おしゃれに飲む

ボトル横
2007年世界最優秀ソムリエのアンドレアス・ラーソン氏。

2007年世界最優秀ソムリエのアンドレアス・ラーソン氏。

ミネラル・ウォーターの味わいが、ワインの味にこれほど影響を及ぼすとは!? 実験試飲に参加させてもらって、正直とても驚きました。2007年に世界最優秀ソムリエの栄誉に輝いた、スウェーデンのアンドレアス・ラーソン氏のガイドで、アクアパンナとサンペレグリノ、そしてスパークリング、白、赤、甘口ワインで行った結果をお知らせします。

 

以前、とても素敵なフレンチレストランで、ランチをご馳走してもらった時に、ワインもお料理もとても美味しいのに、お水が水道水で愕然としたことがあります。何というか、美しい夢を見ているはずなのに、時々喉が渇くと現実に戻らなければならない、というような、寂しい気持ちになりました。自分に選択権がないだけに、心の中でため息をつくしかありませんでした。

 

ただ、今回のアンドレアス・ラーソン氏が教えてくれた内容は、もっと深いものでした。ワインを美味しく飲むためのミネラル・ウォーターの役割について。ミネラル・ウォーターの味わいがどうワインに影響するのか、というものです。

 

サンペレグリノのグループのジョルジア・コンカートさんも来日。

サンペレグリノのグループのジョルジア・コンカットさんも来日。

<アクアパンナとサンペレグリノ>

実験のためにサービスされた水は、アクアパンナ、水道水、サンペレグリノの3種類。

 

アクアパンナはトスカーナ産です。数年前に源泉を訪ねたことがあります。フィレンツェから車で2時間ほどかけて山に登るのですが、そこには本当に美しい自然が広がっていました。かつてメジチ家が所有していた1300ヘクタールもの広大な土地です。そう、昔は水の源泉は貴族の資産だったのです。

メジチは源泉の品質を守るために、水に影響を及ぼす可能性のある範囲への、一般の出入り禁止令を出しましたが、今でも源泉にたどり着くまでには、鍵がかけられた柵をいくつも通らなければならない仕組みになっていて、まさにお宝の扱いを受けています。

アクアパンナは、砂岩質を10〜15年かけて湧き水となって出てくる。多種類のミネラル分が少量ずつ含有されているので(硬度106mg/l)、中軟水のやさしい味わい。イタリアでは、内臓が発達していない乳幼児でも飲んで支障のないミネラル・ウォーターとして知られています。軟水ほどさらりとせず、食感が心地よい、という印象を持っています。

 

サンペレグリノはロンバルディア州のベルガモ産で、石灰岩を30年もかけて通り源泉となって出てくるので、ミネラルの含有量が高い(硬度640mg/l)硬水であり、加えてスパークリングのため、力強い印象を受けます。アクアパンナと比べると、より固くてクリスプで、塩っぽさが感じられます。

このふたつは対極にある水、といってもよいかもしれません。

 

<比較実験開始!>

「ミネラル分が低い水はpHが低いので酸を感じますが、アクアパンナはpHが高く、サンペレグリノはもっと高い。だからワインを飲んでいる時に、これらのミネラル・ウォーターはバランスをとることができます」と、ラーソン氏。

 

実験方法は、4種類のワインを水と共に、水→ワイン→水という順番で、試す。

水は「アクアパンナ(AP)」「水道水(TW)」「サンペレグリノ(SP)」の3種類です。

手前右から、アクアパンナ、水道水、サンペレグリノ。アクアパンナとサンペレグリノはそれぞれ特別にデザインされたグラスにて。

手前右から、アクアパンナ、水道水、サンペレグリノ。アクアパンナとサンペレグリノはそれぞれ特別にデザインされたグラスにて。

*軽い辛口スパークリングワイン(ヴェネト州産/シャルドネ+トレッビアーノ)

AP:ワインの香りが綺麗に残る。「酸の高い泡の後に、酸の低いアクアパンナを飲むから」だという解説でした。

TW:苦みと水臭さが残る。「ピュアではないので、ワインの味をぶちこわしにする。ワインの香りや余韻を台無しにする」と、ラーソン氏。

SP:水の方が味わいが強いので、それほどよい組み合わせとは感じられない。

→アクアパンナが一番!

「スパークリングワインには、発泡性の水は基本的に合わせない」。

 

*白ワインとしてソアーヴェ(単一畑もので、より力のあるタイプ)

AP:柑橘類の香りが綺麗に残る。「舌をきれいにしてくれるので余韻を楽しめる」。

TW:苦みと酸が際立つ。

SP:なめらかな余韻が心地よい。

→アクアパンナ、サンペレグリノ、共にOK!

「北イタリア、シャブリ、ドイツのリースリングなど酸の高いワインには、アクアパンナを合わせると口中が和らぐ」。

 

*若い赤ワインとしてキャンティ(サンジョヴェーゼ+メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン)

AP:酸と苦みを感じる。

TW:タンニンと苦みが増す。「タンニン、苦み、特に乾いたタンニンが強調される」。

SP:フルーティーさが増す。「しっかりした若いタンニンのある赤は、サンペレグリノと味わいが均衡して、口をきれいにしてくれる。そしてワインのタンニン分に隠れていたフルーティーさが現れる」。

→圧倒的にサンペレグリノがよい!

「サンジョヴェーゼ、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの若い赤ワイン、特にタンニンがしっかりした赤には、力強さのあるサンペレグリノがお薦め」。

 

*甘口ワインとして、モスカート・ダスティ

AP: 甘酸っぱい風味が残る。

TW: 苦みを感じる。

SP: ワインの風味が隠される。

→「軽やかで甘味があり、アルコール度数が低い場合にはアクアパンナ。樽などを使用した強い甘口ワインにはサンペレグリノがよい」

ソムリエ5

このラーソン氏は、世界最優秀ソムリエになった後、パリで150種類ものミネラル・ウォーターの試飲をして開眼したそうです。「水もワインのように、余韻、ストラクチャー、ミネラル、ソフトさ固さなどがすべて異なるとわかった」と。それ以来、勤務先のレストラン ”PM & VANNER” では、ミネラル・ウォーターのリストを作成したそうです。どんな銘柄をどんな風にお薦めするのでしょうか。

 

今まで何となく飲んでいたミネラル・ウォーターも、使い分けができるようになるとかっこいいですね。

 

輸入元:モンテ物産株式会社(オープン価格)

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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