ワイン&造り手の話

自由が丘、あるいは奥沢というべきでしょうか、昔からあるワイン・ショップ、イー・エックス・セラーで、「これ、日本にうちにしかないんですよね」という秘蔵のワインを飲ませてもらいました。アルザス地方の白で、普通のボトルよりちょっと大きく、でも秘蔵だからといってとても高い、というわけではありません。楽譜がラベル・デザインに使われた心地よい味わいの白。造り手のエリック・カジミールさんが来店されると聞きつけて、会いに行ってきました!

長身のエリックさんが手にすると、1000mlボトルも普通のボトルに見えます。。。

長身のエリックさんが手にすると、1000mlボトルも普通のボトルに見えます。。。

思わず見上げるような長身で体格もよいエリックさん。ご本人はシャブリとシャンパーニュの間のトロワという町の出身で、このアルザスは奥様の出身地。義理の父であるジェラール・メッツの後継となったのでした。

さて、気になる楽譜のラベル。以前はアルザスの象徴でもあるコウノトリがラベルに採用されていたそうですが、エリックさんがアメリカを訪問した際に色々なワインのラベルを見ていて、「ちょっとうちのは古くさいかも」と感じて変更を決意したそうです。元来音楽好きで、「自分は演奏が得意なわけではないけれど、家族はみな上手。母はピアノ、父はアコーディオンとギター、息子はドラム」の名手だとか。ちょうど初めて特級畑のキュヴェを造った時に、音楽家の友人がデザインしてくれたのだそうです。

今でもワイン同様に音楽を愛するエリックさんは、ワイナリーのワイン・セラーの中でコンサートもよく開催するといいます。せっかくなので、アルザスのブドウ品種のいくつかを音楽に喩えてみていただきました。「(複数のブドウ品種をブレンドしている)エデルツヴィッカーは、ワルツ。リースリングはディスコ・ミュージック。ゲヴルツトラミネールはヴァイオリン曲。ピノ・ブランはフルート」。そうかな〜? と異なる意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、エリックさん曰く「これは単に私のイメージなので、皆さんにも自由に想像して楽しんでほしいですね」、とのこと。ワインも音楽を楽しむように、まずは飲んだ印象を道しるべとして好きなタイプを追っていく、という飲み方をしてみるのも面白いですね。

メッツの特級畑のリースリング。ラベルもぐっと高級感が増していますね。

メッツの特級畑のリースリング。ラベルもぐっと高級感が増していますね。

ちなみにエリックさんがワインを造るにあたって最も気を遣うことは「バランスのよい味わいで、食事と共に楽しめるワイン。グラスではなく、ボトルでじっくり飲んでほしい」。だから、きれいな酸があることが重要だといいます。実際に味わってみると、このエデルツヴィッカーは本当にお料理に寄り添うタイプの白ワインで、ついついもう少し、、、と手がでます。

そう、この「エデルツヴィッカー」のボトルがちょっと大きめで1000ml(普通のワインは750ml)なのは、造り手家族の自家消費用として造り始めた銘柄だからです。ついつい飲んでしまうので750mlだとちょっと足りないのでしょう。そして自家用だから売らないつもりが、「どうしても!」という熱意に負けて海を渡ってきた訳です。ここの他には、イギリスにも1店舗、その2店だけで販売しているそうです。つまり、フランスでも買えない、ということになりますね!?

イー・エックス・セラーこちらです。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

1000mlのボトルなので、惜しみなく?ゴクッと飲めます!

1000mlのボトルなので、惜しみなく?ゴクッと飲めます!

カテゴリー
ワイン名  エデルツヴィッカー Edelzwicker
生産者名 ジェラール・メッツ Gérard Metz
生産年 2011
産地 フランス/アルザス地方
主要ブドウ品種 シルヴァネール主体+ピノ・ブラン、ミュスカ、リースリング、ゲヴュルツトラミネール
希望小売価格 3,360(税込)円/1000ml
輸入元/販売店 ヌーヴェル・セレクション
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