池田美樹のおしゃれとワインのいい関係 〜香港1泊クルーズ旅という新しい魅力を発見〜
04/23
香港へは何度か旅したことがある、という人はとても多いと思います。5時間前後のフライトで気軽に行けて、美食と買い物と、なんといってもヴィクトリア湾を挟んだ100万ドルの夜景が美しい。
かくいう私も、25年前に初めて香港に行ってからというもの、何度も香港を訪れ、好きな食べどころ、好きなエリアなどがある程度固定化し、香港に行くならあそこへ出かけよう、あそこで食べよう、と、思い描けるくらいの場所でもありました。
今回、その印象がまるで覆る、心躍る経験をしてきたのでお知らせしようと思います。香港からのクルーズ1泊という楽しみ方です。
九龍側・尖沙咀(チムサーチョイ)のオーシャンターミナルで、チェックインは18時に始まります。乗り込むのは「スーパースター ヴァーゴ」という客船。乗客定員数1870名、客室数935室。レストランやバー、ラウンジなど10が所以上の飲食施設、エンターテイメント施設、スポーツクラブ、プール、リラクゼーションスペースまで備える、まるで13階建ての巨大なホテルです。
20時半まではヴィクトリアハーバーに浮かび、九龍側と香港側の夜景が両側に迫ってくるように楽しめます。この中でまずはアペリティフと食事を。レストランは、ドリンクと、一部の場所を除きオールインクルーシブ。料金がかかる場合も、チェックイン時にもらったカードキーを使って船内ではすべてキャッシュレス。チェックアウト時に精算すればいいので、気楽です。
20時半、汽笛とともに船が出航すると、ああ、私はいま船に乗っているのだ、という実感が迫ってきます。甲板に出て風に吹かれていると、湾の両側に建つ44のビルが音楽に合わせてレーザーやサーチライトを夜空に放つ13分間のショー「シンフォニー・オブ・ライツ」が。何もさえぎるものがない、この壮大な夜景を眺めながらの食後の一杯のおいしいこと…!
その後は思い思いに。そのまま甲板のバーでバンドの心地よい演奏を聴きながら飲むもよし、ショーを見に行くもよし、2軒目に食べに行くもよし。さらに、船内にはカジノもあるので、日本ではできない腕試し、運試しをするのも楽しい。船内のワインリストはかなり充実していて、意外とお手頃価格。この船そのものがワインバー、と思えばなんとも心が弾みます。
リラックスを求める人は、スパに行ったりリフレクソロジーを受けたりもできます。ジムやプールもあるし、ウォーキングスペースやランニングコースで走るのもいい。
遊び疲れたら、そのまま部屋へ。シャワーも完備された部屋は、寝ている間もほとんど揺れを感じません。ぐっすり眠って朝日ともに目覚め、朝食を食べていると、見慣れた香港の景色が近づいてきます。
実はこの一泊クルージングを体験するまで、クルージングは年配のお金持ちがたっぷりと時間を使って楽しむレジャーなのだと思っていました。しかし、この香港一泊クルージングは、それとはまったく違うもの。巨大な街が海の上に浮かんでいる、洋上ホテルとでもいうイメージ、といえばわかりやすいでしょうか。
私が出かけたとき、船のお客さんは、ほとんどが香港現地の人でした。「ちょっと一泊遊んでくる」という感覚でいらっしゃる方が多いとか。つまり、船の中はそのまま、香港の街中のようなものなのです。
海外に行ったら、夜はあそこで食べようか、ここで食べようかと決めかねて、さらに道に迷ったりしているうちにどんどん時間がたっていってしまうもの。香港が初めてという人は、ホテル代わりに、まずは洋上で夜景を堪能しつつ安心して遊びながら、次の夜に街に繰り出す算段をしてもいい。何度も香港に行っているリピーターは、新しい楽しみ方ができるもうひとつの街と思って出かけてもいい。
なんといっても、この船に乗らないと見ることのできない景色と、海風が堪能できるのですから!
ちなみに私は、13階の船尾側にあるオープンエアのバースペースがとてもお気に入り。カクテルやワインをお代わりしながら、香港の海の風を堪能して「今、世界は私のもの…!」と、うっとりと過ごしていました。次回は女友達と3人で、心ゆくまで美食とおしゃべりを楽しみたいと思います。
「香港にちょっとクルーズに行ってくる」、という旅の選択肢がひとつ増えた、プチゴージャス体験でした。
取材協力・スタークルーズ
オーバーシーズトラベル
(text & photo by Miki Ikeda)
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