ワイン&造り手の話

「和の国の 食のためにぞ うまれけり」という「ジェイコブス・クリーク」によるオーストラリア産まれの「わ 白」は既にお馴染みとなりましたが、その赤バージョンが登場しました。どのような味わいで、何をポイントとしてブレンドが決められたのかが気になります。プロジェクトチームの方からも少し教えていただきました。

<「わ 赤」の味わい>

和食を食べる時、赤ワインが飲みたいけれど相性はどうだろう? と悩んだことのある方は多いのではないかと思います。一昔前に「魚には白、肉には赤」と頻繁に言われたからではないでしょうか。でも、このジェイコブス・クリーク「わ」の赤があれば心配はなくなります。

2012年ヴィンテージをグラスに注ぐと明るいルビー色で、ラズベリーや赤いチェリー、アセロラといった、赤いフルーツの香りの奥に、スモーキーさや茶色系のスパイスの香りがあります。なめらかさの後にとてもフレッシュな酸、ほんのりとしたタンニンがあり、しっとりとした、繊細で優しい味わいです。食欲が湧いてきます。

このワインからは、お醤油や味噌を使った料理を思い浮かべます。例えば田楽、焼き鳥、照焼きの魚や肉、牡蛎の土手鍋、サッとタレをつけた穴子の握り寿司、軽く炙ったマグロのヅケやカツオのタタキ、魚の煮こごり、もちろんすき焼きでも。

<開発のポイント>

おそらく多くの方にとってオーストラリアの赤ワインのイメージは、果実風味がたっぷりで、力強くてタンニンもしっかりしていてボリューム感があって…というタイプではないかと思います。でも、この「わ 赤」はそのイメージとは随分異なります。それに、最近ではオーストラリアワインのスタイルそのものが変化してきています。より冷涼な産地のブドウで、繊細な風味のある、アルコール度数が高くなりすぎない、きれいな酸が残る、など、積極的に上品なワイン造りへと方向性が変わってきているのです。もちろん気候環境などの条件から、凝縮したがっちりタイプの赤ワインは今でも変わらず生産されていますが。

さて、話を「わ 赤」に戻しまして、どのようにしてこの上品な風味へ至ったのでしょうか。

1)江戸料理の老舗「割烹 日本橋とよだ」五代目の橋本亨氏に監修を依頼。

橋本氏は、伝統料理の継承者でありながら、ドイツの日本大使公邸で料理長も務めたご経験もあり、海外の調味料も取り入れるなど、柔軟でグローバルな感覚のある料理人。

2)和食と相性のよい赤ワインをサンプリング。

長年和食とワインの相性を探求してきたプロジェクトチームの方から、醸造チームが拠点を置くバロッサ・ヴァレーに、あらかじめいくつかのサンプルを送付してイメージをつかんでもらう。

3)オーストラリアで橋本氏の和食&ニック・ブルワー氏率いる醸造チームのサンプルで試食・試飲。

橋本氏とプロジェクトチームがオーストラリアを訪問し、現地の市場で調達した食材で橋本氏がいくつもの和食を調理。赤ワインの醸造を担当するニック・ブルワー氏が用意していた、13種類のブドウ品種を使った30以上のベースワインと料理との相性を試しながらブレンドを検討。

何度も何度も試作を重ねた結果(白の開発より時間がかかったようです)、タンニンや酸味が強く主張するなど、何かひとつの味が突出したものではなく、全体の味わいが丸く調和のとれたものが、できあがった、というわけです。食欲の湧く味わいで、お料理にしっとりと寄り添ってくれます。是非お試しを。

「わ 赤」のホームページはこちらです。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

「和」食のために生まれた「わ」のラベルは後ろまでずっとつながって「輪」になっています。

「和」食のために生まれた「わ」のラベルは後ろまでずっとつながって「輪」になっています。

カテゴリー 赤ワイン
ワイン名 ジェイコブス・クリーク わ 赤Jacob’s Creek WAH Red
生産者名 ペルノ・リカール・ワインメーカーズPernod Ricard Winemakers
生産年 2012
産地 オーストラリア
その他 橋本亨氏によるおすすめレシピのボトルネッカー付き
希望小売価格 1,600円(本体価格)
輸入元/販売店 ペルノ・リカール・ジャパン
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