ワイン&造り手の話

すべてのブースを回るのは無理でしたが、いくつかキラッと光る銘柄に出会いました。まあ、あらかじめ「ギア・ペニン」で高得点を獲得した銘柄のある造り手さんが参加していたので、基準が高いわけですが。

 

<コストパフォーマンス抜群のカバ>

カバ/ボトル横カナルス・ムンネ Canals & Munne(輸入元:ボリニ・ジャパン)

カバのメッカであるバルセロナ近郊のサン・サドルニ・ダノイアを拠点にしている造り手で、現在4代目ということです。

お手頃価格(1,960円)の「インスパラブル」、最高峰で約60か月瓶熟成させた「グラン・デュック」(6,000円)もよかったのですが、一番感心したのが「グラン・レゼルバ」(2,620円)でした。35か月瓶熟成で、チャレッロ50%、マカベオ30%、パレリャーダ20%。フレッシュ感とリッチさのバランス感覚が素晴らしく、コストパフォーマンス抜群でした!ちなみに、ギア・ペニンでは90点を獲得していました。

 

<ラ・マンチャなのに涼しげな赤ワイン>

パゴ/ボトル縦ラ・マンチャといえば、暑い産地だ、という印象をもっています。ところが……。

「オプタ Opta 2009」(テンプラニーリョ、ガルナッチャ、シラー)と「カルサディージャ・アレグロ Calzadilla Allegro 2008」(シラー主体+ガルナッチャ、トゥリガ・ナシオナル)を試飲して思ったのは、どちらも涼しげなニュアンスが感じられて、上品で繊細なラインだということです。不思議だなあ、と思っていると、ラ・マンチャとはいえとても標高が高い場所に畑があるというので、納得しました。

 

1980年に設立してぶどうを植え、1992年からワイン造りを始めたという新しい造り手「ボデガス・ウリベス・マデロ」のリーフレットには「パゴ・カルサディーリャ」と記されていました。そう、現在スペインで最高のDOに位置づけられている「パゴ」に認定されています。

このワイナリーから50キロ圏内に、他にワイナリーはないようです。標高900〜1,000mの不毛の地にぶどうを植えることから始めてワイン造りを、というのですから度胸のある人たちだと思います。何名かで設立したようで、そのうちの一人が元建築家で、奥方は薬剤師で、お嬢さんが醸造家とか。

植樹したのは、テンプラニーリョ、ガルナッチャ、そしてカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー。周りに他社の畑など何もないことから、最初から有機栽培を行うと決めていたそうです。

 

「オプタ」は3,600円(ギア・ペイン90点)、「カルサディーリャ・アレグロ」は4,800円(ギア・ペニン91点)でした(輸入元:イムコ)

 

<美味なプリオラートは有名建築家のこだわりの証>

Clos del Portalのシリーズ

Clos del Portalのシリーズ

もうひとつ気に入ったのはプリオラートのワイナリーでした。

ラベルのセンスも抜群で、ぶどうのピュアな香りと味わいがとてもきれいに表現されているワインだなあ、という印象でした。ボリューム感もあり、ハツラツとした様子がとても印象的でした。

 

日本に輸入されているというのですが、「あらいさん」が担当者だと言います。どうやらワイナリー和泉屋さんが上級キュヴェを輸入されているようですね。

プリオラート/人物

ブースでワインを注いでくれた人物が手にしているのが白のtrossos sants

Gotes del Montsant 2013(ギア・ペニン90点)は、モンサンの粘土石灰質を表現したカリニェーナとガルナッチャのブレンドで、ピュアな果実と繊細さが感じられ、同じラインのGotes del Priorat 2013(ギア・ペニン91点)は、プリオラートのスレート土壌を表現した、ガルナッチャとカリニェーナのブレンドで、こちらは収れん性も感じられる、より若い段階にありました。

モンサンの白Torossos Sants 2013(ギア・ペニン91点)は、ガルナッチャ・ブランカ100%で、柑橘類や白い熟した果実の香りが凝縮していて、オイリーでリッチな味わいでした。トロッとした食感でした。

Clos del PortalのシリーズのSomni 2012(ギア・ペニン93点)は、カリニェーナとシラーなどのブレンドで、プリオラートのスレート土壌生まれ。黒い果実のエキスがハツラツとしていて、まろやかでボリューム感があるけれど、とてもフレッシュ。

なかなか素晴らしいワインたちでした。有名な建築家アルフレード・アリーバス氏がオーナーのワイナリーということです。ワイン好きが高じて、究極のワインを造りたくなってしまったのでしょう。各所にオーナーの「こだわり」が感じ取れました。

( text & photos by Yasuko Nagoshi)

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