池田美樹のおしゃれとワインのいい関係 〜ニューヨークレポート・ワインショップめぐりは旅の楽しみのひとつ〜
08/25
先月のコラムでもニューヨークのワイナリーのことを書きましたが、今回もニューヨークの話題です。
さて、私はニューヨークのワインショップにはかわいい男子がたくさん、ということに気がついてしまいました! というのは少し大げさかもしれませんが(笑)、旅先でのショップめぐりが実に楽しいということを知ったのです。
私はこれまで、フランス以外の海外でワインショップに入ったことがほとんどありませんでした。今回はニューヨークワインの取材のために州内の産地をめぐっていたので、ワインショップでどう扱われているのかを確かめる必要があったのです。
そうしたら、お店に素敵な人の多いこと! たとえばブルックリンのWATERFRONT WINESのAlex。私のショップでの質問はいつも同じです。「ニューヨークワインはある?」
「もちろんあるよ。僕のおすすめはフィンガー・レイクス地域のワイン。代表的なのはリースリング。飲んだ?
そう、ニューヨーク州のワインの90%はそこで作られているんだよ。ロングアイランドのワイナリーもいいよ。それからニューヨークワインを知るにはカベルネ・フランも忘れちゃいけないね。アメリカといえばカリフォルニアワインだったけれど、うちの店でも最近、ニューヨークワインが売れ始めてきている。僕のお気に入りはそこの棚に置いてあるよ。見てみて。もっと知りたいことがあったら聞いてね」
実際はこの10倍くらい話してくれました。見ると、カリフォルニア、ワシントン/オレゴンと同じだけNEW YORK
STATEという棚があります。なるほど、ニューヨークワインが地元で愛されはじめている、ということが彼を通じて伝わってきます。
次はマンハッタンで。Pasanella and Son vintnersは、マンハッタンの南端、もともと魚問屋街だった場所にあるショップ。Tylerは、オーナーからこの店を任されています。話題は次第に彼のパーソナルな方向へ。
「え、日本から来てるの? それはすごいや。キューシュー・アイランド、知ってる? え、そこの出身なの? 実は僕のガールフレンドがキューシューの出身なんだよ。写真、見る? 彼女の実家はお店をやってるんだって。いつか行ってみたいんだけどな」
と、これも話が尽きません。なんとキュートな男の子達! こんな男の子たちに選んでもらったワインなら、よりおいしく思えそう!
そうだ、とふと思いつきました。今回の取材は全部で4人。ホテルの部屋で彼らに選んでもらったワインと、マーケットで買ってきたデリでホームパーティー気分、というのも素敵な過ごし方かも! と。そう考えると、「ふーん」と眺めるだけだったマーケットの食品売り場も、楽しいリアルなお買い物の現場となり、実際に、それはとても楽しい一夜だったのでした。
実はマーケットに行って気がついたのですが、ニューヨークでは今「ローカル」がブーム。ローカルのものを食べよう、飲もう、それが私達のライフスタイルだ、という考え方です。野菜の棚にも、チョコレートの棚にも、ビールにも、そしてワインにも!
「LOCAL」という文字が躍っていない場所はありません。
ワインショップも例外ではありません。ニューヨークワインは、彼らにとっては「ローカルを味わう」というクールな行為なのです。これをきっかけにして地元のワインがもっと飲まれるようになってほしい、と彼らは言います。
大型ワインショップにふらりと入るだけではわからないことが、彼らと話してみれば見つかり、現地で飲んでみることでさらに深まる。そんな、旅先での楽しみ方が見つかったニューヨーク取材なのでした。
みなさんもぜひ、今度の旅で試してみてください!
(text & photo by Miki Ikeda)
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