ワイン&造り手の話

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11本だけ創業年の1834年ヴィンテージのボトルがセラーに。

11本だけ創業年の1834年ヴィンテージのボトルがセラーに。

1834年創業で今年180周年を迎えたボワゼルの5代目当主であるマダムは、1984年に社長となり、ちょうど30周年です。家業を継ぎ始めた頃を振り返りながら、シャンパーニュ・ボワゼルにかける思いを語ってくれました。

 

<メゾンを継ぐということ>

父ルネと後継ぎで兄のエリックが亡くなり、母エリカを支える形で家業に携わることになったのが、1972年のことだといいます。

「当時は、私は考古学を専攻する学生で、クリストフと結婚したばかりでした。シャンパーニュについていちから学ばなければなりませんでしたが、仕事をしていると、既に自分の身体や心の中にシャンパーニュへの情熱があるのだと気がついて、とても驚きました」。

代々シャンパーニュ造りに関わってきた血筋ならでは、なのでしょう。ボワゼルは、先代からずっとシャンパーニュの造りに特化して、ブドウは専門の契約栽培家から購入する方針をとっています。

 

「この規模のメゾンだと、私自身も造りのすべての段階に関われます。反対に、どの部分の判断にも自ら責任をもつということです」。

夫のクリストフは、少しでも品質の高いブドウを得られるように、一年中シャンパーニュの畑を行ったり来たりして、長期契約の栽培家とのコミュニケーションを欠かしません。

 

そして、メゾンにブドウが到着してから、また様々な選択・判断をしなければなりません。それもすべて、望む、思い描くシャンパーニュを創り上げるためなのです。

「どの選択も、お金や時間がかかることでした。でも、私たちの名前を冠して世の中に出すのですから、長い目で見れば、どれもとても素晴らしい瞬間だったと感じています。私たちは、いつでも自然の恵みに感謝をして慎ましくあることが大切だと考えています。つまり、元となるワインの質を上げることです」。

 

<ジョワイヨ・ドゥ・フランス & キュヴェ・ス・ボワ>

ジョワイヨー・フランスボワゼルの上級キュヴェのひとつ「ジョワイヨ・ドゥ・フランス」は、1961年ヴィンテージから造られています。2000年ヴィンテージは、ビスケット、アプリコット、トースト、バニラ、柑橘類、マジパンのような魅力的な香りがして、味わいは熟成した落ち着きがありながら、フレッシュ感も感じられます。

 

エヴリーヌさんが最後の甘味調整、ドザージュについて教えてくれました。

「最終的にはリットルあたり7グラムにしました」。

瓶内での12年の熟成を経た段階で、ドザージュを5グラムから9グラムまで24本のサンプルをつくり、3ヶ月ごとに3回ブラインド試飲をして決めたそうです。試飲のメンバーはエヴリーヌさんと夫のクリストフ、2人の息子、そして醸造長の5名。9ヶ月もかけて、最もバランスのよい量を決定したということです。それほど繊細な判断なのです。

Data: Joyau de France 2000/ピノ・ノワール65%、シャルドネ35%(シャルドネの10%は古い小樽熟成)

 

スー・ボワそしてもうひとつのボワゼルのスペシャリティが「キュヴェ・ス・ボワ」。シャンパーニュの伝統回帰ともいえる作品です。205リットルの古い小樽で発酵・熟成させたワインを、12年の長きにわたって瓶内熟成させたものです。

熟成による香ばしさと様々なスパイスの香り、少しドライなフルーツなど、やわらかで豊かに広がります。複雑性があり力強ささえ感じられます。とても優雅な味わいです。

Data: Cuvée Sous Bois 2000/ピノ・ノワール50%、シャルドネ40%、ピノ・ムニエ10%、ドザージュ5g/l

 

スタンダードからプレステージまでどのキュヴェにも共通するのは、このマダムの雰囲気に似たやさしさとなめらかさ。一口二口飲みすすめるたびに、母のやさしさに包まれるような気分にさせてくれるのです。

 

天使ところでボワゼル家では、クリスマスに大きなツリーが飾られるようです。

「母がクリスマスのオーナメントが大好きで、とにかくたくさんあるのです。古いものばかりですけれどね。だから、毎年テーマを変えて飾るの。ある時は赤でまとめて、別の年にはシルバーにして……」。

今頃、リビングルームには素敵な大きなツリーが飾られていることでしょう。今年のテーマは何でしょうね。

(輸入元:ピーロート・ジャパン)

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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