ワイン&造り手の話

ペリエ・ジュエアネモネ、あるいは秋明菊の花に包まれたシャンパーニュ。ペリエ・ジュエの「ベル・エポック」は、いつ見ても優雅です。もちろん飲んでもそのイメージに変わりはありません。食事の最初の一杯がベル・エポックとなれば、次に一体どんなワインがサービスされるのだろうかと、期待感が高まるのは極自然なことでしょう。そう、その後に垣間見たシャトー・オー・ブリオン一族の、いくつかのヴィンテージの現状をお伝えします。

 

完成度の高い、上品さとしなるような芯の強さを兼ね備えたベル・エポック2004年の後に登場した顔ぶれは、こういう順番でした。

 

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 白 2009

シャトー・オー・ブリオン 白 2009

ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2006

ラ・クラレンス・ド・オー・ブリオン 2008

シャトー・オー・ブリオン 2004

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2003

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 1999

シャトー・オー・ブリオン 1998

 

それぞれ、2014年12月上旬にどのような状態だったのかというと……。

まずは、オー・ブリオン兄弟筆頭の白、それぞれの2009年です。

<シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 白 2009>

バニラ・トーストと、熟した黄色い果実の香りが華やかで、香りも味わいもとてもリッチ。それがそのままずっと長く続いていきます。

<シャトー・オー・ブリオン 白 2009>

こちらは対照的で、バニラ・トーストまでは同じですが、もっと繊細でエレガントな香りと味わいです。もちろん、香りも味わいも余韻がうんと長く続きます。

どちらも、今とても若い状態を楽しむことができますし、まだまだ何年も置いておいても大丈夫。それぞれの赤ワインにも言える、ラ・ミッションの豊かさとオー・ブリオンの上品さを、白の序章でも見せてくれました。

ちなみに、ブドウ品種もラ・ミッションがセミヨン主体でオー・ブリオンがソーヴィニヨン・ブラン主体ですから、まさにイメージそのままです。

 

続いて赤ワイン。ですがその前に、オー・ブリオン一族の名称の復習をしておきましょうか。というのも、2007年から2009年にかけての改称でだいぶわかりやすくなったのですが、それでも複数の名称があるので、記憶力が衰えている自分のためにも記しておきたいと思います(苦笑)。

そういえば、オーナーの「家族や親戚からも、たくさん名前がありすぎて、どのオー・ブリオンがどれと繋がっているのかわからない、というクレームがあり、改称計画が進んだのだ」と、7,8年前にルクセンブルグ大公国ロベール殿下にインタビューでお聞きした記憶があります。

家系図のようなものを作って一覧にしておくとわかりやすいかもしれませんね。

 

「オー・ブリオン」には「オー・ブリオン赤」と「オー・ブリオン白」があり、セカンド・ワインの赤が2007年から「クラレンス・ド・オーブリオン」となりました(それまでは、バーン・オー・ブリオン))。

「ラ・ミッション・オー・ブリオン」には「ラ・ミッション・オー・ブリオン赤」と「ラ・ミッション・オー・ブリオン白」があり(2008年までは白の名称は「ラヴィル・オー・ブリオン」)、セカンド・ワインの赤は「ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン」。

「オー・ブリオン白」と「ラ・ミッション・オー・ブリオン白」のセカンドは、2008年までは「レ・プランティエール・デュ・オー・ブリオン」でしたが、今では「ラ・クラルテ・ド・オー・ブリオン」と改称されました。

どうでしょう? クリアーになりましたか♪

 

ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2006

ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2006

ともあれ、赤ワインに進みます。

<ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2006>

熟成香が出始めていて、土やスパイスなどの香りが華やぎ、味わいはソフトさもありながら、エレガントな姿、という印象のほうが強く、今ちょうど飲み時なのだと感じました。

 

ラ・クラレンス・ド・オー・ブリオン 2008

ラ・クラレンス・ド・オー・ブリオン 2008

<ラ・クラレンス・ド・オー・ブリオン 2008>

香りはまだ閉じて堅さも感じられる状態でした。味わいも繊細でなめらか。時間と共にスパイシーな香りが出てきます。いずれにしてもエレガントで、細かいながらタンニンもしっかりとした、まだ若々しい状態。

 

<シャトー・オー・ブリオン 2004>

ラ・クラレンス・ド・オー・ブリオン 2008

ラ・クラレンス・ド・オー・ブリオン 2008

熟成香が出始めていました。しかも、妖艶な美しい香りです。熟成したワインが好きな方にはたまらないのではないでしょうか。味わいは、もちろんエレガント!

 

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2003

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2003

<シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 2003>

若々しいラ・ミッションの姿を、更に強調したようなイメージです。プラムのような、ハリのある熟した黒い果実の香りに、ハツラツとした味わいで、力があり筋肉質で、ストラクチャーのはっきりとしっかりとした、全体に丸みのある姿でした。

 

<シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 1999>

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 1999

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン 1999

こちらは熟成香。トリュフの香りが柔らかく華やかに広がります。味わいには、力強さが感じられて、まだバリバリの体力があるのだと、見せつけてくれました。

 

<シャトー・オー・ブリオン 1998>

こちらも綺麗なトリュフの香り。でも、よりエレガントな姿です。味わいにも力強さがありますが、よりタイトでタンニンの存在感もまだ感じられます。頭脳明晰なナイス・ミドル、でしょうか。

 

オー・ブリオンとラ・ミッション、それぞれの個性を満喫した響宴の最後には、またもう1杯のベル・エポック2004年で乾杯しました。とても美しい終わり方ですよね。なかなか体験できない優雅な数時間でありました。

 

シャトー・オー・ブリオン  1998

シャトー・オー・ブリオン 1998

  • 2014年12月4日「ベージュ アラン・デュカス トーキョー」の10周年記念にて。そういうわけで、ベル・エポックもシャトー・オー・ブリオンも2004年を中心にサービスされたのです。素敵な演出でした。それに、支配人のジャン=フィリップ・デルマス氏が名代として来日し、わずか24時間ほどの滞在で帰国とのことでした。祝・10周年!
  • Special thanks to “Champagne Perrier-Jouet”  & ペルノ・リカール・ジャパン

(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)

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