ワインと料理

横

今年は7月29日火曜日が「土用の丑の日」ですね。ただ、蒸し暑い日が続いて体力が消耗されてくると、待ちきれずに鰻の蒲焼きを食べたくなってしまいます。既にスーパーマーケットでも、特設コーナーができていますから、見るたびについ手を伸ばしたくなるものです。

 

ところで、どうして「蒲焼き」というかご存知でしょうか。いくつかの説があるようですが、今のように開いて焼くのではなく、ぶつ切りにして串焼きにしていた様子が「蒲(がま)の穂」に似ていたから、というのが有力なようです。フランス料理ではボルドー名物で鰻の赤ワイン煮込みがありますが、これもぶつ切りです。ベルギーやデンマークでも、ぶつ切りのソテーやクリーム煮込みがあるようですね。想像すると何だか食べにくそうだなあ、と思ってしまうのは私だけでしょうか。

 

鰻の蒲焼きには、重厚なタイプや熟成したシャンパーニュを合わせる、というのも魅力的ではありますが、ロワールの力強いタイプのカベルネ系赤ワインを合わせるのが実はとても気に入っています。暑い時期にはつい冷たいものを食べたり飲んだりしがちですが、それでは身体が冷えてしまいます。たまには、しっかり系赤ワインを飲むのも体力回復にお薦めです。

 

<クロー・ド・ネル/カベルネ・ソーヴィニヨン2009>

素敵なラベル。アンヌ・クロード・ルフレーヴの名前が記されています。

素敵なラベル。アンヌ・クロード・ルフレーヴの名前が記されています。

このワインは、お茶室で飲みたくなる赤ワインです。

香木のようなスパイシーさがあり、ブラックベリーやカシスといった黒い果実が香るのですが、清涼感が感じられて、どこか渋いニュアンスがあります。渋いといっても味が渋いのではなく、わびさび系の渋さです。味わいはバランスよく、少し固さが感じられて、どちらかといえば玄人向けといえるでしょう。例えば、新世界のフルーティーでわかりやすいタイプではなく、食事とゆっくり合わせながら楽しむことを望まれているタイプです。

 

鰻の蒲焼きと合わせてみると、とてもしっくりきます。静かに、自然体でどちらも美味しくいただけます。

他に、鴨肉の燻製や、鶏もも肉の幽庵焼きなどにも合いそうですから、懐石料理の赤ワインとしてもよさそうです。

 

<クロー・ド・ネル/カベルネ・フラン&カベルネ・ソーヴィニヨン2010>

ふたつのカベルネのブレンドは、アンジュー・ルージュ。2010年は生産量が極小でした。

ふたつのカベルネのブレンドは、アンジュー・ルージュ。2010年は生産量が極小でした。

このワインは色の濃さに驚きます。5月の遅霜が影響したのでしょうか、カベルネ・フランもカベルネ・ソーヴィニヨンも10hl / haと、びっくりするほど収穫量が少ないからでしょう。

黒いスパイスや、少しリキュール的なカシスやブラックベリーの香りがして、ボリューム感もあります。これもどちらかといえばフルーティーなタイプではありませんが、凝縮感があり、タンニンもじわりと出てきます。これも玄人向けかもしれません。イメージとしては、苦みばしった50代のいい男。一頃の寺尾聡といったところでしょうか。

 

鰻の蒲焼きとの相性は、カベルネ・ソーヴィニヨンよりも盛り上がります。カベルネ・ソーヴィニヨンがしっとりした相性とすれば、こちらはふっくらとした相性。山椒を添えると、尚更香ばしさやスパイシーさが華やぎます。

 

鰻とクロードネル四角この機会に、クロー・ド・ネルと蒲焼きの世界を是非楽しんでみてください!

 

<付記:ドメーヌ・ルフレーヴのアンヌ・クロード・ルフレーヴ肝いりのクロー・ド・ネル>

2000年にロワールのアンジューで始まったドメーヌを、ブルゴーニュの大御所であるドメーヌ・ルフレーヴのアンヌ・クロード・ルフレーヴが、2008年からてこ入れを開始したのが、この「クロー・ド・ネル」です。ワイン造りの方向性を同じくする同士として大いに共感したようです。ですから、ここもルフレーヴと同様にバイオダイナミクス(ビオディナミ)を採用しています。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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