ワイン&造り手の話

ラファエッラ横

バローロやバルバレスコを生む品種、ネッビオーロの影に隠れた存在だったバルベーラ。これを世界舞台に立たせることに成功したのが、有名な「ブリッコ・デッル・ウッチェッローネ」を生み出したジャコモ・ボローニャです。その父の遺志を、ラファエッラ&ジュゼッペ姉弟が堅実に継いでいます。そして更に、三代目ならではの新しい試みも始まっていました。要注目です!

 

<ボローニャ家三代/祖父から父へ>

いつも満面の笑みで、元気いっぱい! ラファエッラ・ボローニャの印象は数年前からまったく変わりません。いつも楽しそうに仕事をしている彼女は、きっと家庭の中でもムードメーカーなのではないかと思います。弟のジュゼッペと共に父の後継ぎとして1990年に家業に参画しましたが、当時「ベッペ」はまだ若かったため、母アンナを助けながらワイナリーを切り盛りしたのはラファエッラです。

 

「ベッペは1996年から醸造長になったの。栽培も醸造もすべて任せているのだけれど、彼はシャイだから、販売は私がね」と、二人で役割分担をしているといいます。そして、ボローニャ家の三代の流れを説明してくれました。

 

「ブライダ」創業者のジュゼッペ・ボローニャが造ったのは2アイテム。「グリニョリーノ・ダスティ」と「ラ・モネッラ」。前者はグリニョリーノという地元品種から造られる赤で、フローラルな香りと繊細な味わいが特徴です。後者が、バルベーラから造られる赤。赤い果実の香りが華やかで、とてもジューシーでフレッシュです。まさに、食中酒としてのバルベーラ、そのものです。

 

ところが、父ジャコモが革新を興します。「父は、フランスで学んで、その後に各国を旅して回り、畑のことも醸造のことも、たくさん見てきました。その間に、バルベーラを「毎日飲まれる日常ワイン」という認識から「長期熟成が可能なワイン」に押し上げたい、そう強く願うようになりました。そして帰国後に取り組んだ結果、ブリッコ・デッル・ウッチェッローネが創り出されました。1978年が初ヴィンテージです」。素晴らしい条件を備えた単一畑で収穫量を抑えたバルベーラを、フレンチオークのバリックで熟成させ、本当に長期熟成可能なワインに仕上げ世界を驚かせたのです。

 

最も力強いタイプの「ブリッコ・デッラ・ビゴッタ」。

最も力強いタイプの「ブリッコ・デッラ・ビゴッタ」。

2010年ヴィンテージは、とても洗練された香りと味わいで、なめらかできめが細やかで、とてもエレガントな姿でした。こちらの畑が砂が多い土壌なのに対して、この次に始めた単一畑「ブリッコ・デッラ・ビゴッタ」は赤い粘土質。2009年ヴィンテージは、ロースト香や野性的な要素、凝縮した黒い果実が香り、味わいも厚みがありたっぷりとして、タンニンもしっかりしています。タイプが異なるため、ビゴッタは遅めにリリースをしているのです。

 

そして、一度見たら忘れられない印象的なラベルの「アイ・スーマ」も登場します。2010年ヴィンテージは、整然とした香りで、こちらも木目細やかでなめらかですが、より果実の熟度が高く味わい全体に丸みを感じます。ラベルが示すとおり、どこか官能的なニュアンスが含まれる魅惑的なバルベーラです。

毎年は造られない「アイ・スーマ」。木箱にまでこのマークが!

毎年は造られない「アイ・スーマ」。木箱にまでこのマークが!

 

「でも、これは毎年は造りません。遅摘みのバルベーラなのですが、バルベーラは果皮が薄い品種なので遅摘みをするのはリスクがとても高いからです」。ともすると、果皮が破れてしまってブドウが台無しになってしまうというのです。

 

<ボローニャ家三代/父からラファエッラ&ジュゼッペへ>

バルベーラで、偉大なる3つの単一畑のキュヴェを造ってしまった父の後ですから、それを守ることだけでも精一杯なのでは? と思ってしまいますが、彼らは本当にバイタリティーに溢れています。次々と三代目の作品を創り出していました。

 

「モンテブルーナ」という名のバルベーラ。これは三代目の手による単一畑です。土壌に貝殻がたくさん混じっているので「貝殻の丘」と呼ばれている南向き斜面。1999年に植樹したといいます。「バルベーラの苗は、ベッペが自社畑の中から慎重に選んだのよ。まず品質が高いもの。バルベーラは比較的果皮が薄くて割れやすいから、果皮が厚くて、早めに成熟するもの」が優先されたのです。2012年ヴィンテージは、ハツラツとした香り、なめらかで厚みがあり、しっかりとした味わいで、今からでも美味しく飲めますが、数年後でもよさそうです。時間を置いてからまた振り返って飲んでみたいワインです。

 

もうひとつの新作赤が「イル・バチャレ」。なんと、バルベーラを主体にして、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロをブレンドしていました。これまでの単一畑があるロッケッタ・ターナロ村よりもアルバに近い場所で、少し標高は高いながら砂が多く早めに熟してくれるようです。国際品種のブレンドということだけでなく、かっちりと樽由来のロースト香が出ていて「モンテブルーナ」とは異なります。父の代の「ウッチェッローネ」と「ビゴッタ」のような対の関係になるのでしょう。

 

その他にも、アルバの標高の高い畑からは白ワインをいくつも造っています。1988年からトリノ大学とのコラボレーションで地元品種のナッシェッタの復活を試み、シャルドネとのブレンド「イル・フィオーレ」、ナッシェッタ100%の「レジーナ・ディ・フィオーリ」などがあります。ちなみに後者は2012年ヴィンテージを試飲しましたが、黄桃やカリン、トロピカル系果実が香り、フレッシュな酸とグレープフルーツ的なほんのりとした苦みを伴う、とても爽やかな味わいです。

 

バルベーラに対峙して世の中にその魅力を伝えた父ですが、三代目はもっと根本に立ち返って苗木や畑の条件も見つめ直しています。とてもシリアスです。けれど、シリアスなだけではなく、ラファエッラがドイツ系の男性と結婚したからとリースリングも植えるなど、柔軟性も備えていて、何とも楽しそうです。今後も注目していきたい造り手ですね。

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

祖父(左)と父(右)の作品とは、また別の色を醸し出す三代目作「モンテブルーナ」(中央)。

祖父(左)と父(右)の作品とは、また別の色を醸し出す三代目作「モンテブルーナ」(中央)。

カテゴリー 赤ワイン
ワイン名 モンテブルーナ Montebruna
生産者名 ブライダ Braida
生産年 2012
産地 イタリア/ピエモンテ
主要ブドウ品種 バルベーラ
希望小売価格 2,900円
輸入元/販売店 フードライナー

 

白2種。ナッシェッタ100%の「レジーナ・ディ・フィオーリ」(右)と、リースリングで造られる「レ・ディ・フィオーリ」。

白2種。ナッシェッタ100%の「レジーナ・ディ・フィオーリ」(右)と、リースリングで造られる「レ・ディ・フィオーリ」。

カテゴリー 白ワイン
ワイン名 レジーナ・ディ・フィオーリRegina di Fiolri
生産者名 ブライダ Braida
生産年 2012
産地 イタリア/ピエモンテ
主要ブドウ品種 リースリング
希望小売価格 2,900円
輸入元/販売店 フードライナー

 

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