おしゃれに飲む

表紙を飾るのは、トスカーナ名物の「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」。

イタリア料理は随分日本に浸透して、今や「カプレーゼ」はシソを使って日本風にアレンジしたり、「ピッツァ」の生地だって家庭用のパン焼き機で作れるという時代です。でも、そもそもの歴史や現地での食べられ方など、実は知らないことが多いものです。イタリア在住歴が長く、今でも年の半分ほどをイタリアで過ごす宮嶋勳さんが、親近感のある料理について面白く、詳しく、ひとつひとつ解説してくれているのがこの本です。

 

第1皿(つまり第1章)は「生ハムとサラミ」。第2皿が「カプレーゼ」、そしてパスタやリゾットがあり、第9皿が分厚くて巨大な牛肉料理「フィ

10皿の美味しそうな写真もあり、食指が動きます!

10皿の美味しそうな写真もあり、食指が動きます!

オレンティーナ」とメイン料理になり、最後の第10皿が「ティラミス」でしめくくりと、いわばコース仕立てなのも洒落ています。でも10皿で一冊の本になるのです。1皿につき20ページ以上も書かれているのです。一体どんな内容が書かれているのかというと、「帯」の言葉ではありませんが「読めば読むほど、おいしくなる」というお話。

 

例えば「生ハムとサラミ」では、今では贅沢品扱いのこれらの食材はそもそも貧しい農民の冬の保存食であったことなど歴史的な背景から始まります。そして、代表的な各地のスタイルとその理由や呼び名の違いにも言及。私はトスカーナへ行くたびにフェンネル入りサラミを楽しみにしているのですが、フェンネルを入れる必要があった理由にはちょっと動揺してみたり、食べるときの「儀式」や「規則」があるサラミがあるという話に驚いてみたり。もちろん、宮嶋さんお薦めのワインとの組み合わせなども記されています。

 

第5皿の「ペスト・ジェノヴェーゼ」には作る順番が丁寧に書かれていますが、「ここまで寡黙に集中力を持って作業を進めることが望ましい。わさびをする時と同じで、作業をする人の気分が何となく味に影響を与えるような気がするのだ。作業中に電話が鳴っても受話器を取っては駄目なのである。」というクダリなど、まさに宮嶋節! という感じです。

 

注釈に登場するバルバレスコの帝王、アンジェロ・ガイア氏。

注釈に登場するバルバレスコの帝王、アンジェロ・ガイア氏。

また、ワインの世界にも精通する宮嶋さんならではのワイン界の話題も満載です。何度か出てくる「アンジェロ・ガイア」は、イタリアワイン界の

重鎮です。バルバレスコを始め多くの偉大なワインを生み出してきた人物で、日本にも何度か来ています。ただ、私の知る限り、その時の通訳は必ずこの宮嶋さんです。アンジェロ・ガイア氏のご指名だと聞いて、すぐに納得しました。なぜかというと、アンジェロは立て板に水、あるいは弾丸のように話すのですが、それをほぼ同時通訳のように同様にガンガンと、しかもワイン専門の内容をも正確に通訳できるのは、恐らく日本で他に存在しないと容易に想像がつくからです。宮嶋さんは、そういう人なのです。

 

読んでいるとお腹が一杯になるというより、たっぷりと飲んで食べたくなる本です。

目次に並ぶ10皿は、どれも親しみを感じるものばかり。より深く知ればより美味しく食べられそうです!

目次に並ぶ10皿は、どれも親しみを感じるものばかり。より深く知ればより美味しく食べられそうです!

カテゴリー 書籍
書籍名 10皿でわかるイタリア料理
著者名 宮嶋 勳
出版日 2013年6月21日
ISBN 978-4-532-16874–2
出版社 日本経済新聞出版社
定価 1,500円(外税)
ページ数 239ページ
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