ワイン&造り手の話

スクライブスクリーン

カリフォルニアでニュー・ウエイブが起こっているのをご存知でしょうか? 先だって来日した「スクライブ」のオーナー、マリアーニ兄弟のアンドリューは「僕たちも、ニュー・カリフォルニアの一員なんだ」というのです。一体どんな動きなのか、そしてスクライブのワインについて、お伝えします!

 

兄のアンドリュー・マリアーニさん。

兄のアンドリュー・マリアーニさん。

<カリフォルニアの新潮流とマリアーニ兄弟>

「ニュー・カリフォルニアは、今とてもエキサイティングなんだ!」というアンドリュー・マリアーニさん。このグループは、10〜20名ぐらいの比較的若い世代が、今までのカリフォルニアのスタイルとは違う、新しいワインを創り出そう、としている流れのようです。

「まるで顔をパンチするような大柄なワインが多かったでしょう。そうではなくて、バランスがよく、エレガントで、強すぎない、食事に合うワインが造りたいんだ。それは同時にテロワールを尊重することにもつながるから」。

確かに、飲み手をガツンと打ちのめすような、凝縮した濃厚なワインがとてももてはやされた時代がありました。

 

「でも、色々なワインを飲んでいて感じたんだ。ユニークなワインが世界にはたくさんあるのに、カリフォルニアだけは一定のスタイルしかない。パワフルでね。僕たちはカリフォルニアにルーツがあるし、ここの農業に誇りを持っている。だから、できるだけナチュラルなワインを造りたいと決めたんだ」と、熱く語ってくれました。

 

昨年、オーストラリアのヴィクトリア州で若手の造り手さんたちに聞いた話と、随分重なる点があることに気がつきました。「なるべく醸造段階で介入しないワイン造り」をしたい、という思いは世界的な流れとしてあり、その分、畑仕事に精を出す、というわけです。

このスクライブで面白いのは「自分のワイナリーの中で、エコシステムができあがっていることが大切なんだ。もちろん有機栽培に取り組んでいるし、多様性が必要だから、ブドウの他にも植物を育てたり、鶏も飼っているよ」というところ。

マリアーニ兄弟は、もともと、北カリフォルニアでアプリコットやクルミなどナッツを栽培する農家の4代目として生まれました。大学時代にワイン造りを始めたのが「スクライブ」のオーナーとなるきっかけですが、アンドリューは「ワインのほうが、クルミやアプリコットよりも、ずっとセクシーでしょ」というわりには、バッチリ複合農業に取り組んでいるというあたりに、何とも親しみが湧くのでした。

 

<スクライブの再興>

ところで「スクライブ」はかつて「ドレッセル・ワイン・カンパニー」という名前の由緒あるワイナリーでした。1800年代に、初めてアメリカに輸入されたリースリングとシルヴァーナーの苗木が植えられた畑でもあります。だから、アンドリューたちも再び歴史ある2品種の栽培を再開しました。それに創設者のエミル・ドレッセルが立派なあごひげをはやしていたからと、アンドリューは目下ひげを伸ばし中だとか。

ドレッセルのワインは、20世紀初頭に数々のコンテストで上位入賞の常連だっただけではありません。その後の禁酒法時代に、密かに酒場を運営し続けていた、隠れ家的存在だったということです。

 

2007年に、何十年も誰も手をつけなかった廃墟と化した土地を見たアンドリュー&アダム・マリアーニ兄弟は、なぜかここの風景にひどく感動したようで、「一目惚れ」して購入を決意しました。海からの涼風が、サンパブロ湾を通って吹き込んでくる、気持ちのよい畑だといいます。

 

「スクライブ」では、自然農法、バランスを尊重した収穫、自然酵母による発酵、最小限の介入、これらをモットーにしています。

自分たちの求めるスタイルを造るために、ブドウが完熟してしまう前に、酸が高く保たれた状態で収穫します。例えば、今年はちょうど8月20日頃にリースリングの収穫をしたといいますが、香りとフレッシュさを保つために、朝3〜4時頃から日の出前までが収穫タイム。

醸造所では、今気に入っているのが卵形のコンクリートタンク。これは温度管理が楽な上、自然に液体がゆっくりと循環し、酸素との微細な接触もあり、まさに何もしなくてもよいので、重宝しているようです。

 

「僕たちのワインは、食事を共に楽しんでもらうためのものです。ワイナリーでは、畑の野菜をとってきて、自分たちで調理して皆で食べる、というイベントも行っているので、是非遊びに来てください!」

ホームページに、とても美味しそうな画像が載っていました。見ると、行きたくなってしまいますね〜。

 

そうそう、ワインはリースリングの他に、シャルドネとピノ・ノワールも試飲しました。もちろんどれも「強い樽香や高いアルコール度数」とは無縁で、タイトで酸がきれいな、生き生きとしたワインたちでした!

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

カテゴリー 白ワイン
ワイン名 リースリング ソノマ Riesling Sonoma
生産者名 スクライブ Scribe
生産年 2012
産地 アメリカ/カリフォルニア
主要ブドウ品種 リースリング
希望小売価格 4,900円(本体価格)
輸入元/販売店 ワイン・イン・スタイル
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