ワイン&造り手の話

冬の寒い時期になると、しっかりした赤ワインが飲みたくなります。身体を芯から温めてくれるようなワインがいいですね。名前からも熱さを感じられるワインのひとつがコート・ロティです。コート・デュ・ローヌ北部の、太陽の熱にさらされた丘から生まれる偉大なワインを口にすれば、身体の中からパワーが湧いてきます!

 

<コート・ロティ>

コート・ロティといえば、ギガル! ギガルといえばコート・ロティ3兄弟!!

「ラ・ムーリーヌ」「ラ・ランドンヌ」「ラ・テュルク」の単一畑キュヴェは、コート・ロティ好きにとって憧れの存在です。数も限られているのであまりお目にかかれない銘柄ではありますが、かつて一度にこの3兄弟を並べて飲むという豪華な機会に恵まれました。それまでにも、これらの違いについては色々読んだことはありました。およそこういう内容です。

 

石灰質土壌で色が白っぽく見えるコート・ブロンド生まれの「ラ・ムーリーヌ」は、最も上品な仕上がり。

酸化鉄混じりの粘土質土壌で褐色の濃い色をしたコート・ブリュヌから生まれる「ラ・ランドンヌ」が、最も力強くマスキュラン。

コート・ブリュヌの中でもコート・ブロンド寄りにある「ラ・テュルク」は、ふたつのちょうど中間の個性を持っている。

さて実際に味わってみると、まさにおっしゃる通り! と合点がいきました。コート・ロティとしての、基本的な力強さが備わった上で、更に違いがはっきりとしているので、本当に感動的な比較でした。

 

もし映画俳優さんにたとえるならば、

「ラ・ムーリーヌ」は、「ローマの休日」のグレゴリー・ペック。

「ラ・ランドンヌ」は、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のロバート・デ・ニーロ。

「ラ・テュルク」は、「アポロ13」のトム・ハンクス。

あくまで独断と偏見による選択ではありますが、そういうイメージです。

 

 

<ブリュヌ・エ・ブロンド・ド・ギガル&シャトー・ダンピュイ>

26ロティとはいえ、今回登場するワインは3兄弟ではありません。もう少し身近な存在の、ギガルの「コート・ロティ ブリュヌ・エ・ブロンド・ド・ギガル2009」と、「シャトー・ダンピュイ2009」は、どちらもブロンドの区画とブリュヌの区画のブドウをブレンドした、両者のバランスがとれたキュヴェです。

 

「コート・ロティ ブリュヌ・エ・ブロンド・ド・ギガル2009」は、開けたては堅い香りで若さに溢れていますが、次第に黒胡椒のようなスパイス、鉄っぽさ、プラム、ブラックベリー、そして森の中で感じるような自然で野生的な香りも感じられます。味わいも、なめらかな舌触りで厚みがあり、酸もタンニンもしっかり! 若くて力強い、フルボディです。やっぱり太陽の熱さを感じます。密度があり、凝縮感もあるので、何日かに分けて飲むとか、デキャンタして大きなグラスでゆっくり飲むのがよさそうです。

 

26ダンピュイ「シャトー・ダンピュイ2009」は、色が一段と濃いルビー色です。香りの強さも倍以上になるでしょうか。ロースト香、黒いスパイス、プラム、ブラックベリーなどの黒い果実といった、黒いものの香りがふんだんにして、野生味もあり、より複雑な香りで、実に若々しく豊かです。こちらも味わいも力があり、凝縮感に溢れています。フルボディで、ボリューム感もたっぷり。酸もタンニンもしっかりしているのですが、厚みがあるのでまろやかに感じられて、とてもまとまりがよい味わいです。バランス感覚が素晴らしい! でもまだまだ若いので、これもデキャンタして大きなグラスで飲むのをお薦めしたいと思います。

 

どちらもとっても力強いので、普段の食事では太刀打ちできそうにありません。一般的には、コート・ロティは冬のジビエに合わせることが多いワインです。例えば、鹿肉、山シギ、大きなウサギ、鴨肉など。しかも、レバーや血を用いたソースを添えて。でもこういう料理は、家族や友人に鉄砲打ちの人がいれば別ですが、たいていフランス料理屋さんに行かないとなかなか食べられないものです。

 

そこで苦肉の策として、赤ワインをまるまる1本使って黒胡椒もたっぷりなビーフシチューを作ることにしました。すね肉を3時間ほどコトコト煮込むと、結構柔らかく濃厚な味わいになってくれました。

そんな時間はないなあ〜、という方には、ハードチーズのコンテをお薦めします。なるべく熟成したものがよいと思います(これは24ヶ月熟成)。旨みの塊になるので、シャトー・ダンピュイともOKです。

 

まだしばらく気温が低い日々が続きますから、コート・ロティの液体の中に溶け込んでいる太陽の熱を、身体にとりこんでみてはいかがでしょうか。

 

<付記>シャトー・ダンピュイは、1995年にギガルの傘下となりました。由緒あるシャトーで、ブロンドとブリュンに合計7区画所有していますが、このふたつの丘の呼び名を命名したのは、ダンピュイを所有していたモジロン伯爵だったという説があります。ギガルにとっては3兄弟の従兄弟的な存在になるのでしょうか。

(輸入元:ラック・コーポレーション

(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)

26ロティ カテゴリー 赤ワイン
ワイン名 コート・ロティ ブリュヌ・エ・ブロンド・ド・ギガル
生産者名 E. ギガル
生産年 2009
産地 フランス/コート・デュ・ローヌ
主要ブドウ品種 シラー主体+ヴィオニエ数%
希望小売価格 7,000円(本体価格)
輸入元/販売店 ラック・コーポレーション
26ダンピュイ カテゴリー 赤ワイン
ワイン名 コート・ロティ シャトー・ダンピュイ
生産者名 E. ギガル
生産年 2009
産地 フランス/コート・デュ・ローヌ
主要ブドウ品種 シラー主体+ヴィオニエ数%
希望小売価格 16,000円(本体価格)
輸入元/販売店 ラック・コーポレーション
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Related Article