ワイン&造り手の話

表紙

アルゼンチンのメンドーサからやってきたエドゥアルド・プレンタ青年は、一人で地下鉄を乗り継いで試飲会場へやってきました。暑い最中ではありますが、清々しい表情でした。シンプルなラベルのデザインは、ミニマリズムを感じさせます。一方で、センスのよいリーフレットにはポルシェを背景に撮ったプレンタ兄弟のモノクロ写真が載っています。一体、どんなワインを造っているのだろうかと、試飲するのが楽しみになりました。

 

<プレンタ一族>

このプレンタ家は、アルゼンチンのメンドーサを拠点にし、標高980mのアグレロに135haの畑を所有しています。そして、そこから更に南に車で1時間の場所、標高1200mのウコ・ヴァレーに400haの畑を所有しています。合計でなんと535ha。広大です! ただ、大部分のぶどうは他社へ売却していて、中でも自分たちの満足のいくぶどうを選んで、自社ブランドの上級キュヴェ「プレンタ」と手頃なタイプの「ラ・フロール」を合計7万ケースだけ造っているというのです。

 

畑の規模が大きいので驚きました。でも、これまでのプレンタ家の歴史を聞いて納得しました。彼らの祖父がイタリアから1902年にアルゼンチンへ移住して、1923年にワイン会社のペニャフローを設立しました。50年代には、アルゼンチンでも屈指の大企業になり、70年代には有名なトラピチェを傘下に収めた会社です。そして、ペニャフローを97年に投資会社に売却したのです。ペニャフローという名前はあまり表立って出てきませんが、トラピチェはじめ70社ものワイナリーを所有する、アルゼンチン最大の会社です。

 

その後プレンタ一族は、会社は売却したものの自社畑は残し、独自のワイン造りを始めたというわけです。かつて16年間、ポルシェとホンダの車をアルゼンチンに輸入していたこともあるらしく「ポルシェのプロモーション用のワインも、3回造ったことがある」といいます。だから馴染み深いのでしょう。ポルシェと共に撮影した写真が使われているのでした。

 

<試飲したワインの中から>

彼らが造る上級ラインの「プレンタ」で、試飲した中からいくつかご紹介しましょう。

ボトル*シャルドネ2011

1992年に植樹したアグレロ畑(標高980m)のシャルドネ。半分はステンレスタンクで発酵(マロラクティックなし)、半分は新樽で発酵(マロラクティックも行う)。

明るい黄金色で、トロピカル系果実と涼しげな香りがミックスされていて、味わいも、果実の丸みも感じられながらとても爽やかな酸もあり、なめらかで若々しい味わい。手頃な価格(1950円)なのが嬉しいところ。

 

*マルベック2010

アグレロ(標高980m)で育つマルベックと、南へ1時間に位置するウコ・ヴァレー(標高1200m)の樹齢70年のマルベックのブレンド。「前者は粘土質が多く、3月第3週に収穫していて、まろやかなタンニンが特徴的。後者はより砂質が多く、4月初旬の収穫で、ワインにはよりミネラル感や胡椒的な香りがもたらされる」。12か月フレンチオークの小樽で熟成。

若々しい、ハリのある香りで、ブルーベリーやカシス、それに少々スパイスの香りが加わる。なめらかな食感で、タンニンも細やか。ほどよいバランスで心地よい。

 

*グラン・ピノ・ノワール2010

6年前から始めた、醸造コンサルタントのポール・ホッブスとのコラボレーション。標高1200mのウコ・ヴァレーのロス・アラモスに、1992年に4ha植樹したピノ・ノワールより。これについてはナチュラル・イーストで発酵。フレンチオークの小樽で9〜12か月熟成。

繊細な香りで、熟した赤い果実となめし革が香る。ただ、ジャムのような熟し方ではなくて、ソフトなタッチ。味わいも、しっとりなめらかで、木目も細やか。収れん性は少し若さが。

 

*グラン・コルテ2009

唯一のブレンド銘柄。マルベック37%。カベルネ・ソーヴィニヨン25%。メルロ23%。プティ・ヴェルド10%。タナ5%。畑はアグレロとウコ・ヴァレー。品種や畑ごとに樽熟成している1300樽に、一つ星、二つ星、三つ星のマークをつけて、約10%の130樽ほどを選び抜き、熟成16〜18か月を経た後にブレンドしたもの。だから、毎年ブレンドは変わる。瓶熟成最低1年。初ヴィンテージは2002年。

素晴らしいバランス。赤い果実主体の熟した果実、スパイスなどが融合した上品な香りで、味わいもとても綺麗に馴染んでいる。木目も細やか。

 

どれも綺麗な整った造りで、標高が高く澄んだ空気のアルゼンチンらしさが全面に出たワインでした。

個人的には「グラン・コルテ」(4,110円)が特にお薦めです!

(輸入元:ベリー・ブラザーズ&ラッド)

( text & photos by Yasuko Nagoshi)

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