おしゃれに飲む

バージニア州について熱弁する第72代州知事のテリー・マコーリフ氏。

バージニア州について熱弁する第72代州知事のテリー・マコーリフ氏。

「ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソンなどの出身地でもあり、アメリカの大統領の最初の10名のうち5名はバージニア州出身です。歴代の大統領のうちバージニア州出身者は合計8名になります」と、第72代バージニア州知事のテリー・マコーリフ氏。ニューヨークとフロリダの中間に位置し、アメリカの始まりに関わる出来事がこの州に詰まっているので、歴史的な観光ポイントがいくつもあります。

 

でも、それよりも興味をそそったのは「オイスター・トレイル」という言葉でした! 横長の州なので、東は大西洋に面してリゾート地もあり、西は高地で自然豊かな森があります。その東海岸を走る列車で、複数の産地の牡蠣を食べながら楽しい時間が過ごせるというのです。これは、まさにフレッシュな白ワインと一緒に味わいたいなあ、と思わせます。

 

アメリカのワインといえば、まず思い浮かぶのがカリフォルニアですが、バージニア州は国内第5位の生産量があるそうです。ちょっと驚きました。「ワイナリーは250軒あり、ブドウ栽培家は360軒あります。昨年は600万本以上を販売しました」。予想より随分と規模の大きなワイン産地だとわかりました。しかも、ワイナリー訪問者数が昨年120万人を超えた、といいます。ワインツーリズム、既に発展しているようです。

表紙

では、どんなワインができあがっているのでしょうか。いくつか味見させてもらいました。

シャルドネだけから造る、ブラン・ド・ブランの「スパークリングワイン」は、ハチミツトーストや黄色い果実の香りで、まろやかでソフトな食感。

「ヴィオニエ」から造る白ワインは、ジャスミン、ミツリンゴ、白桃、レモンなどのアロマティックな香りで、ふっくら心地よく、最後にキリッとしたフレッシュな酸。

「カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド」をブレンドしたボルドースタイルの赤ワインは、スパイシーでカシスやブラックベリーが香る、厚みのあるモダンなタイプ。

ブドウがよく熟す温暖な気候なのだ、という印象を受けました。

 

牡蠣には、ブラン・ド・ブランのスパークリングワインとヴィオニエを合わせてみたいですね!

 

中でもバージニア州では白は「ヴィオニエ」、赤は「カベルネ・フラン」に力を入れているようです。なぜかといえは、例えばカリフォルニアはカベルネ・ソーヴィニヨン、オレゴンはピノ・ノワール、ニューヨークはリースリングと、それぞれ十八番(おはこ)が既にあるではありませんか。だから、同じことに注力するより独自路線を進もう、ということも理由のひとつのようです。

 

ラベルにはTRUMPの文字!

ラベルにはTRUMPの文字!

そうそう、ワイナリーへの投資も増えているようですよ。スパークリングワインのラベルをよく見てみてください。Trump という文字がありますよね。トランプ・タワーでも知られる不動産王のトランプが投資したワイナリーなのです。他にもいくつもあるようです。美味しいワイン造りには資金と時間がかかりますから、投資が多いということは、期待大、ですね!

 

ちなみに、バージニア州の気候について尋ねると「ブドウ栽培にとって、決して恵まれた条件ではないと思っています」というのが第一声でした。褒めちぎると思っていたので、これまた予想外の展開です。「4月から5月にかけて、霜の心配が多く、夏は気温が上がりますが湿度が高いのです。加えて、秋にはよくハリケーンがきますから」。まるで、日本の話を聞いているようです。

 

バージニア州のワインが日本のワインショップの棚にズラリと並ぶ日も、そう遠くはなさそうですね。

バージニア州を訪問してみようかな、と思う方はこちらをご参考に

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

 

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