落ち着きがありリーズナブルなシャトーヌフ・デュ・パープ 〜シャトー・モン・ルドン〜
12/10
ワインは人を表す、というのも常套句ではありますが、本当にそうだなぁ、と感じたのが、シャトー・モン・ルドンのジェローム・アベイユさん。気負いがない実直な人物だと話しているとわかり、ワインを飲んで更に納得。長い歴史と実績に裏付けられた、確かな自信が秘められた、滋味豊かなシャトーヌフ・デュ・パープです。
<長い歴史>
シャトー・モン・ルドンは、1923年からずっとプランタン一族が所有している南仏はシャトーヌフ・デュ・パープのワイナリーです。来日したのは、4代目にあたるジェローム・アベイユさん。3人兄弟の次男だといいます。
フランスのAOCに初めて登録されたのはシャトーヌフ・デュ・パープで、それが1936年のことですから、それ以前からブドウ畑を所有していたことになります。ただし当時は2.5ヘクタールのみ。徐々に畑を広げていき、今では100ヘクタールにも及ぶそうです。しかも、一枚畑! 一続きの畑だというので驚きます。
シャトーヌフ・デュ・パープでは、13種類のブドウが認可されていますが、モン・ルドンは「全品種使う派」でした。というのも、一続きの畑でも土壌が様々だから。
シャトーヌフ特有のまるで漬物石のような丸くて大きな石がゴロゴロしている土壌にはグルナッシュを、砂と粘土質の場所にはシラーとムールヴェードルを、石灰質が豊かな区画には白ブドウを中心に栽培しているといいます。
2010年のシャトーヌフを飲んだのですが、とても繊細なスパイス、ブラックベリーやプラムの香りが立ちのぼり、なめらかで、酸がきれいで、上品な味わいです。派手さがなく、落ち着きがありしっとりしたニュアンスで、食事に寄り添ってくれるタイプです!
ボリューミーなタイプではなかったのでアルコール度数について聞いてみると、
「14.5%以下になるようにしている」といいます。
アルコール度数が強いと、若い時には印象はよいかもしれないけれど、酸が低くなるので熟成には向かないから、という考え方でした。
アルコール度数が高いと、飲んでいるうちにノックアウトされそうになるので、私にはちょっと嬉しい銘柄♪
<他のラインも堅実>
モン・ルドンでは、80年代になるとローヌ地方の底辺となる「コート・デュ・ローヌ」の畑を20ヘクタール強、97年には「リラック」の畑を13ヘクタール購入しています。コート・デュ・ローヌはお馴染みですが、リラックは日本ではあまり馴染みのない産地だと思います。
「フランスでもそう、古いけれど控えめなAOCですよ」と、ジェローム。
「じゃあ、どうして買ったの?」と聞くと、
「美しいものは表に出ない。だから入手しようと決めた」というのです。
いい言葉ですね〜!
おそらく、ここの一族での共通認識なのでしょう。
ちなみに、コート・デュ・ローヌとリラック共に、白も赤も造っていて、コート・デュ・ローヌ(本体価格2,300円)は果実風味を表に出したフレッシュなタイプで、リラック(本体価格3,000円)は厚みや力強さを感じさせる仕上がりです。
これらも価格とのバランスがすぐれています。
このシャトーには年間2万人の訪問客があるようです。近くまで行かれたら、寄ってみてはいかがでしょうか。シャトー・モン・ルドンのホームページ
(text & photo by Yasuko Nagoshi)
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