ワイン&造り手の話

テタンジェといえば、プレステージ・キュヴェのコント・ドゥ・シャンパーニュでもお馴染みのように、シャルドネ・ハウス、というイメージがあります。そして世界150カ国に輸出しているシャンパーニュの中でも5指に入る大手です。そのテタンジェが、ひとつの自社畑のブドウだけで造るという「レ・フォリ・ドゥ・ラ・マルケットリー」というキュヴェを造っていました!

 

鮮やかなオレンジ色のラベルが目を惹きます。グラスに注ぐと、オレンジ、とはいいませんが、きれいな黄金色で少し色が濃いように感じられます。テタンジェ家のルーツでもある自社畑のブドウを使っているという、生産量も限られたシャンパーニュです。

 

次期当主のクロヴィス・テタンジェ氏曰く「テタンジェは世界150カ国に販売していますが、私たちは職人です」という通り、ひとつずつ丁寧に造り上げています。「大叔父の提案で2005年ぐらいから造り始めました」というこのキュヴェは、テタンジェの職人技を象徴するアイテムともいえるのではないでしょうか。

 

このシャンパーニュの元となっているブドウは、テタンジェが拠点を置くエペルネの近くにあるピエリー村にあるといいます。マルケットリー城に付属するレ・フォリ畑は12ヘクタール。グリーン・ハーヴェストをして収穫量を控えめにして、更にその中からブドウを厳選し、6ヘクタール分のブドウから多くて4万本が造られます。マルケットリー城を訪れたことはありませんが、写真を見ると美しく、18世紀に建てられた由緒ある城なのです。

 

グラスに注いだ色が比較的濃く感じられたのには、ふたつ理由がありました。区画ごとに醸造されたワインは、瓶内熟成の前に30%だけ大きなサイズの古いオーク樽で5ヶ月間熟成されるのです。そして、瓶熟成も5年間行われます。ですから、もちろん色合いだけでなく、香りや味わいもその分リッチな姿になっていました。トーストのような香ばしさと、熟した桃やアプリコットのような甘いニュアンスがある豊かな香りで、味わいはなめらかで、ふっくらとしています。ゆったりとした味わいなので、食事と合わせるのが楽しみになります。

 

翌日からシンガポールへ、というクロヴィス。メゾンや銘柄の説明も終わったので、ネクタイをはずしてリラックス。手にしているのは、薔薇色の輝くコント・ドゥ・シャンパーニュのロゼ2005年。

翌日からシンガポールへ、というクロヴィス。メゾンや銘柄の説明も終わったので、ネクタイをはずしてリラックス。手にしているのは、薔薇色の輝くコント・ドゥ・シャンパーニュのロゼ2005年。

実際にいくつかの料理と合わせてみましたが、かますの焼き物や、才巻き海老の揚げ物、栗や椎茸が入った甘鯛のしんじょ蒸し、といったものが抜群の相性でした。味わいのしっかりとした素材を香ばしく調理したタイプ。旨みのしっかりした料理。きっと、この手のものがマルケットリーとうまく手を携えることができるのだと思います。

 

上品な貴婦人、といったイメージのあるテタンジェですが、このマルケットリーについてはクロヴィスの言う通り「マスキュラン」なタイプです。

そういえば、このキュヴェはピノ・ノワールの割合が半分以上です。そういう意味でもテタンジェの中ではちょっと特別な存在感がありますね。

 

テタンジェはシャンパーニュを通して「愛情、情熱、幸せ、エモーション、積極性を届けたい」といいます。充分に伝わっているのではないでしょうか。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

 

自社単一畑キュヴェのレ・フォリ・ドゥ・ラ・マルケットリー(左)と、ブリュット・ミレジメ2006年。

自社単一畑キュヴェのレ・フォリ・ドゥ・ラ・マルケットリー(左)と、ブリュット・ミレジメ2006年。

カテゴリー スパークリングワイン
ワイン名 テタンジェ“レ・フォリ・ドゥ・ラ・マルケットリー”Taittinger “Les Folies de la Marquetterie”
生産者名 テタンジェ Taittinger
生産年 NV
産地 フランス/シャンパーニュ
主要ブドウ品種 ピノ・ノワール55%、シャルドネ45%
希望小売価格 9,200e円(税込)
輸入元/販売店 ピーロート・ジャパン
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