ワイン&造り手の話

Montille&ChdePuligny 225

2004年の話題作「モンドヴィーノ」に出演したモンティーユ一族によるド・モンティーユ。いかにもブルゴーニュの頑固親父、といった役に適任だった父ユベールから2001年に正式に引き継いだエティエンヌは、銘醸畑を所有するシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェを2012年に我がものにして、発展を続けています。

 

<シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ取得>

Etienne de Montille 224300年の歴史があるモンティーユ家は、18世紀頃に36ヘクタール強の自社畑があったそうです。ところが、父ユベールが相続した1947年には、わずか2.5ヘクタール。その後買い足して1990年代に10ヘクタールまで広がりました。そしてエティエンヌの代になってから更に拡大。ド・モンティーユ23ヘクタール、シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ14ヘクタールの、合計37ヘクタールとなったのです。これでかつてのモンティーユの規模に並んだことになります。しかも、全体の80%が1級と特級で占めているのですから、相当高いレベルです。

 

とはいえ、実はエティエンヌは2002年からこのシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェのワイン造りを行っていました。17世紀に建てられた由緒ある城は、1950年代にワインの品質の高さで名声を誇りながら、その後あまり日の目を見ることなく金融機関の傘下に入ってしまいました。そして実務を担当する支配人へと白羽の矢を射られたのがエティエンヌ。10年経過して金融機関から畑もすべて購入しないか? との打診を受け、見事に所有地を拡大させたというわけです。

 

本家であるド・モンティーユの場合には、妹のアリックスとの共同経営ということもあり、アリックスは得意とする白を、エティエンヌが赤を担当するのですが、シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ(以下、シャトー)についてはすべて自分で采配をとっているようです。

 

<栽培・醸造の基本方針>

ブルゴーニュという産地に大変な誇りをもつエティエンヌは「土壌、ブドウ、品種のもつ個性を最大限に尊重するために、実直に仕事をする」のがモットーです。そのために、正式に父から仕事を引き継ぐより以前の1995年からド・モンティーユでは有機相倍の手法を採用し、シャトーでも任され始めた2002年から同様にし、2005年からはどちらの畑でもバイオダイナミクス法を取り入れました。

 

理由は「テロワールを生かしたワイン造りには、衛生状態がよく、健全な、よく熟したブドウが必要だから」。ただ、彼が強調したのは「熟しているといっても過熟ではない」という点です。熟しすぎではブルゴーニュらしいエレガントなバランスのよさが損なわれてしまい、特にシャルドネよりピノ・ノワールに顕著に表れるといいます。そのブルゴーニュらしさとは「ピュアで、フレッシュなミネラル感があり、フローラルで、口に含むと酸がきっちりあり、それがほどよいバランスをとり、混じりけなく、どこか塩味や旨みを感じるような味わい」であること。

 

これを得るには、まず畑での仕事が重要で、醸造所にブドウが持ち込まれてからは、なるべく人工的な関与はしないと決め「添加するのは少量の亜硫酸だけ。あとは何も加えない」方針です。

 

父、ユベールが造ったワインとのちがいを尋ねられて、エティエンヌはこう答えました。

「父の代よりも良くなった、と言ってもらうことは確かにありますね。ただ、革命的な変化というよりは、進化だと思っています。父のワインで好きだった点、ピュアで、エレガントで、フレッシュで、自然で、本物の味わい、これらは引き継いでいるつもりです。ただ、タンニンがしっかりし過ぎていてとても固いという点は好きではなかったので、改善しました。父は私に対して特に何も言いませんから、認めてくれているのではないかと思っています。まあ、父と息子の関係はいつでもややこしいものですよ」。

いずれの国も事情は似たり寄ったり、ということでしょうか。

 

<シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェの白ワイン>

今回試飲に供された3アイテムは、いずれも2011年でした。

「2011年はここ10年で最も優れたヴィンテージです。範囲を25年に広げれば、2007、2002、1996、1992、1989年と同様に素晴らしい出来。ピュアで、旨みやフレッシュ感があり、ハツラツとしているのが2011年で、あと2、3年もすれば丸みが出てきます。2009年、2010年はリッチでオイリーで、厚みはあるけれど、私の白の好みとは少しちがう」。

