ワインと料理

意外と花見の季節は好きではなくて。

花冷え、という言葉があるようにほんと、天候が不安定ですよね。

あぁ、寒いね、と言いながら頑張って咲いている花をみているとこの花たちの涙ぐましい努力に思わず泣けてきてしまうのです。

そしてあぁ、温かいものが食べたい、となります。

花より団子……

 

去年は何度出張したか、というソウル。

私は韓国料理における「スープ」の存在って本当に素晴らしいものだと思っている一人です。

一年中同じ味を作っていて

そう、季節によって入ってくる材料の状態が違えど安定した味わいを完成させている。

この味を追及しているがために他の料理はできない。

ゆえに専門店が多い、という事実。

この潔さ、というか、「なんでもできますよ」とは言わない心意気、というか。この感覚ってすごいな、と思うのです。

しかもそれだけのメニューをずっと続けている。

ソウルに通うようになって4年。

昼間、行くお店はだいたい決まっています。

そしてなによりも必ずオープンしているということ。

これって安心するのです、異国の地でも。

 

自分が連載している雑誌の企画で「黒船レストラン」を先だって展開しました。

海外で人気になっているレストランの日本上陸版です。

いろいろリサーチしてみてこんなに人気なのはなぜか、わかった気がします。

そう、食べるべきものが明確。

あのお店はチョコレートピザを、

あのお店ではチキンライスを、

あのお店ならポキを。

 

日本って本当に器用なシェフたちが多いから

なんでも作れてしまう。メニューも多い。

だから面白い、と思う反面、何を食べたらよいか正直わからない。

特にバルやビストロって今のもすごいペースでニューオープンしているけれど、この

「何が得意なのか」がわからなくて逆に冒険できない。

そんな自分がいます。

 

話戻って。

この花冷えに対抗するには温かいもの。

毎日前を通っている韓国料理屋さんがありまして、私はこちらの一品料理が大好き。

というか、これしかない。今の私に必要なものは。

 

IMG_0560このお店、何に惹かれて初入店したか、というと

ナムル。

表の看板に春だったらタケノコ、とか夏はオクラ、そしてトウモロコシetc

そう、このトウモロコシのナムルにヤラれました。

早く夏にならないかなー。

本当に絶品。

シンプルに塩、コショウ、ごま油、おそらくほーんの少しのニンニク(あるかないか、くらい)。

これがトウモロコシの甘みをぐーんと引き立ててくれるのです。

 

あ、今はセリのナムルです。フレッシュなセリをそのまま。茹でません。

これ、アクを感じなくて、逆に香りがしっかりあって

いやー、感動しました。あ、写真奥に入っています。

これを韓国のりで巻いて食べる。

ははは、旨し!

 

で、スンドゥブチゲ。

ソウルで行くお店は2軒あって、

1軒はこのスンドゥブチゲだけしかやっていなくって。

もう一軒は塩味とこの辛い味の2種類あって、いろいろ具を追加できるスタイル。

そこに行かなくても良いよね、と思うのがこのチゲです。

 

辛さはあとからゆっくりやってきます。全くイヤミなし。

まずは出汁のうまみ。

これが本当に濃厚でいろいろな食材を上手に合わせてベースをつくっているんだなと勝手に想像しています。

美味しさがギュっと詰まっている感じ。

海老がプリっと入っているのですが、おそらくこれは食感を残すために最後に加えていると思います。

まさに「プリッ」としているから。

アサリ、貝柱、はマスト、

最初から一緒に煮込んでいるのは大根、ニンジン。

豆腐のタイミングはいつなんだろう、

崩れていないからおそらく遅いと思います。

純豆腐、って書くだけあって滑らかでやわらかくて味もしっかりあって

この辛さのなかでもきちんと存在を主張してくれている。

それでいてガツガツしていない、控えめ。いぶし銀のようなイメージ。

 

この辛さとまろやかさ、濃厚さ、旨みときたら

何を飲みたくなるか。

いつもこのお店で妄想しています。

お店ではグレープフルーツサワーしか飲まないから。

こちらは1個まるごと搾ってくれるので。

うん、酸味があるけれど柔らかいものが私は好きなんだわね、きっと。

 

そうね、酸味主体、つまり骨格が明確ながら

でも柔らかさも欲しい。

チゲの素材も複雑、多岐にわたる。

であれば飲み物は1本スジの通ったものが良いな。

 

頭の中ではシャンパン、と決めつけています。

ブレンドタイプではありません。

そうです、ブラン・ド・ブラン。

でもキリっとした酸味の鋭さではなく、

余韻にブドウの豊潤さが残っているもの。

ストンって終わってほしくない。

酸特有のなんていうんだろう、元気良さ、というよりかは

香りにシャープな印象。

一口含んだら、すごくおおらかで、メリハリもあって

食事を引き立ててくれる。そんなシャンパン。あぁ、飲みたい。

 

ここに辿りつきました。

image001

G.H.マム ブラン・ド・ブラン ~マム ド クラマン~。

 

ここ数年、G.H.マム全体の完成度ってすごく上がっているような気がしています。

メゾン訪問で普通に見学テイスティングした時に感じられた美味しさが

日本でも味わえる、という印象。

ピノ・ノワールを上手に引き出してくるブレンド・テクニックがあります。

そして単一品種・ブラン・ド・ブランもごく少量作っていて

しかもこの完成度。

もしかしたらボトルの形状がマムの考えるブラン・ド・ブランの熟成に

合っているのかな。

今度醸造家が来日したら聞いてみたくなりました。

 

もう少しこの韓国料理屋さんと仲良くなったら

シャンパンクーラーとシャンパングラス持参で

このスンドゥブチゲをいただきたいと思います★

 

G.H.マム ブラン・ド・ブラン ~マム ド クラマン~  オープン価格

輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン

(text & photo by Satoko Fujisaki)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Related Article