美味しい生活

フランスに一番近いスペイン、バスク地方は美食の地としても知られています。今回、バスク地方のワイン「チャコリ」と、その隣にあるリオハの取材に出かけたのですが、まあ美味しいものがたくさんあること! せっかくなので、ワインの記事には書ききれない美味しいものを、ご紹介します。

 

そう、「バスク地方に取材に行く」と告げると、必ず友人は「美味しいものが食べられるわね〜」と、羨ましそうに言ってくれました。確かに、バスク地方にはスペインで一番「三ツ星レストラン」が多い場所です。そして、日本でも人気のピンチョスが生まれたのもここなのです。

 

<海の幸1/アンチョビ>

まず、取材初日に訪問したワイナリーで出てきたアンチョビに驚きました!

アンチョビは、ご存知のように片口いわしの塩漬けです。これまでは、美味しいけれど塩辛いので、ほぼ調味料的な存在だと思ってきました。ところが、そのままでとっても美味しいおつまみになると、ここで認識が変わったのです。パンにのせて食べるのもよし、本当にそのままフォークで口に運ぶのも美味でありました。

 

形がしっかりしている。なめらかな食感が心地よい。塩の加減がほどよい。

この三拍子が揃っていて、一切れ食べると後をひき、結局一人で四切れぐらい食べたのではないかと思います。ちょうど爽やかでクリスピーなチャコリを試飲させてもらったところだったので、このアンチョビが素晴らしいアテとなったのでした。

 

聞けばここのワイナリー、チョミン・エチャニスTxomin Etxaniz 自家製のアンチョビといいます。どうやら、塩漬けの後にオリーブオイルで塩を洗い流してから、新しいオリーブオイルにもう一度漬けるのが、塩辛くしないコツのようです。一回で500キロもの大量な片口いわしを仕込むというので、驚きました。売り物にしているのなら買って帰りたいと思ったのですが、残念ながら自家用ということで販売していませんでした。

一週間を振り返ってみて気がつくと、一番美味しかったアンチョビは、実はチョミン・エチャニス自家製だったのですよね。

 

チャコリには3つの原産地統制呼称のDOがあり、このチョミン・エチャニスは「ゲタリアコ・チャコリーナ」(ゲタリアのチャコリ)なのですが、そのトレードマークは鯨です!

アンチョビに、エクストラヴァージンオリーブオイルとパセリ、ニンニクを。 チャコリには3つの原産地統制呼称のDOがあり、このチョミン・エチャニスは「ゲタリアコ・チャコリーナ」(ゲタリアのチャコリ)なのですが、そのトレードマークはグラスに貼ってあるシールにも描かれている鯨です!

すべての取材が終了してから、宿泊先の近くのデパートにグルメ・ショップがあるというので行ってみました。せっかく海の幸の宝庫カンタブリア海近くまで来れたので、アンチョビは、絶対に買いたかったのです。目指せ、チョミン・エチャミスを越えるアンチョビ探し! という感じでしょうか。

すると、種類、サイズ、価格も様々あります。さすがは本場。

結局、中間よりちょっと高めの小さい缶を3種類入手しました。味のちがいはまた後日。

 

ビルバオ市内にある大きなデパートの6階にあったグルメ・ショップの一番目立つ場所には、なんとマッサンの「余市」がディスプレイされていました。連続ドラマ小説「マッサン」は、この出張中に最終回を迎えたので見られませんでしたが。

ビルバオ市内にある大きなデパートの6階にあったグルメ・ショップの一番目立つ場所には、なんとマッサンの「余市」がディスプレイされていました。連続ドラマ小説「マッサン」は、この出張中に最終回を迎えたので見られませんでしたが。

これを、どんな風にして食べるのかは、まだ決めていません。ピンチョス風にするならば、ヒルダかカナッペでしょうか。

 

ヒルダは、Gildaと書いてヒルダと呼ぶ、バスク名物のピンチョスで、たぶんどこのバルに行っても必ずあるものだと思います。グリーンオリーブと、酢漬けの青唐辛子と、アンチョビ。これがセットになって爪楊枝に刺さっています。場合によっては青唐辛子がとても立派で長いので、一口で食べられるかな〜、と不安になることもありましたが、まあ、がぶっといってしまうのが、一番よいように思います。だって、せっかくセットにしてあるので、それを別々に味わうのは野暮なのでは、と思うわけです。

 

そういえば、この青唐辛子も瓶詰めで売っていたので、グルメ・ショップで手を伸ばそうとしたのですが、なんだか躊躇してしまいました。手に取っておけばよかったと、今では思っています。それからなぜかこの青唐辛子は、あまり辛くありませんでした。1週間のスペイン滞在中に何度もヒルダを食べたのに、一度も辛くなく、同行した取材陣の中で一人だけが「一回だけ辛いのにあたった」という、極少ない確立でした。

 

バスク地方の美味しいものは、まだまだあります。次回もお楽しみに!

(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)

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