 

アン・レミリー白1− サントーバン 1級 アン・レミリー (参考価格/税別 7,300円)

広いサントーバンの中でも、ピュリニー・モンラッシェのすぐ上に位置するのがアン・レミリーの畑で「シャトー」が所有する区画は、まさにその先端にあるピュリニー・モンラッシェ近く。いい場所です。南向き斜面で日照量が得られるだけでなく、表土の下に小石の多い粘土層があり、ミネラル分が豊かなのが特徴。

 

ポリュゾ白2− ムルソー 1級 ポリュゾ      (参考価格/税別 11,500円)

特級がないムルソーの中で、最も特級格に近いとされる1級が、ペリエール、ジュヌヴリエール、ポリュゾ。そして「シャトー」が持つ区画は、ジュヌヴリエールに接するポリュゾ・デスー。

「アーモンドやクルミのような香りがするので、よく新樽熟成しているのかと聞かれますが、新樽は一切使っていません。土壌に由来する香りです」。

 

フォラティエール白3− ピュリニー・モンラッシェ 1級 レ・フォラティエール (参考価格/税別 16,000円)

ピュリニー・モンラッシェの1級の中でも3指に挙げられるのが、カイユレ、ピュセル、そしてこのフォラティエール。「シャトー」の区画は、ルロワの区画とルフレーヴ所有の区画のちょうど間に位置しているそうですよ。

 

サントーバンの、フレッシュでピュアでミネラリーな様子を基本とすれば、ムルソーでは加えてナッティーな香りとリッチでオイリーな食感が、ピュリニーではフィネス、白い花のアロマ、緻密なミネラル感が加わり、三者三様の味わいです。

 

<ド・モンティーユの赤ワイン>

赤についても「なるべく手を加えない」方針は変わりません。酵母も自生のものだけで、発酵温度のコントロールさえしないといいます。木製発酵槽から228リットルの樽へ移されて、14ヶ月から18ヶ月の眠りにつき、一度ステンレスタンクでブレンドして2〜4ヶ月静置したのち、あとは瓶に詰めるだけ。どの赤も基本は同じで、異なるのは新樽比率ぐらい。最大で特級畑とニュイの赤に50%。ブルゴーニュ・ルージュには一切用いません。

 

レ・グレーヴ赤1— ボーヌ 1級 レ・グレーヴ          (参考価格/税別 12,500円)

ボーヌの中でも特級に近い1級とされるレ・グレーヴですが、ここは結構広いので場所によって随分個性が異なります。ただ、所有する区画は「ブシャールのレザンファン・ジェシュに接している」と、またまたいい位置につけています。「あと2,3年で開いてくるでしょう」。

 

タイユピエ赤2— ヴォルネー 1級 レ・タイユピエ  (参考価格/税別 18,000円)

ヴォルネーを本拠地とするド・モンティーユにとって、とても重要な畑です。「赤茶色の粘土に小石が混じっていて、とても長寿なワインになります。ミネラル、花、スパイスが香り、タンニンがしっかりして深みのある味わいです」。

 

マルコンソール赤3— ヴォーヌ・ロマネ 1級 オー・マルコンソール (参考価格/税別 37,000円)

偉大なる畑のひとつ、ラ・ターシュに隣接するのがこのマルコンソール。ド・モンティーユではここにふたつ区画があり、別々に醸造しています。もうひとつのキュヴェ「マルコンソール・キュヴェ・クリスチアンヌ(62,640円)」は、ラ・ターシュに食い込んでいる部分の区画で、より男性的で深みがありミネラル感があるのに対し、こちらはエレガントでアロマティックな、より女性的な仕上がりに。

 

同じ村の中でも畑によって異なる性格、更には同じ畑の中でも区画によって個性に差がでてくるなど、そういった微妙な差異も気になってきますね。ブルゴーニュ好きの方たちには、この違いを利くことがたまらない魅力なのではないでしょうか。

 

輸入元:ラック・コーポレーション

ド・モンティーユ

シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ

プロ向きの細かい話は別途こちらにまとめました。

<白ワインのプレマチュア・オキシデーション> <亜硫酸> <全房発酵>

(text by Yasuko Nagoshi/photos partly by Tadayuki Yanagi)

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