シャンパーニュ G.H. マムより「コレクション・デュ・シェフ・ド・カーヴ」 〜シャンパーニュの熟成を楽しむ〜
07/06

「コルドン ルージュ」、ラベルの赤い帯がトレードマークのG.H.マムから、最高醸造責任者のディディエ・マリオッティさんが5月末に来日しまして、マムの古いヴィンテージが特別に披露されました。ヴィンテージは、1996年、1990年、1985年。すべてマグナムボトルです。
ディディエさんは、古いヴィンテージへの思いをこう語りました。
「私は、20年前にシャンパーニュの世界に入りました。当時、シャンパーニュは祝い酒、乾杯のための飲み物だと思っていました。ところが、古いヴィンテージを飲む機会があり、その時に『シャンパーニュはワインだ!』『熟成するのだ』と気がつきました」。
造る立場の人たちでも、20年前は乾杯のためのものだと捉えていたと聞いて驚きました。でも確かに、食中酒としてシャンパーニュが楽しまれるようになったのは、長い歴史の中で考えればつい最近のことなのです。
3ヴィンテージのマグナムは、それぞれ150本ずつが、昨年2014年の5月にデゴルジュマンされました。貴重な3本が、どんな様子だったのかお伝えします。
コレクション・デュ・シェフ・ド・カーヴ 1996
50番目となるヴィンテージ。ピノ・ノワール63%、シャルドネ37%、ドザージュ8g/l。
黄金色がとても綺麗。べっ甲飴、トースト、ドライなアプリコット、レモンピール、そしてスモーキーさも感じられ、熟成香が出始めている。味わいは、まだ酸が生き生きとしていて、若さが感じられる。
まだまだフレッシュな状態なので、今飲むのもよし、数年セラーで置いておくのもよし、という状態です。次の1990年とは、明らかにタイプが異なるヴィンテージです。
コレクション・デュ・シェフ・ド・カーヴ 1990
47番目となるヴィンテージ。ピノ・ノワール81%、シャルドネ19%、ドザージュ4g/l。
キャラメル、トースト、スパイス、ドライなアプリコットなど、ハリのある香りで、果実の力が感じられる。味わいも、リッチでボリューム感もあり、泡立ちもしっかりしている。
まだ豊かさにあふれているので、このまま数年間ワインセラーで熟成させてもまったく問題なさそうです。
コレクション・デュ・シェフ・ド・カーヴ 1985
43番目となるヴィンテージ。ピノ・ノワール75%、シャルドネ25%、ドザージュ4g/l。
ちょうど30年を経過。べっ甲飴に近い色合い。アプリコット、ミラベル、オレンジピールのようなドライフルーツも香るが、よりトースト、キャラメル、スパイス、べっ甲飴やスモーク系の香のほうが勝る。なめらかでバランスよく、心地よい触感。後味に熟成感のある香りが残る。
シャンパーニュの熟成感を楽しむのに、今ちょうどよい状態です。
- 表紙の写真の手は、この方です。ファロ資生堂の本多さん!
- 1990(左)、1985(中)、1996(右)
- デゴルジュマンしてまだ1年少々なので、きれいなコルク。
それぞれの年の特徴が、そのまま映し出されているのが「ヴィンテージ」ならでは。それに加えて、マムらしくピノ・ノワールが主体となり豊かさ、肉厚さが表現されていました。そういう意味では、最もマムらしいのは1990年だったのではないでしょうか。
こういった、長い瓶内熟成を経たマムのヴィンテージが、一般の方たちにも飲めるチャンスが生まれることを祈っています!
(輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン)
(text & photos by Yasuko Nagoshi)
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