ワイン&造り手の話

面白いワインが届きました! なんと、二次発酵を海底で行ったワインをブレンドしているというのです。海底熟成ワイン、という話は聞いたことがありましたが、発酵を海底とは? それに、フランスやバスク地方の多数の星付きレストランがこぞってオンリストしているというのです。興味津々で開けてみました。

 

海藻を思わせる、涼しげなラベルのこの白ワインは、スペインとの国境にあるフランスのバスク地方で造られたものです。そう、バスク地方といえば、フランス圏でもスペイン圏でも美食の地として知られています。

祖父母がバスク地方に住んでいたエマニュエル・ポワムールという人物が、このワインの生みの親です。子供の頃からワイン造りを夢見て、モンペリエでエノログの資格を取得しています。クレディ・アグリコールの融資部門で働いたり、サンテミリオンやメドックでも修業したり。そして、モエ・エ・シャンドンで仕事をしている時に、「海底で二次発酵」をしてみたいと、思い立ったようです。

 

直接話していないので、地下セラーで行う瓶内二次発酵を、なぜ海底で試みよう(小さなタンクで行っているようです)と思ったのか明確にはわかりませんが、面白い発想ですね。

2007年に特許を申請して、ワイナリーを設立し、実践に移したという変わり種です。そして、試行錯誤の末、地上で醸造したワインと海底で二次発酵を行ったワインをブレンドして、2009年に収穫したぶどうで造ったものが初リリースとなりました。

フレンチ・バスクのサン・ジャン・ド・リュズ沖、海底15mに小ぶりな特殊加工のタンクを沈め、8、9か月後に引き上げ、地上醸造のワインとブレンドして瓶詰め。海底ワインがどのぐらいの比率なのかはわかりません。

アルコール度数は11%と低めですから、ぶどうは比較的早めに収穫しているのでしょう。それが、海底での二次発酵とどのように関連しているのかなど、聞いてみたいことがたくさん出てきました(笑)。

 

彼のワインはフランスですぐに話題となり、多くのメディアが取り上げただけでなく、アラン・デュカス・グループの統括ソムリエを務めるジェラール・マルジョン氏や、シャトー・オーゾンヌのアラン・ヴォーティエ氏、シャトー・ランシュ・バージュのジャン=ミッシェル・カーズ氏らがエマニュエル・ポワムールの「エギアテジア」を訪問しているといいます。

 

さてさて、一体どんなワインなのか。

グラスに注ぐと、すぐアロマティックなことに気がつきます。グレープフルーツ、パッションフルーツ、グアヴァ、レモングラスといった爽やかな香りが、とても華やかに感じられます。魅力的です。

味わいも、とてもフレッシュ。そして、いわば「ミネラリー」な味わいです。塩っぽさが感じられて、まさに新鮮な魚介類が食べたくなる、ほどよい軽快感で、口中でもたくさんの果実の香りが広がります。

 

海底二次発酵のワインが、どのように作用してこの香りと味わいなのか、という部分は謎ではありますが、ともあれ興味深い白ワインです。今夜は魚介類を食べることにします!

クリアーでピュアでフレッシュなアロマ豊かな白ワインが飲みたくなったら、是非探してみてください。

 

裏ラベルに、海底15mで二次発酵したと記されています

裏ラベルに、一部のワインは海底15mで発酵したと記されています

<データ>

デナ・デラ <エギアテジア> Dena Dela <Egiategia>

カテゴリーが「ヴァン・ド・フランス」のため、ヴィンテージ表記はなし。ただし、2013年収穫のぶどう100%。

ぶどう品種は、コロンバール80%、ユニ・ブラン20%

輸入元:ヴィヴィット

参考小売価格:3,400円

 

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