ワイン&造り手の話

シャンパーニュの中でも「ロゼ」は特別な存在感があります。例えば一週間毎日シャンパーニュを飲める環境にあったとして、そのうち一日でもロゼが選べるとするならば、それはそれは幸せなのではないでしょうか。ロゼ・シャンパーニュを一番初めに造ったのは、ヴーヴ・クリコだと聞いていました。ところが、今年新たな事実が判明したのです。

 

<250年前にロゼ・シャンパーニュを出荷>

フレデリックシャンパーニュの最古のメゾンとして知られる「ルイナール」で、また「最古」の記録が見つかりました。ルイナールでは昨年から、古文書の調査を始めていたのですが、その結果1764年の文献に以下のような記述があったのです。

「3月14日 60本のウイユ・ド・ペルドリを含む120本のボトルが入ったバスケットが出荷された」。

この「ウイユ・ド・ペルドリ」というのは、山ウズラの目を意味する言葉で、黒(あるいは灰色系)ブドウの果皮を短時間漬け込んで色を果汁にうつした、淡い色合いのロゼを示すものです。

この文献がちょうど250年前のものですから、少なくともそれ以前からルイナールでは敢えて淡いロゼ色をつけたシャンパーニュを造っていた、ということです。

 

2007年からルイナールの最高醸造責任者を務めるフレデリック・パナイオティスさん曰く、「当時のブレンドはわかりません。もしかするとピノ・グリやガメイもブレンドしていたかもしれません。ただ、シャンパーニュが辛口に変わっていくのは1870年代からなので、相当甘かったと思います。当時は砂糖もスパイスと同様に富の象徴でとても高価でしたからね」。

 

ルイナールでは、今ではロゼを造るのに白ワインに赤ワインをブレンドする方法をとっていますが、ロゼでもシャルドネの個性を生かしている、という点はシャルドネを得意とするルイナールならでは、です。

 

 

<ルイナール ロゼ & ドン・ルイナール ロゼ>

「ルイナール ロゼ」は、ハツラツとした香りで、アプリコットや桃、ベリー系の果実の香りがきれいで、なめらかでフレッシュ感に溢れています。本当にピュアなロゼです。エレガントで生き生きとしています。

 

4つのグラスは、右から「ルイナール ロゼ」「ルイナール ロゼ マグナム」「ドン・ルイナール ロゼ2002」「ドン・ルイナール ロゼ1985」。マグナムは、少し熟成させたマグナムは、ノーマルボトルのベースが2011年なのに対して、こちらは201年がベース。より落ち着きのある香りと味わいで、なめらかさが増し、少し火を入れたベリー・ミックスようなアロマでした。

4つのグラスは、右から「ルイナール ロゼ」「ルイナール ロゼ マグナム」「ドン・ルイナール ロゼ2002」「ドン・ルイナール ロゼ1985」。ノーマルボトルのベースが2011年なのに対して、マグナムは2010年がベース。より落ち着きのある香りと味わいで、なめらかさが増し、少し火を入れたベリー・ミックスようなアロマでした。

サプライズで供された「ドン・ルイナール ロゼ」は1985年。熟成感がありました。少しコニャック的な要素を感じさせる、キャラメル、ベリー系果実のドライフルーツ、スパイスや森を思わせる香り、スモーキーさも感じさせ、香りだけでも充分なほどの贅沢さでした。

サプライズで供された「ドン・ルイナール ロゼ」は1985年。熟成感がありました。少しコニャック的な要素を感じさせる、キャラメル、ベリー系果実のドライフルーツ、スパイスや森を思わせる香り、スモーキーさも感じさせ、香りだけでも充分なほどの贅沢さでした。

「ドン・ルイナール ロゼ 2002」を一口飲んで、ちょっと驚きました。

まずはスパイシーで、紅茶やベリー系果実、アプリコットなどの香りに魅せられたのですが、力があり酸やミネラルもかっちりとした味わいは、まるでブラン・ド・ブラン、シャルドネだけから造られたシャンパーニュの印象だからです。

フレデリック曰く「ドン・ルイナールのロゼは、シャルドネが多いのです。ピノ・ノワールはブレンドしている赤ワインだけ。2002年の場合は20%赤ワインをブレンドしている」と言います。

まさに、ルイナールらしい気品の漂うプレステージ・ロゼです。

 

どちらも、美しい色だけでなく、とてもアロマティックでうっとりしてしまいます。やっぱりロゼ・シャンパーニュは魔力を秘めているのでしょうか。

(輸入元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ)

(人物写真提供:MHD モエ ヘネシー ディアジオ/text & photo by Yasuko Nagoshi)

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