ワインと料理

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お寿司屋さんでワイン? それは最高です! というわけで「オーストリアワインと江戸前鮓との相性を探る」というワークショップに参加してきました。お料理も、ワインも、もちろんそれぞれ美味しいのですが、なるほど〜、と思う組み合わせが見つかると、更に嬉しくなってしまいます。これは! という特に印象に残った例をお伝えします。

 

「銀座 壮石」のご主人・岡田壮石氏は「オーストリアワイン大使」を務められているそうです。そこに更にお二人の「オーストリアワイン大使」がサービス(アルルの食堂の店主・佐野敏高氏)とカメラマンさん(リカーパークシーザーの荻野悦司氏)とで加わられて、誰に何を聞いても、大抵の質問には答えていただけるという、恵まれた環境でオーストリアワインと料理の大研究(?)を楽しめたのが、何よりです。

 

そして面白いことに、オーストリアを代表するブドウ品種のグリューナー・フェルトリーナーが100%の白ワインが出てこなかったのです。ちょっぴり残念ではありましたが、既にオーストリア=グリューナー・フェルトリーナーというイメージが定着しているはず、という前提で、敢えてそうではないワインが選ばれたということです。

 

いずれにしても、オーストリアのワインは上品なタイプが多いですから、和食やお寿司に相性がよい、ということが再確認できました。なかなかお寿司屋さんと同じようなネタを手に入れるのは困難ではありますが、ヒントはたくさんあると思います。是非、何か試してみてください。

 

<印象に残った組み合わせ>

揚物揚物/毛蟹の甲羅揚げ × ウィーナー・ゲミシュター・サッツ 2013 <ヴィーニンガー>

ふわふわして熱々の揚物でした。毛蟹の甲羅の中に、毛蟹はもちろん、三つ葉、椎茸、ネギも入っていて、柔らかくてコクのある一皿です。

対するワインは、なんと11品種がブレンドされた白ワインです。「ゲミシュター・サッツ」が、色々な畑の寄せ集め、という意味だそうです。ウィーンから車で15分ほどの場所で、ひとつの畑に11品種が混植されていています。品種は何か、気になりますよね。グリューナー・フェルトリーナー、ヴェルシュリースリング、ヴァイスブルグンダーなどなどなど。

複数品種が使われているからでしょう、色々な香りがするのです。洋梨、オレンジの花、ミツリンゴ、シトラスなど、そしてハリがあってなめらかで厚みもあります。酸味もとてもきれいです。揚物の温度でワインの香りが更に広がり、味わいの強さもちょうど均衡していて、とても美味しい組み合わせでした!

「余韻の長い料理に合う」ので、今回のように甲殻類の揚物や、ハモの天ぷら、サワラの焼き物、他にイカの握り寿司に塩と柑橘類で、というのもお薦めだとか。

 

平目とイカ握り寿司/平目、スミイカ × ゲルバー・ムルカテラー 2013 <エルンスト・トリバウマー>

透明感のある平目と、厚みのあるスミイカ、いずれも既にひと塩乗せられていたので、そのまま口に運びました。

ワインはブルゲンラント州の、アロマティックな辛口白ワイン。マスカット系の香りが綺麗で、キリッとした酸が心地よく残ります。どちらかといえば、平目のほうがしっくりきました。鮮度のよい淡白なタイプの白身魚系に、応用できそうです。

「千切りわさびを巻いた、わさび巻き」にもよく合うそうです。これ、とっても興味深い組み合わせですよね。香りの増幅効果が期待できそうな予感がします。

 

鰹握り寿司/戻り鰹 × ブリュット・ロゼ・レセルヴ 2007 <マラート>

脂ののった戻り鰹に、ほんの少々美味しい醤油をつけて。

ワインは、ニーダーエステライヒ州のピノ・ノワール100%のロゼ・スパークリングです。フルーティーで、フラワリーな優しい香りで、キリッとしたフレッシュな酸が心地よい繊細な味わいです。

鰹と出会うと、ピノ・ノワールらしい香りがふっと立ちのぼってきました。とても魅力的な組み合わせです!

 

握り寿司/穴子 × ザンクトラウレント・ドーフラーゲン 2012 <ビットナウアー>

ふわりとした蒸し穴子にツメをつけた握りです。こちらのお伴は、ブルゲンラント州のザンクトラウレン100%の赤ワインです。チェリーやスパイスの香りに加えて、ちょっと土っぽさが感じられる香りで、味わいはソフトでサラリとしています。これが穴子と組み合わさると、とても甘い関係になります。カベルネ・フランと鰻の蒲焼きの関係に、少し似た相性ですね。

 

穴子と玉子デザート/玉子焼き × ベーレンアウスレーゼ・キュヴェ 2010 <クラッハー>

こちらは最後のデザートで、美味しい自家製玉子焼き。お寿司屋さんの楽しみのひとつでもあります。

ワインは、ブルゲンラント州の高貴な甘口白ワイン。ヴェルシュリースリングとシャルドネをブレンドしたいわゆる貴腐ワインで、濃厚です。蜂蜜やマジパン、ミツロウのような香りで、甘く豊かで、トロリとした食感。どちらもそれぞれ美味しいので、文句なしの組み合わせです。

 

オーストリアワインは、他にもたくさんの日本の料理に合いそうなので、色々試してみてください!

ボトル2

<ワイン>

ウィーナー・ゲミシュター・サッツ 2013 <ヴィーニンガー> 3,000円(本体価格)輸入元:ヘレンベルガー・ホーフ

ゲルバー・ムルカテラー 2013 <エルンスト・トリバウマー> 2,800円 輸入元:ラシーヌ

ブリュット・ロゼ・レセルヴ 2007 <マラート> 3,670円 輸入元:エステートワインズ

ザンクトラウレント・ドーフラーゲン 2012 <ビットナウアー> 4,000円 輸入元:日本グランドシャンパーニュ

ベーレンアウスレーゼ・キュヴェ 2010 <クラッハー> 4,800円(375ml) 輸入元:エイ・ダブリュー・エイ

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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