ワイン&造り手の話

右の2本がビトゥイーン・ファイヴ・ベルズのボトル。ラベルも不思議なデザインです。

相変わらず日本では「自然派ワイン」の人気が衰えていないようですね。一体自然派ワインファンの方々は、今、どんなワインを求めているのか? と、ふと気になりました。それはちょうど、オーストラリアのビトゥイーン・ファイヴ・ベルズを久しぶりに試飲して、このワインは「自然派ワイン」と呼ぶべきなのだろうか? と思ったからです。

 

昨年の6月、オーストラリアへ取材に行きました。「ワイナート」の2013年、秋&冬号で2回に分けて、ヴィクトリア州のワイナリー記事を書くためです。その時に出会ったあるグループの話がとても面白かったのです。

彼らの話を聞いていると「酵母も加えない、酵素も加えない、温度調節もしない、樽も使わない……」と、とにかくないない尽くしなのです。他のワイナリーでも、同じような内容を聞いたのですが、どうしてそうするようになったのか、理由を聞いてみたくなりました。

 

秋のオーストラリアのブドウ畑。

秋のオーストラリアのブドウ畑。

それは、色々な人為的な介入をして、色も味も濃くて強いワインを造ってワインのコンテストで優秀な成績をおさめる、というような風潮に、嫌気がさした、ということがひとつ。もうひとつは、醸造段階で人が多くの手を入れてしまった結果、どこで造っても同じじゃないか? という種類のワインが世の中で溢れている。これって、つまらなくないか? ということに対するアンチテーゼなのでした。

実は、似たような話はヨーロッパでも聞きます。皆、それぞれの土地の個性を、どうすればうまくワインに映し出せるのかに、知恵をしぼっているのです。

 

この「ビトウィーン・ファイヴ・ベルズ」の造り手さんには会っていませんが、初めてここのロゼを飲んだ時に、不思議な印象を持ったのをよく覚えています。なぜって、びっくりするほどスイスイと飲めてしまうからです。特別に果実が濃いわけでもなく、鋭角的でもなく、タンニンが突出しているわけでもなく、スルリと口から喉へと入っていくのです。なので、じゃあもう一杯飲んじゃおうかな。ということになります。

 

そして先日、白と赤を試飲する機会がありました。全体的な印象は、同じ。スイスイ飲めてしまうタイプです。

白は、白い花や桃、洋梨、柑橘類など様々な香りが、ふわりと広がり出てきます。なめらかでリッチで、フレッシュです。色々な品種がブレンドされているので、それぞれの要素が入れ替わり立ち替わり現れてくる、という感じでしょうか。

赤も、チェリー、スグリ、スモモ、スミレ、スパイスなどがゆったりと香り出て、とても優しい味わいです。独特のなめらかさがあって、普通のワインとはちょっとちがう印象です。

 

ビトウィーン・ファイヴ・ベルズは、輸入元の「ワインダイヤモンズ」のホームページの中に、こういう言葉が書かれています。「醸造家ディッド曰く、このワインは造ったのではなく、生まれたのだ」。なんだが合点がいきます。

 

ただ、それではこのワインは自然派ワインに括られてしまうのでしょうか? 確かに、ブドウの栽培はバイオダイナミックとオーガニック。赤ワインには亜硫酸は使用されていないようです。ただ、一時期「自然派ワイン」という言葉が偏った意味で使われていたことを考えると、なんだかちがうような気がします。そろそろ、何か別の呼び方を考え出したほうがよいのかもしれませんね。

 

ちなみにこのワインに使われている品種は、白はピノ・グリ、ピノ・ムニエ、リースリング、シャルドネ/赤はシラーズ、グルナッシュ、サンジョヴェーゼ、ジンファンデルです。

(輸入元:ワインダイヤモンズ)

(ここで買えます:イーエックス・セラー

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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