ワイン&造り手の話

スタンダードのリースリング。黄色いラベルが目を引きます。

アルザス地方のワインにはいくつかのタイプがありますが、1626年から12代に亘って家族経営を続けているトリンバックは、何といっても「辛口でエレガント」なスタイルと「長期熟成」後の楽しみがある点が特徴的です。様々な料理にきっちりしっかり寄り添ってくれる包容力のあるワインで、和食とも合わせたくなります。

 

トリンバックの12代目のひとりで、販売とマーケティングを担当しているジャン・トリンバック氏が今春来日しました。2006年にイギリスの「デキャンタ」(ワイン雑誌)から「世界の白ワインメーカー、トップ10」の1人にも選ばれた醸造責任者のピエールの弟です。ちなみに13代目はジャンの息子のジュリアンが醸造を、ピエールの娘のアンヌが販売を担当することになりそうです。

 

<Point1:辛口スタイル>

トリンバックのワイン造りには3つのルールがあるといいます。それは「バランス!バランス!!バランス!!!」。これが何より重要なファクターなのです。そしてトリンバックでは「デザートワイン以外はすべて辛口でバランスのよいエレガントなスタイル」にこだわりを持っている造り手です。「でも普通、デザートワイン以外はすべて辛口でしょ?」と思われるかもしれません。

 

アルザスのワインで「ヴァンダンジュ・タルディヴ Vendanges Tardives」という表示がラベルに記されている場合があります。これは「遅摘み」という意味で、ブドウを遅く摘むことで糖度が高いブドウを収穫することができ、その結果ブドウの糖分がワインに残り、甘く感じるワインができます。ただ、実際には「ヴァンダンジュ・タルディヴ」と表記してなくても、収穫量を抑えたり、敢えて遅めに収穫したりして甘めのワインに仕上げている造り手があります。つまりトリンバックは、そうではないですよ、ということなのです。

 

このポリシーを変えない理由のひとつは、トリンバックのワインは料理と共にあるべきだ、という基本的な考え方からきています。彼らのワインに共通するは、酸や骨格がしっかりとして、芯のある味わいだという点です。これが料理に寄り添えるポイントであり、長寿の要因でもあります。

 

<Point2:ゆっくりリリースの長熟型>

トリンバックの蔵には、300万本のボトルが寝かしてあるといいます。ピエールとジャンの父、ベルナールが1967年ヴィンテージから少しずつ残しておくことを決めたのだといいますから、60年代のボトルもまだあるということですね。

 

白ワインは比較的若いうちに消費されてしまうことが多いのですが、ここではまったく急いでいる様子はなく、むしろ熟成してワインが華開き始めるのを待って飲んでほしい、というニュアンスです。本当に若いうちにはとてもタイトで硬いつぼみのようですから、時間のかかるワインです。ですから、それぞれの銘柄が市場に出てくるのも比較的ゆっくりしています。

<Point3:4つのカテゴリー>

トリンバックの商品レンジは「クラシック」「レゼルヴ」「レゼルヴ・ペルソネル」「プレステージ&コレクション」の4つに分かれています。現在日本市場にある銘柄を、主要な品種であるリースリングで紹介します。

 

クラシック/リースリング2010 スタンダードのクラスで、上品でタイトなスタイルがよくわかります。レモンや白桃の香りも繊細に立ちのぼります。2,300円

レゼルヴ/リースリング・レゼルヴ2009 選ばれた区画のブドウから造られるクラスで、上品でタイトな上に複雑性と厚みが加わります。蜜入りリンゴのような香りも。3000円

レゼルヴ・ペルソネル/リースリング・キュヴェ・フレデリック・エミール2007 出来の良い年にだけ、限定生産されるクラスで、まさに長期熟成型。力と優雅さを兼ね備えていますが、とてもタイトでドライで、まだつぼみの状態。7,000円

プレステージ&コレクション/リースリング クロ・サンチューヌ2007 更に生産量が限られるクラス。そしてトリンバック好きならば一度は必ず飲みたい類い稀な銘柄です。優雅そのもの。ミツロウのような光沢を感じる香りで、エレガントで奥深い味わい。もちろんまだ若々しい状態。24,000円

 

<オマケ>

アルザスでは51の「特級畑 Grand Cru」が認められています。トリンバックの自社畑の3分の1は特級畑なのですが、彼らはラベルには表示しない方針をとっています。「レゼルヴ・ペルソネル」のクラスから特級畑もしくはそれ相応の畑のブドウが使われています。

 

 

<Data>

生産者:トリンバック Trimbach

産地:フランス/アルザス地方

ブドウ品種:リースリング

輸入元:日本リカー

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