モンテリー・プルミエ・クリュ2009 / 2010 / 2011を飲み分ける 〜ドメーヌ・ルフレーヴのネゴシアン部門「ルフレーヴ&アソシエ」作〜
09/18
ブルゴーニュワインが好きな方にとって、ドメーヌ・ルフレーヴは憧れの存在だと思います。例えば、一度でもルフレーヴのピュリニー・モンラッシェを飲んでしまったなら、どうしてもまた飲みたい! という欲望に駆られるはずです。そのルフレーヴのポートフォリオが白だけで、赤がないのがちょっと残念、と思うのは私だけではないでしょう。ところが、2009年ヴィンテージから「ルフレーヴ・エ・アソシエ」という名前で造り始めたワインには、赤があります! このモンテリー・プルミエ・クリュ シュル・ラ・ヴェルが、そのひとつです。
<ルフレーヴ・エ・アソシエとは?>
ラベルを見ると、紋章の中の色が赤になっていることと(ドメーヌ・ルフレーヴの白ワインは紋章の中が青)、下のほうに”DOMAINE LEFLAIVE”と記してある部分が“LEFLAIVE & ASSOCIES”に変わっているだけで、あとはすべて同じ仕様です。
コンセプトは、畑はドメーヌの所有ではないけれど、当主のアンヌ・クロード・ルフレーヴさんと同様にバイオダイナミクス法でブドウ栽培に取り組んでいる栽培家の畑のブドウを使っていること。つまり、マダム・ルフレーヴの同志の畑ということです。そして、栽培管理や収穫、その後の醸造と熟成すべてを、ドメーヌのチームが行います。ということは、畑の所有者は別の人というだけで、あとはすべてドメーヌ・ルフレーヴのワインと変わりがないのです。
ドメーヌのメンバーが管理しているので、それほど多くの畑を扱うことはできないようで、モンテリー・プルミエ・クリュの他には、シャルム・シャンベルタン、そして白ワインのリュリー・プルミエ・クリュがある程度です。最近「マイクロ・ネゴス」という言葉を使いますが、本当によい畑だけを選んで造る、規模の小さな仕込みなのです。
<モンテリー・プルミエ・クリュ シュル・ラ・ヴェル ルージュ>
2011年のモンテリーを開けてみました。ピノ・ノワールらしさに溢れた香りで、2011年らしい厚みやボリューム感もあるのですが、少し落ち着いていない印象がしました。ちょっとおてんばな、といったニュアンスでしょうか。なので、2、3日放っておくことにしたのです。再び開けてグラスに注ぐと、とてもまろやかになり、複雑な香りが融合して優雅な味わいに変化しているではありませんか! さすがに素晴らしい出来です。
数日の間に居住まい正しいにこやかな女性に成長したところをみると、どうやら、少し時間のかかるワインのようですね。
通常、モンテリーというとエレガントながら少し地味なイメージがあるかもしれません。赤白ともに造る村ですが、すぐ隣の村のワインが有名なのが原因でしょうか。赤はヴォルネイの陰に、白はムルソーの陰に隠れてしまっているようです。
モンテリーはヴォルネイとムルソーどちらにも接していて、ヴォルネイよりも丘の上方にあります。つまり、標高がちょっと高いのです。そのため、肉付きがよいというよりは繊細なタッチになります。
ルフレーヴがブドウを購入しているのは、エリック・ド・シュルマンが所有する畑で、プルミエ・クリュのシュル・ラ・ヴェル。ここは、ヴォルネイとの境になっていて、且つ、ヴォルネイ・プルミエ・クリュ・デ・シェーヌと地続きになっています。つまり、ヴォルネイにとても近いモンテリーということです。
<3ヴィンテージと牛肉料理>
2011年がまだ若すぎたので、数年経過していて、より夏の暑かった2009年が飲み頃かもしれない、と予想しました。この年がルフレーヴ・エ・アソシエにとって、初ヴィンテージです。2010年は、バランスが素晴らしくよい年なので、飲み始められるかもしれない、あるいはバランスはよくても固い状態かもしれない、とも考えました。
実際に開けて比べてみると、こんな感じでした。
2011/スパイシーで熟したチェリーや野生味も感じられる。今すぐ飲むなら、まず1杯だけ飲んで、2、3日置いてから飲むと、ちょうど落ち着きが出てなめらかになり、美味。
2010/香りはまだ固いけれど、果実の熟度がきれいに表現されている。味わいも素晴らしいバランスで、貴婦人風のしなやかさと上品さ。酸もきれいでまだ固い。今飲むなら大きめのグラスで。何年か置いておきたい欲望も。
2009/スパイス、チェリー・リキュール、ロースト香が融合して、まろやかでボリューム感もあり、果実感が心地よいたっぷりしたタイプ。もちろん数年置いてもいいけれど、今とても美味しく楽しめる。
そこで、手に入りやすい赤身肉は牛なので、牛肉を使ってヴィンテージの個性に合わせて料理を作り分けてみました。
2011/スパイシーな牛100%ミニハンバーグ スパイシーなソース添え
スパイシーさと果実の熟度に合わせて、スパイス・ミックスをたっぷり混ぜ込んだミニハンバーグ(牛挽肉100%に、パン粉と卵少々をつなぎにしてよくこねて)に、スパイシーなソースを添えました。
ソースは、フライパンに残った肉汁にバルサミコとケチャップ、ナツメグを加えてトロミを出す程度につめました。ソースがあるほうが、後味がまろやかになります。
2010/霜降り牛肉シンプルソテー
エレガントで整然としているので、あまりアレコレ手を加えないで直球勝負。ほどよい霜降りの焼き肉用の牛肉を軽くソテーして、岩塩をパラパラ、粒黒胡椒をガリガリと挽いて。霜降り、岩塩、粗挽き胡椒、これがちょうど美味しくなるポイントです。
2009/厚切り牛のオイスターソース
果実味の豊かさとボリューム感に合わせて、厚みのある肉にコクのある濃いめの味つけに。塩胡椒した牛肉に(サイコロステーキ用の牛を半分にスライスしたもの)、片栗粉をまぶし、オリーブオイルでソテーして、オイスターソースをからめました。甘くて香ばしい香りがしてボリューミーなので、ワインの味わいも増幅します。
ヴィンテージのちがいはもちろんありますが、ドメーヌ・ルフレーヴのワインと同様に、いずれもクールで芯の通った味わいです。
(輸入元:ラック・コーポレーション)
税込の希望小売価格:2011年 7,884円、2010年 6,804円、2009年 7,344円
(text & photo by Yasuko Nagoshi)
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