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スペインのカバの造り手として知られるコドーニュは、1551年創業の老舗で大手であることは知られていますが、今まで一部の商品しか日本に輸入されていませんでした。この初夏から日本市場で展開される上級キュヴェを、ご紹介します。

 

スタンダードより1ランク上の「アナ・デ・コドーニュ スリーバーボトル」については、期間限定のアンテナショップと共にお伝えした通りです。

その他に更に上をいく「グラン・コドーニュ シャルドネ」「グラン・コドーニュ ピノ・ノワール」、そして「ジャウマ・コドーニュ」が加わりました。そして以前お知らせした「グラン・コドーニュ・グラン・レセルバ」も正式に入ってきたようです。日本市場では「グラン・コドーニュ・グラン・レセルバ」が、最高峰のキュヴェとなります。

 

<広大な畑を衛星画像で分析する精密農法で管理>

人物来日した醸造責任者のブルーノ・コロメール氏が、コドーニュの歴史を一通り説明してくれたのですが、現在コドーニュが所有する3800ヘクタールの自社畑大半は、1914年に既に取得していたと聞いて驚きました。しかも、2つの大きな一枚畑なのです。

 

20世紀初頭の当主マニュエル・ラヴェントスが、「ライマット」プロジェクトのために購入した未開の地は、カタルーニャ州内ですがバルセロナから北西に向かう内陸で、ワイン産地でいうとコステルス・デル・セグレです。標高200mにあり、3500haのうち2000haがカバ用で、その90%がシャルドネというのです。つまり約1800haもカバ用のシャルドネの畑を所有しています。規模があまりにも大きすぎて、頭の中で思い浮かべるのが困難です。

 

そして、コステルス・デル・セグレから50kmほど海寄りコンカ・デ・バルベラは標高が高く550mほどの産地で、300haのピノ・ノワールの畑を所有しています。ここは一転、すべてピノ・ノワールなのだといいます。豪快です。

 

一方、地元品種のマカベオ、チャレロ、パレリャーダ、ガルナッチャ、モナストレル、トレパットについては、本拠地があるバルセロナ近郊のサン・サドルニ・ダノイア近郊の栽培農家との長期契約でぶどうを購入。だいたい4〜5世代にわたる契約が多く、2000区画にのぼるようです。

 

あまりにも広大な畑ですが、ブルーノさんは「畑は衛星による分析画像でタブレット上でデータ管理している」と、言います。タブレットで管理とは、最先端のワイン造りの現場ですね。ちょうど今春リオハのボデガス・ビルバイナス(1997年からコドーニュの傘下)を訪問した際も、畑の衛星画像を見せてもらいました。コドーニュ・グループが買収したコンサルタント会社「アグロ・ピクセル」によるもので、画像を見れば色の違いで樹勢の違いがわかる仕組みになっていました。

 

スペインには畑の格付けが存在しません。だからコドーニュでは、こういったシステムも駆使しながら、独自に2006年から畑をぶどう品種ごとに大きく4つのランクにわけ、収穫からワイン造りに至るまですべての工程で手法を変え、どのキュヴェに使うのかを決めています。ちなみに、60項目を基準にしてこの4つのランキングをしているようです。

 

<上級キュヴェ>

AからDまでのぶどうのランクのうち、上から2番目のクラスを用いて造るのが「グラン・コドーニュ」です。

「グラン・コドーニュ シャルドネ Gran Codorniu Chardonnay」

シャルドネ100%。アルコール度数11.5〜12%。酸度6g/l。ドザージュ・ゼロで残糖3g/l。10%ほど樽発酵。瓶内熟成15か月。熟したピュアな黄色い果実、柚子ピールやトーストなども香り、味わいも豊か。ドライながらふくよかさが感じられるバランスのよさ。

「グラン・コドーニュ ロゼ ピノ・ノワール Grand Codorniu Rose Pinot Noir」

ピノ・ノワール100%。アルコール度数11.5〜12%。酸度6g/l。残糖6〜8g/l。3〜4時間のマセレーション。瓶内熟成12か月。香ばしさとベリー系果実の香りが華やか。果実味が充実して、ふっくら、クリーミーな味わい。厚みがある。

 

最高ランクAのぶどうを用いて造られるキュヴェのひとつが「ジャウマウ」です。

「ジャウマ・デ・コドーニュ2009 Jauma de Codorniu 2009」

ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%(2010年はチャレロを15%ブレンドした)。収穫は夜間に手摘み。アルコール度数11.5〜12%。残糖8〜10g/l。マロラクティック発酵なし。瓶内熟成30か月以上(40か月のこともある)。6万本のみの生産。トースト、ナッツ、ハチミツ、桃、リンゴなどの華やかな香りで、なめらかで厚みのある、クリーミーな味わいながら、きれいな酸が若々しさを醸し出している。深みのある味わい。

 

カバは安くて飲みやすい、というイメージが強い方々も多いように思いますが、それだけではなく、バラエティー豊かで幅広いアイテムがあるということが、こういうキュヴェを飲んでみるとわかります。

 

そういえば、カバにおける新しいトップ・クラスのカテゴリーがそろそろ出来るかもしれない、と今春から噂を聞いていますがが、決定までにはもう少し時間がかかるようです。

(輸入元:メルシャン

(text & photos by Yasuko Nagoshi)

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