期待ください。

— 2014年も楽しみにしています!  ありがとうございました!!

 

 

<試飲したワイン>

ブルゴーニュ・シャルドネ2013

シトラス系果実の香りが上品に立ちのぼる。花の蜜のようなニュアンスや、洋梨も感じられる。とてもまろやかな果実味。厚みもあり、なめらかな舌触り。果実、酸、ミネラルのバランスがよく、今でも美味しい!

ブルゴーニュ・ピノ・ノワール2013

ピュアな赤い果実の香りがとても上品に香る。スパイスというより、本当にピュアな果実。チャーミングなアタックで、酸が生き生きとしてグリップあり。タンニンも、それほど多くはないが若々しい。ハリのある味わい。

ラズベリー、チェリー、レッドカラント、クランベリー、グミを一緒に頬張ったような、新鮮さ。とてもきれい。

*シャントレーヴの関連記事は他に2013年の記事2014年の記事があります。

(輸入元:ラック・コーポレーション

(text & photos by Yasuko Nagoshi)

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